●加齢臭彼女の事情●
(2009/09/30)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ビジネスの新しいスタンダード!
■■週刊ビジスタニュース■■
●加齢臭彼女の事情●
http://www.sbcr.jp/bisista/ 2009.09.23配信分
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
毎週水曜日発行(5週目はお休みします)。
[Index] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.小田嶋隆「大日本観察」
2.森山和道[特別寄稿]
「『脳は眠らない』から見えてくる“夢”と“睡眠”の最前線」
3.編集部の現場から
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今号では、サイエンスライターの森山和道さんにアンドレア・ロックの
『脳は眠らない 夢を生みだす脳のしくみ』(ランダムハウス講談社)
の書評をご執筆いただきました。脳ブームの昨今ですが、夢や睡眠の
分野ではどのような研究が進んでいるのか――ご一読ください。
当メルマガでも原稿をご執筆いただいたジャーナリストの森健さんの
新刊『就活って何だ』(文春新書)が刊行されました。外からは
当然わかりにくい人事部の本音について人気企業を中心に取材を行った
内容です。社会人でももちろん興味深く読めますが、学生さんに
とっては、『会社図鑑!』(ダイヤモンド社)などと併読もすれば、
非常に企業というものに対しての見通しが良くなるのではないかと
思います。
連休明けでぐったりなさっている方も多いかと存じますが、もう
月末で期末でもあります。頑張って乗り切りましょう。
前号(山本一郎さんの連載、雨宮まみさんの特別寄稿を掲載)はこちら。
http://www.sbcr.jp/bisista/mail/art.asp?newsid=3383
■━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
■□ 1.小田嶋隆「大日本観察」
■□
■━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
トシをとって、一番縁遠くなるのは、ファッションだと思う。なにより、
わからない。理解できないのだ。感覚として。
そのくせ、興味だけはある。不思議ななりゆきだ。というよりも、困った
傾向と自覚すべきなのかもしれない。たしかに、困った傾向ではある。
でなくても、わかりもしないくせに口をはさみたがるというのは、若い連中
の側から見て、最悪なオヤジの態度だ。
が、気になるものは気になる。ファッションは、イヤでも目に入ってくる
ものだから。わからなくても。
で、当方はいちいち反発する。なぜだろう。どうして、オレらオヤジは、
若い者の着ているものに、こうも露骨に目くじらを立てるのであろうか。
放っておけば良いのに。
たとえば、音楽について話をさせれば、私はずっと寛大な男だ。誰が
どんな音楽を聴いていても、特にとがめだてはしない。ヒップホップ
であれ演歌であれ、あるいはクラシックでもジャズでも、よしんばAKB48
やらEXILEであっても、人は誰もが固有の好みを抱く権利を持っていると、
私は、そういうふうに考えている。好きなものを聴けばよろしい、と。
感覚が衰えているということもない。どんな音楽でも、聴けばわかる。
最新流行のトレンドや日々動いているヒットチャートを追いかけ回す努力
は、もうしなくなって久しいが、それでも、ちょっと気合いを入れて
聴けば、今の音楽だってなんとかわかる。好き嫌いは別にして、ついて
いこうと思えば追随できる。要は、意欲の問題であって、感覚が年老いた
わけではない。
であるから、若い人たちが聴く音楽に、いちいち文句をつける気持ちにも
ならない。治外法権。相互不干渉。耳というのは、案外にリベラルな器官
なのかもしれない。
お笑いや、言葉の流行についても、追いかけなくなっただけで、わからなく
