●長い物に巻きつけ●
(2008/03/12)
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ビジネスの新しいスタンダード!
■■週刊ビジスタニュース■■
●長い物に巻きつけ●
http://www.sbcr.jp/bisista/ 2008.03.05配信分
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毎週水曜日発行(5週目はお休みします)。
[Index] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.米光一成[特別寄稿]
「大人にゃ見えない、ケータイ小説という少女たちの秘密基地」
2.成馬零一「パンドラの箱としての教室空間」[特別寄稿]
3.編集部の現場から
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今号では、ゲームクリエイターの米光一成さんに何かと話題のケータイ小説
についてご執筆いただきました。その文体の系譜から特性までを論じていた
だいています。ちなみに米光さんは、『國文學』4月号で、ケータイ小説を
含む少女小説の流れについても詳しく論じるとのことですので、併せて是非!
また、ライターの成馬零一さんには、フィクションで描かれる教室空間に
ついて寄稿いただきました。成馬さんはブログでも多くのマンガやアニメ
などへ言及していらっしゃるので、そちらもご覧ください。なお、今回の
原稿では『野ブタ。をプロデュース』と『ライフ』のラストに触れている
ので、その点をご留意ください。
そうそう、今月はボクシングに注目が集まる月でもありますね。内藤大助、
坂田健史、亀田興毅の試合があります。ということで、選手の激しいトレー
ニングや亀田家の話、ボクシング業界の構造、などをきっちり描ききった
岩崎大輔さんの『激闘 リングの覇者を目指して』がもうすぐ出ます。宣伝
です、よろしくお願いします。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797347848/wwwsbcrjp-10-22/ref=nosim
当メルマガにも幾度か寄稿いただいている仲俣暁生さんなどが編集なさって
いる『路字』のサイトもご紹介。0号はもう配布されています。
http://www.big.or.jp/~solar/rojipost.html
前号(山形浩生さんの連載、冨田明宏さんの特別寄稿を掲載)はこちら。
http://www.sbcr.jp/bisista/mail/art.asp?newsid=3300
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■□ 1.米光一成[特別寄稿]
■□ 「大人にゃ見えない、ケータイ小説という少女たちの秘密基地」
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『恋空』が二〇〇万部を突破。映画も大ヒット。文芸書ベスト10にケータイ
小説が五冊もランクインなどなど。ケータイ小説が売れているという景気
のいいニュースの連続である。
「ケータイ小説は金になる」とわかると、大人たちは急に、外野からワイワイ
言いはじめる。ケータイ小説を対象にした賞がいくつも新設され、『なぜ
ケータイ小説は売れるのか』『ケータイ小説がウケる理由』といった新書が
出版される。文学の雑誌で特集され、テレビ番組で取り上げられる。
ケータイ小説がなぜ売れたのか。一番のポイントは、そこに大人がいなかった
から、だ。『Deep Love』『恋空〜切ナイ恋物語 〜』『赤い糸』といった爆発
的に売れたケータイ小説と同じ特徴を備えた小説は、昔からあった。
たとえば『小説ジュニア』という少女向け雑誌に掲載されていた「愛の告白
体験手記」と呼ばれるもの。読者から送られてきたという設定の体験手記で
ある。
本田透が『なぜケータイ小説は売れるのか』の中で指摘しているケータイ小説
に頻出する七つの罪「売春・レイプ・妊娠・薬物・不治の病・自殺・真実の愛」
が、まったく同じようにここに登場する。
いくつかの「愛の告白体験手記」を紹介しよう。
「先生とセックス→妊娠→裏切り→中絶」
「恋人になる→プロポーズ→“ふたりはひとつになりました”→バイク事故で
死ぬ→彼の日記を大切にしています」
「レイプ(輪姦)→でも彼は優しい」
「恋におちる→セックス→妊娠→裏切り→中絶→リストカット」
さらに二〇〇〇年になると飯島愛『PLATONIC SEX』が登場する。一七〇万部を
