なぜ環境問題の取り組みはいつまでも進展しないのか？ 各国の思惑や利害がからむ国際会議の舞台裏を見てきた著者が、環境問題の本質に鋭く迫る

日本人の多くは、環境問題とは「自然を守ること」だと考えている。しかし世界では、環境問題とは「開発のこと」というのが常識になっている。
国際会議の場でも、おもに話し合われるのは、どう経済開発を進めて、貧困をなくしていくかという視点からの環境問題だ。
環境問題を理解し、その解決策を探るためには、「環境」と「開発」の両方を知る必要がある。本書では、グローバルな視点から環境問題を読み解いていく。

第一章 知らなかったでは済まされない環境問題
第二章 世界が環境問題に取り組んだ四〇年の歩み
第三章 緊急の環境問題、時間がかかる国際合意
第四章 アフリカから見た環境問題
第五章 日本人と開発と環境

■著者：大賀敏子（おおが・としこ）
UNEP（国連環境計画）のナイロビ本部で働く、環境国際交渉の調整官（リエゾンオフィサー）。ケニア、ナイロビ在住。ナイロビ国連職員組合副委員長。1983年に一橋大学卒、環境庁（現環境省）に勤務後、UNEP環境計画官（ナイロビ）、JICA専門家・タンザニア政府環境政策アドバイザー、ESCAP環境管理専門家（バンコク）を経て1999年より現職。著書に『心にしみるケニア』（岩波新書）、訳書（共訳）に『アジェンダ21─持続可能な開発のための人類の行動計画─』（海外環境協力センター）があるほか、季刊『ニューエネルギー』（都市エネルギー協会）への連載寄稿など多数。