なったのではない。あくまでも自覚としては、ということではあるが。
ところが、ファッションは、これはもう絶対的にわからない。パッと見て、
何がハイセンスで、どういうのがイケていて、どういうスタイルがダサい
のか、まったく手がかりをつかむことさえできない。
というよりも、正直に言えば、若い人たちのしている格好は、どれを見ても
ちぐはぐに見える。それほど、感覚が衰えている。別の言い方をするなら、
私のファッション感覚は、'70sぐらいのところで窒息死していて、趣味も
好き嫌いも完全に固定化しているのだ。生きている化石。シーラカンス中年。
どうとでも好きに呼んでくれ。
それでいて、ファッションについては、なぜなのか、クールになれない。
「好きなものを着ればいいのだよ」と、寛大に構えることができないのだ。
「なんという傲慢な感じのする服装だろうか」
「ほとんどグロテスクだな」
「ああ、どうしてこんな格好をした連中と口をきかなければならんのだ?」
と、ヤングな人々の服飾傾向のいちいちに突っかかっている。実に困った
傾向だ。
で、時に、雑誌を購入などして、最新のファッションについて勉強をして
いたりする。最悪の態度だと思う。感覚で理解できないものについて、
机上の知識で理論武装をする。あるいは、言葉の上の分類だけを丸暗記
して批評しようとする。イヤな野郎の典型。私が若い頃憎んでいたクソ
オヤジの態度そのものだ。
「あのねオダジマ君。こないだキミの言っていたグラム・ロックだけどね」
「(あのさオッサン。わかんないなら黙っててくれないかな)」
と、私は何度そう思ったことだろう。
ボブ・ディランの「時代は変わる」にドンピシャ(←死語?)のフレーズが
あった。
Come mothers and fathers Throughout the land And don't criticize What you can't understand
「国中のお父さんやお母さん。理解できないことを批評するのはやめた方
がいい」
そう。若い連中はあんたの理解を超えている。手を貸すことができないの
なら、放っておいてあげようぜ、と。事情はよくわかっているのだが、
それでも、気になるのだね。わからないくせに。というよりも、わからない
からこそ、なおのこと。
で、森ガールだ。あれは、見てるだけでイライラする。ゴスロリもゴスロリ
で神経にコタえるし、ギャル系の人たちのアレな態度もカンにさわると
いえばさわるのだけれど、何が一番アタマに来るのかというと、最近では
やっぱり森ガールなのである。
なので、感覚的に理解できていない人間による、無理矢理な批評であること
を断った上で、今回は、「森ガール」について、思うところを述べたい。
「わかんないんなら黙っててよ」と、森ガールは言うだろうが、私の側にも
一応の反論はある。
「わかんないからアタマに来る。だから、わかろうとしている。悪いか?」
たぶん、悪いのだが。
語源は、「森にいそうな女の子」ということらしい。傾向としては、
ゆるくて、かわいくて、ふわふわでガーリー。アイテムとしては、パンツ
よりスカート、パフスリーブ(いわゆる「ちょうちん袖」)、ポンチョや
ボレロ、ぺたんこ靴などなど。素材はリネン、レース、かご、革、生成り、
そういうもの。でもって、芸能人で言えば蒼井優ということになるらしい。
実例が思い浮かぶであろうか?
私は、なんとか絵が浮かぶ。なるほど。あのヒトたちか、と。近頃、うちの
近所にも時々出没している。それも、思わぬ時間帯に。たとえば、未明の
コンビニで、パズル誌を立ち読みしていたりする。しゃがみこんで。
びっくりするね。あまりにも堂々と周囲から浮いているから。
さてしかし、森ガールは、私にとって、生まれてはじめて見る新種ではない。
むしろ、遠い昔の記憶につながっている。それも、どちらかと言えば面倒
くさい記憶に、だ。思い出したくないがゆえに、最近まですっかり忘れて
いた記憶。そう。青春。別の言葉で言えば恥辱だ。
ともあれ、ああ昔こういうコたちいたぞ、と、彼女たちを見ると、私は、
そう思うのだ。
たとえば、フォーク系のサークルに出入りしていた前髪パッツンの不思議