突破した。家出、売春、妊娠、中絶、父からの暴力、薬物、裏切り、大切な人
の死、自殺未遂。
少女の恋愛物語であること、ポエムのような文体が登場すること、実話テイスト
であること、悲劇的な性のイベントが頻出することなど、ケータイ小説と同じ
内容だ。
そういっためんめんと出版されていた作品が持っておらず、ケータイ小説だけが
持ち得た特異性がひとつだけある。それは「大人の修正が介在しない」という
ことだ。『小説ジュニア』の「愛の告白体験手記」は、手記の後に編者である
大人のアドバイスおよび説教がついていた。「手記+説教」の組み合わせで
ひとつの作品となっており、「社会的な正しさ」が担保されていた。告白を選考
するのも大人だし、手記そのものを新人作家が書いていたという発言もある。
『PLATONIC SEX』も、飯島愛が書いたわけじゃなく、ゴーストライターがいた
ことを本人が暴露している。そこに描かれた内容は本人の体験だろうが、最後に
付け加えのように存在する両親との和解など、表現のあちらこちらに社会的
正しさのフォローが入る。さらに、社会的な大人である編集者・校正者が存在し、
チェックし、修正がなされている。
ケータイ小説は、社会的な大人の介入なしに公表される。そこに、最大の新しさ
がある。なにしろ、自分のケータイで文章を打って、何度かボタンを押すだけで、
大人の手など借りずに、誰でも読むことができる場に置かれてしまうのだ。
いっきに自分のパーソナルなものをパブリックな場に晒すということが行われて
いる。パーソナルな領域とパブリックな領域の区別を理解するよりも速く。
少女が書いた文章が、大人の修正を経ずに、少女たちにそのまま届けられる。
大人の視線を気にせずに書かれ、読まれる。「少女的リアル」が表現されて
いる場所、少女たちの秘密基地ネットワークのような場が、ケータイ小説
だったのだ。
そんな秘密基地に、読者の父親よりも年をとった男達が審査員であるケータイ
小説大賞が介入してきたり、ケータイなんて小説じゃないと批評家が声を荒げ
たり、いや新しい小説の未来だと持ち上げる者がいたり、大人がずかずかと
踏み込んでくる。
でも、だいじょうぶ。もう少女達は、次の秘密の場所に逃げ去っていっている
だろう。ケータイ小説愛読者である18歳の少女・木村裕美は語る。「でもさあ
……最近、ケータイ小説にもちょっと飽きてきたような気がするなあ?」
(『ダ・ヴィンチ』2008年7月号)
少女たちがいなくなった秘密基地で、売れるものがないかと、あたふた探す
大人たちの慌てている姿は、なんとも滑稽ではないか。
●米光一成(よねみつ・かずなり)
ゲームクリエイター、ライター、立命館大学教授。
『ぷよぷよ』『BAROQUE』『トレジャーハンターG』など多くのゲームの
企画・監督・脚本を手がける一方でライターとしても活躍中。
著書に『スピンドル式 鍛えない脳』(しょういん)、『仕事を100倍楽しくする
プロジェクト攻略本』(ベストセラーズ)がある。
共著に『ベストセラー本ゲーム化会議』(原書房)、『日本文学ふいんき語り』
(双葉社)、『デジタルの夢でメシを食うためにボクらは!』(マイクロマガ
ジン社)。
ブログ:こどものもうそうblog
http://blog.lv99.com/
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■□ 2.成馬零一「パンドラの箱としての教室空間」[特別寄稿]
■□
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僕は今31歳なのだが、10代の頃からドラマやアニメを見続けていることだけが
趣味の、フィクションにしか興味がない人間だ。なぜ、いい歳をして、嘘の
お話を見続けるのだろうか? と自分でも呆れるが、それは作りモノの世界
が、時にホンモノ以上に迫ってくる瞬間があるからだ。
特に学校が舞台の物語には、若い子の無意識が反映される。例えば99年に刊行
され00年に故・深作欣二によって映画化された高見広春の小説『バトル・ロワ
イアル』(以下『BR』)。
この大東和共和国という日本を思わせる架空の国を舞台とした、法律により
クラスメイト42人が殺し合う物語は、中高生を中心に大ヒットした。僕たち
は得体の知れないルールに取り囲まれ、友達同士で戦わされているのではない
か? そんな若者の実感を捉えたことが、本作が支持を受けた理由の一端だ
ろう。そして「バトル・ロワイアル」というタイトルに象徴される人間観は、
今も様々な作品に引き継がれ発展している。
例えば、04年に出版され05年にドラマ化された白岩玄の小説『野ブタ。を
プロデュース』(以下『野ブタ。』)。
主人公は、明るいキャラを演じることでクラスの人気者となっている醒めた
高校生、桐谷修二。彼はいじめられっ子の野ブタを人気者に変えるため、
密かにプロデュースをはじめる。
修二の目を通して描かれるのは、皆が無自覚に演技している薄ら寒い空間と
しての教室だ。ささいなことでクラス内の立場が決定され、器用にふるまえ
ない奴はいじめられる。『野ブタ。』もまた、『BR』的な教室の中の闘争
が描かれるのだが、『BR』にあった子供たちを戦わせる大東和共和国の
ような上位概念は存在しない。
では、何が教室のルール(=価値感)を作っているのか? 修二は野ブタを
人気者にすることで、そのルールが自分に書き換え可能だと気付く。最終的
に物語は自身の演技を怠った修二の失墜で終わるという苦い結末を迎えるの
だが、05年に放送されたドラマ版『野ブタ。』は、この原作の世界観を踏まえ
た上で、別の結末を提示した。
ドラマ版『野ブタ。』では、修二の友人として彰という天然の少年を配置し、
原作では男だった野ブタを堀北真希演じる暗い少女に変更し、三人の友情に
焦点を当てた。修二は二人と関わることで、多くを学び、信頼できる人間
関係を築き上げていく。その成長物語を描くことで、原作とは違う答えに
ドラマ版『野ブタ。』はたどり着いた。
だが、一方でドラマ版「野ブタ。」は、ある限界も見せた。物語の終盤、
野ブタのイジメを扇動し、教室の中の悪意を影で操っていた蒼井かすみと
いう少女が登場する。修二たちの友情に嫉妬した蒼井は三人の関係を破綻
させようと目論むが失敗し、三人の前で屋上から飛び降りる。
蒼井の持つ憎悪は言うなれば、野ブタのようないじめられっ子のものでなく、
多くのクラスメイトたちが抱える匿名性の中で、演技し続けざる負えない状況
への屈折した憎悪と、修二たち三人への強い嫉妬だった。詳細は省くが、蒼井
の自殺は失敗し、彼女の問題は宙吊りのまま物語は終わる。そして彼女の背後
には自身の疎外感にすら気づかず、教室のルールと一体化して無自覚にイジメ
に加担したクラスメイトたちが存在する。信頼できる繋がりに恵まれなかった
ものは、匿名の集団の中に個を融解させ、自我を放棄するか、共有されない
疎外感を募らせ牙をむくしかないのか?
このドラマ版『野ブタ。』が、最終的に曖昧にした教室の集団心理としての
「イジメ」を徹底的に描いたのが07年に放送された、すけのぶけいこのマンガ
を原作としたドラマ『ライフ』だ。
主人公、椎葉歩は過酷なイジメに合いながらも、やがて自分を支えてくれる
仲間を獲得していく。ここまでは『野ブタ。』でも描かれたプロセスだ。だが、
『ライフ』の見所は、友情による結束ではない。
物語は後半、イジメの首謀者である安西愛海と、そのグループの崩壊がジワ
ジワと描かれる。そして最終話では仲間に裏切られ、逆にイジメられる側に
堕ちた愛海の無残な姿が曝される。このドラマで印象的なのは脇役である
クラスメイトたちの動向だ。彼、彼女らは当初、イジメに一部加担し、一部は
見て見ぬふりをしているが、歩が積極的に戦う意志を示し、愛実の方が不利
だと判断すると、歩の側につき、愛海を貶める。生贄を決めるのはいじめっ子
でも、いじめられっ子でもない。クラスメイト全員の無自覚な鬱屈と悪意なの
だ。
そして最終話。歩は愛海を許さない。だがイジメに立ち向かうため愛海と共に
教室の中へと入っていく。このラストは出口が無いという意味において
『BR』以上に過酷だ。だが僕は妙に清々しいものを感じた。事態はより混迷
を極めていて、救いは一切ない。でも歩たちは、あの殺伐とした教室に戻って
いく。
教室はパンドラの箱だ。そこには、若者のあらゆる絶望と希望が詰まっている。
それはある意味フィクションと同義語かもしれない。作り物の世界を見続ける
ことで、現実の風を感じとる。そのために僕はドラマを見続けている。
●成馬零一(なりま・れいいち)
ライター。
『PLANETS』や「まんたんウェブ」などで、アニメや映画、漫画を中心とした
レビューを執筆している。また、ポッドキャスティングも配信し、多くのサブ
カルチャー作品を紹介している。
ブログ:はて☆なりま
http://d.hatena.ne.jp/narima01/
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■学芸書籍編集部と文芸書籍編集部の最近の書籍■
●単行本
・林卓也『やってはいけない!会計・税務50の落とし穴 個人事業者編』
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・眞邊明人『90秒で勝つ!ビジネス演出トレーニング』