少女とか。自分では魅力的だと思い込んでいる類。で、その思い込みに
ひっかかる気の弱い男が幾人か現れて、その上目遣いのいつも首をかしげて
いる彼女の周囲には、なぜかトラブルが絶えない。その面倒くさい様相。
相談事と愚痴とリストカットと深夜の電話と半年後の手紙。ああ面倒くさい。
森ガールという名称は新しい。が、彼女たちが体現しているあの半ば自閉的
な姿は、ずっと昔から絶えることなく流れているひとつの牢固たる
ファッション傾向だ。私の世代の女の子たちにも、この流れは、確かに
あって、世間の流行とは別なところで、独自の世界を構築していた。
私が個人的に「大草原の小さな家の人たち」と呼んでいたのがそれだ。
いきなりこう言ってもわからないだろう。
そういう名前の海外ドラマがあったのだよ。詳しくはググってくれ。
「大草原の小さな家」。開拓時代のアメリカを舞台にした家族の物語だ。
その中に出て来る幼い姉妹のファッションが、モロに「森ガール」の原型
だった。
ふわふわのロングスカート。フリルのついた胸当て。赤ずきんちゃんの
おばあちゃんがかぶっていそうな帽子。幾何学模様のスモック。レースが
わさわさしてる靴下。小花模様のスカーフ。あるいはパッチワークの
ワンピース。リボン。クルミのボタン。背中でバッテンになっている
スカート。カチューシャ。首の前でちょうちょ結びにするブラウス。
そういう人たちだ。
肌の露出は、極力少ない。化粧っ気もほぼゼロ。で、アピールするポイント
は、低血圧と色白。というよりも「太陽が苦手」ぐらいな独白。誰も聞いて
ないのに。
「あたしって、ほら、太陽とかニガテなヒトだからぁ」
ああそうですかそうですか。オレはあんたの介護なんかしないぞって、
はっきりそう口に出して言わないとダメか? そこまで言わないと
わかってくれないのか?
つまり、不思議の国のアリスだとか、赤ずきんちゃんだとか、そういう
一種ロリータなんだけれども非女性であるような、夢の中にいる妖精に
近い人たち。それが彼女たちだった。とても面倒くさかった。
どの世代にも、必ず一定数含まれている「不思議ちゃん」と呼ばれる女の子
たち。メルヘンでメンヘルな(←メンタル・ヘルス上の問題をかかえた)扱い
にくい子猫人格。独自の語尾でしゃべり、造語まじりの感覚言語を連発する
自己愛性人格障害。でシャイでありながら自己顕示欲が強く、さびしがりや
のくせに一人が好きであることをアピールしたがる。ああなんという面倒
くささ。なあ、子猫ちゃん。悪いけどオレはあんたの足長おじさんじゃない。
と、私は、何度心の中で叫んだことだろう。
いや、特徴を列挙してみれば、これは、誰にとっても、ある程度は思い
当たるところのある人格傾向なのだ。というよりも、多くの女性は、
子供であった時代から大人に変わるまでの間の微妙な期間を、
一種の「妖精」(←あくまでも本人の自覚としては、ということだが)
として過ごす。そういうことなのだ。
女の子は、「少女期」という非常に扱いにくい(本人にとっても周囲に
とっても)一時期をくぐり抜けることで、はじめてオトナになる。そう
思って許してあげなければいけない。私は、50歳を過ぎてようやく許せる
ようになった。つまり性的な対象でなくなってはじめて。やっかいな
人生だ。
公平を期して言えば、男の側にも、似た事情はある。われわれもまた、
ガキからオトナに変身する課程で、「中坊」という手に負えない時期を
くぐりぬけねばならない。
つまり、男であれ女であれ、子供は、いったん中学生という別の生き物
になることで、はじめて大人への階段を登りはじめるものなのだ。
これは、うっとおしいことだし痛ましいことでもあり、みっともなかった
り面倒臭かったりすることでもある。でも、仕方がないのだ。芋虫が蝶に
なる前に、さなぎという段階を踏まないといけないのと同じことで、
人は、大人になる前段階として、思春期というトンネルを通過せねば
ならない。
さて、森ガールは、どうにも少女過ぎて、私は、自分が少年であった当時
から、苦手だった。で、極力敬遠していた存在だった。でも、敬遠せずに
根気強く彼女たちに接近をはかれば、あるいは彼女たちは、「ツンデレ」
というものの典型かもしれないかと、と後で認識した可能性もある。
人一倍内気な彼女たち(というよりも、「シャイ」ということのみが、
彼女たちの人生の主題なのだね)は、容易に男を近づけないが、ひとたび
圏内に入れば、案外それはそれで、付き合い方があったのかもしれない。
手遅れだけどね。
聞けば、森ガールにとっての理想の男は、「マタギ男」だそうな。
いや、そういう主張の記事があったというだけの話だ。私は必ずしもそう
思っていない。
というよりも、この記事(←ググってくれ)真面目に読むことが
できなかった。そもそも、「マタギ男」という言い方が、「ネタ」としか
思えない。人格標本として、あまりに猫またぎ過ぎる。
こういう話をされると、「森ガール」に乗っかって記事を書いている自分が
バカに見えてくる。あーあ、オレもつまらん造語にひっかっかっちまったぜ、
と。
「草食系」「肉食系」という昨今話題の分類法もそうだが、「○○女子」
「歴女」「艶女」(←『あでーじょ』と読む《笑》)みたいな調子の
レッテルは、年々嘘くさくなってきている。なぜだろう。
森ガールの源流たるファッション傾向は以前も存在していたように、
こんな言い方(女性のファッション傾向や、若者のライフスタイルを
分類して、あたらしい人格標本を仕立て上げる手口)も、昔からあった。
が、現在ほど、乱発されていたわけではない。だから、昔の「○○族」
という言い方には、もう少し内実があった。
たとえば、「タケノコ族」は、言葉が先に発明されて、その後で対象
となる人々が登場したわけではない。あの時の経緯を言えば、ある時期に
ある特定の場所に奇妙な格好をした一群の人々が確かに出現していたわけ
で、その、奇妙なスタイルの集団に名前をつけるという順序で、新語が
できあがっていた。
森ガールも、一応、実在している。ネーミングが妥当であるのかどうか
はともかく、順序は踏んでいる。その意味では、コラムのネタぐらいに
はなる存在だと思う。
でも、「マタギ男」はどうなんだ? そんな野郎がこの平成の日本に
実在するものなのだろうか。いるとして、彼らは、雑誌の編集部が雇った
バイトではないのだろうか?
マタギ男。実在するのだとしても、ダサ過ぎる。私はあえて話題にしたい
とは思わない。さようならマタギ男。
結論を述べる。森ガールは、少女の自己防衛本能が形になって表れたもの
なのだと思う。あるいは、「少女」というイメージを、ひとつひとつ
パズルのピースをつなぎ合わせるみたいにして、完成させた絵柄が、
森ガールという形に結実している。そういう構造になる。
その意味で、15歳だとか17歳だとかの女の子が、森ガールの世界に逃げ込み
たくなる気持ちはとてもよくわかる。彼女たちは、不本意に子供の世界から
追放されたピーターパンの女性バージョンで、本人は、まだ大人になりたい
とは思っていない。
だから、大人でも子供でもない不安定な時期を、森の中の赤ずきんちゃんの
扮装でやり過ごすわけだ。オオカミを恐れ、おばあちゃんと暮らしていた
懐かしい幼年期に思いをはせながら。
気持ちはわかる。
でも、20歳を過ぎた女性が、森ガールをやっているというのは、これは、
一種の暴挙に近い。おっさんの半ズボンよりまだタチが悪いと思う。
なので、森ガールの皆さんは、ぜひ20歳までに卒業するように。
法律で禁止できると良いのだが。
●小田嶋隆(おだじま・たかし)
コラムニスト。毒を含んだ軽妙な文章は、多くのファンを持っている。
著書は、『テレビ標本箱』『テレビ救急箱』(ともに中公新書ラクレ)、
『サッカーの上の雲』、『1984年のビーンボール』(ともに駒草出版)
など多数。
新刊は、岡康道との共著『人生2割がちょうどいい』(講談社)。
サイト:おだじまん
http://odajiman.net/
■━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
■□ 2.森山和道[特別寄稿]
■□ 「『脳は眠らない』から見えてくる“夢”と“睡眠”の最前線」
■━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