http://www.amazon.co.jp/dp/4797344318/wwwsbcrjp-10-22/ref=nosim
・臼井由妃『失敗続きの人ほどうまくいく「人生逆転」の法則』
http://www.amazon.co.jp/dp/4797344288/wwwsbcrjp-10-22/ref=nosim
・岩崎大輔『激闘 リングの覇者を目指して』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797347848/wwwsbcrjp-10-22/ref=nosim
●SB文庫
・シェリー・アーゴフ『ラヴ・ビッチ』
http://www.amazon.co.jp/dp/4797342579/wwwsbcrjp-10-22/ref=nosim
・ターシャ・アレグザンダー『エリザベス:ゴールデン・エイジ』
http://www.amazon.co.jp/dp/4797342102/wwwsbcrjp-10-22/ref=nosim
・ジャネット・イヴァノヴィッチ『あたしはメトロガール』
http://www.amazon.co.jp/dp/4797344474/wwwsbcrjp-10-22/ref=nosim
●ソフトバンク新書
・本田透『なぜケータイ小説は売れるのか』
http://www.amazon.co.jp/dp/4797344024/wwwsbcrjp-10-22/ref=nosim
・速水健朗『自分探しが止まらない』
http://www.amazon.co.jp/dp/4797344997/wwwsbcrjp-10-22/ref=nosim
・和田秀樹『子どもは公立に預けるな!』
http://www.amazon.co.jp/dp/4797344016/wwwsbcrjp-10-22/ref=nosim
・早坂昌彦、石塚秀俊、前岨博『そのブログ!「法律違反」です』
http://www.amazon.co.jp/dp/4797344210/wwwsbcrjp-10-22/ref=nosim
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■□ 3.編集部の現場から 吉尾太一
■□
■□ 和田秀樹『子どもは公立に預けるな!』
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今、「中学受験」が激化している。
首都圏に住む小学6年生のうち6人に1人が、都内に限って言えば3人に
1人が受験する状況だ。年々子どもの数が減り、小学校卒業者数が減少して
いるにも拘わらず、だ。
そんな中、中学受験とは縁遠い公立出身の親たちでさえ、「わが子にはでき
るだけ良い教育を」と中学受験を視野に入れ始め、「受験させるか、させ
ないか」で迷い、悩んでいる。
そこで本書では、小学生以下の子どもを持ち、中学受験を視野に入れている
親を読者対象に、公立中学、私立中学の現状、また受験のメリット・デメリ
ット、そして、「教育格差」時代における「わが子にとって望ましい教育の
あり方」を提言する。
著者は、『受験は要領』などの数多くの著作を持ち、自らも「緑鉄受験指導
ゼミナール」を主宰し、指導を行っている受験界のカリスマ・和田秀樹氏。
私立受験派にとっても、公立派にとっても、目からウロコが落ちる内容に
なっている。
ぜひご一読を。
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(編集後記)
忘月忘日 『春琴』観た。サイモン・マクバーニー演出で、世田谷パブリック
シアターで上演。深津絵里主演。同じ人の演出で数年前に上演された
『エレファント・バニッシュ』もよかったけど、それ以上の出来。日本の
エキゾチズムを強調するような見せ方だとシラけるなぁと思っていたけど、
そんな事なかった。お薦め。
忘月忘日 「Life」の予告編を収録。『自分探しが止まらない』担当編集と
してお声がけいただき、ガチガチになってしゃべる。あんなに緊張するもの
なのか。人と会う時にあがったりすることはまずないのだけど、これには
参った。
忘月忘日 旧知の藤原ちからさんから『路字』0号いただく。ありがとう
ございます。サイトは以下です、これから拝読しますね。
http://www.big.or.jp/~solar/rojipost.html
忘月忘日 寝不足エブリデー。
忘月忘日 栄養不足ライフ。
忘月忘日 徒労感満点マイウェイ。
(かんば)
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