睡眠中の脳は何をしているのか。「夢」と「覚醒」の違いは何か。
なぜ夢はあまり覚えていられないのか。夢のなかで理不尽なことが起きても
あまり気にしないのはどうしてだろうか。
アンドレア・ロック『脳は眠らない 夢を生みだす脳のしくみ』
(ランダムハウス講談社)はこれらの疑問に対して、睡眠研究がもたらした
現時点での答えをまとめたものである。著者はサイエンスライターで、
多くの研究たちを取材して回っており、綺麗に分かりやすく睡眠と夢の研究
の概況を伝えてくれる一冊である。
原著は2004年刊行、邦訳が出たのは2006年(新装版が2009年刊行)なの
だが、神経科学の視点から睡眠時、夢見時の脳の働きについて解説した
啓蒙書には現時点でもこれ以上の本はない。テキストも読みやすい。
1953年の人でのREM睡眠の発見以降、睡眠の生理的な面についての研究は
進んできた。たとえば、REM(レム)睡眠は神経系の早期発達に重要な役割
を果たしているらしい。だが、睡眠中の精神体験である夢については、
まだ決定的なことは分かってない。
夢には、本能的な衝動を発散させる役割があるとか、記憶の編集をしている
のだとか、行動プログラミングやシミュレーションなどの役割がある
といった様々な考え方については多くの方が聞いた事があるだろう。
大きく分けると、夢に対しては二つの考え方があるようだ。睡眠時の
脳活動による単なる随伴現象に過ぎないとする立場と、何かしら積極的な
役割を果たしているという立場である。
主に前者の立場をとっているのがJ・アラン・ホブソンらだ。彼らは、
REM睡眠中に脳幹の「橋(きょう)」と呼ばれる部分のコリン作動系に
よってランダムに引き起こされる信号の伝搬が夢の起源だと考える。
その信号が大脳皮質に到達し、夢が引き起こされるのであり、夢には
精神分析的な意味はないとする。本書でも詳述されているが、夢は
いわば精神錯乱のようなものだとする彼らの考え方については、
『夢の科学』(講談社ブルーバックス)や『夢に迷う脳』(朝日出版社)
にも詳しい。
いっぽう、真っ向からぶつかるのが神経科学と精神分析の融合を試みている
研究者の一人、マーク・ソームズらである。
ソームズはREM睡眠と夢見は同義ではないとし、ホブソンが重視する
中脳橋被蓋が損傷をうけた患者も夢を見ること、そして前脳基底部が損傷
をうけると現実と妄想の区別ができなくなり、リアルな白昼夢を見るよう
になる症例が存在すること、前頭葉の腹内側部の白質切断術を受けた患者は
夢を見ないといったことから、REM睡眠の制御と夢は本質的に異なった
メカニズムで制御されており、夢は前脳で作られるのだ、とホブソンらに
反論する。
フロイトの説を神経科学的な側面から復活させようかとしているような
ソームズの考え方は、『脳と心的世界』(星和書店)に詳しい。
本書でも彼らの議論の衝突は、話題の中心にある。そして、結論はまだ
出ていない。面白いことに、というのもなんだが、2001年にホブソン自身
が脳梗塞で脳幹を損傷してしまった。だがそれでも夢を見たことから、
彼も夢の意味を今ではある程度認めるようになっているという。
いずれにしても彼らの考え方を少し知るだけでも、夢や睡眠の研究が持つ
広がりや可能性が実感できるだろう。単に夢見ているときのことを知るだけ
が夢の研究ではないのだ。
本書だけの話ではないのだが、「睡眠」と「夢」の研究の歴史や現在を
追ってみると、「睡眠」の研究は進んでいても、「夢」の研究はあまり
進んでいないことに気づく。いわば「睡眠」の研究は脳そのものの、
「夢」の研究は精神の観察と言い換えることもできるかもしれない。
これまでの科学では睡眠、そして脳そのものの生理的な活動を計測する
ことはできても、そこから先に踏み込んで探っていくことは難しかった
のだ。だが、特殊な、あるいはもう一つの精神状態としての「夢」について
知ることで、覚醒時の意識の意義について分かることは少なくないはずだ。
夢とは、脳が自発的に生み出す刺激の主観的な知覚であると言えるだろう。
「夢」、そして「睡眠」の研究が、「覚醒」時も含めて、神経系が生み出す
精神活動全体の研究への道を拓いてくれることに期待したい。
●森山和道(もりやま・かずみち)
サイエンスライター。
多くの雑誌やネット媒体で、サイエンス関連を中心に書評やレポートを執筆。
また、研究者への取材をもとに科学の最前線を紹介する有料メルマガ
「ScienceMail」を配信している。
共著に『クマムシを飼うには 博物学から始めるクマムシ研究』(地人書館)
などがある。
サイト:moriyama.com
http://www.moriyama.com/
■━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
■□ 3.編集部の現場から 吉尾太一
■□ 上村光弼
■□ 『会社でチャンスをつかむ人は皆やっている!一流の部下力』
■━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
例えばあなたが、自分の上司に、
「こんなイベントをやりたいので、予算をつけてください」
「このことを協力してほしいので、他部門との調整をお願いします」
「こんな機材が必要なので、購入してください」
とお願いしたとしましょう。
その時、毎回のように、「何でそんなものいるの?」「今は難しいよ」
「まあ考えとくわ……」と渋られたとしたらどうでしょうか?
これでは仕事にはなりませんし、精神的にも相当な苦痛を感じることでしょう。
逆に、
「お前が何かやる時は、俺が必ず一肌脱いでやる!」
と思ってくれていたとしたら、いかがでしょうか?
先のようなお願いに対して、いつも即座に「わかった、すぐ対応する」
「いいよ、応援するから頑張れ!」「よし、後は俺に任せとけ」と言って
もらえるような状態です。
これは最高ですね。すべての仕事がやりやすくなるし、出世・昇給・
キャリアアップにもプラスに働くはずです。なりより、精神的に本当に
楽になります。
これくらい自分の仕事やキャリア、果ては精神状態にまで、大きな影響が
でるのが「上司との関係性」なのです。しかし意外と、「この上司との
関係性について、本気で考えない部下側の人が多い」のです。
では、どうすれば、「上司との関係性を良くする」ことになるのでしょうか。
それは、次の質問について考えることです。
「自分が上司だったら、どんな部下と働きたいか?」
本書は「こんな部下と一緒に働きたい!」「こんな部下なら抜擢したい!」
と思ってもらえる力のことを、「部下力」と名づけ、それを高めるための
参考書です。
全国3万人の管理職の“生の声”から導き出されたマル秘ノウハウです。
つまり、出世・昇給・キャリアアップなど、会社でチャンスをつかむため
の本当のルールといえるでしょう。
ぜひ、お読み下さい。
△▼△▼↓↓↓↓ご購入はこちらから↓↓↓↓△▼△▼
http://www.amazon.co.jp/dp/4797354968/wwwsbcrjp-10-22/ref=nosim
+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
(編集後記)
忘月忘日 森山さんにレビューを書いていただいたアンドレア・ロック
『脳は眠らない 夢を生みだす脳のしくみ』(ランダムハウス講談社)は
素人でも興味深く読める好著でした。旧版が出た段階では完全にその存在
に気づかず、先日、森山さんが新装版をサイトで紹介されているのを見て
初めて知った次第。お薦めですよ。
忘月忘日 マンガ喫茶のマッサージシートに癒される昨今です。
忘月忘日 自分のデスクの散らかりぶりに嫌な思いをさせられる昨今です。
忘月忘日 会田弘継『追跡・アメリカの思想家たち』(新潮選書)や
夢枕獏『夢枕獏の奇想家列伝』(文春新書)、朝倉かすみ『夫婦一年生』
(小学館)などを読んでおります。読書は楽しいねぇ。
忘月忘日 ビジスタニュースの件名の元ネタがわからないことが多いとの
お言葉をいただきました。今回は『彼氏彼女の事情』が元ネタですよ。
(かんば)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
|
|