
デジタル教科書革命
寺子屋の時代から今日に至るまで続いてきた「放送型」の教育現場が変わる。双方向性を持った書籍型端末で提供される次世代の教科書・教材が、学校をどのように変えようとしているのか。
少子化が進む一方で、教育の質の低下という二重の危機を抱えている日本。OECDの調査でも学力低下の傾向は明らか。かつて世界の先端教育を推進してきた日本の学校は深刻な問題を迎えている。
日本の教育の危機を打開する有力なツールとして期待されるのがデジタル教科書。双方向性を持ったデジタル教科書・教材は、読み書きそろばん論理のスキルアップだけでなく、日本人の表現力・創造力・コミュニケーション力の向上に貢献するものとして大いに活用されるべきものだ。
デジタルを活用して子どもたちの自発的な学習意欲を高め、1人1人にあった内容・進度で学ぶ環境作りを目指そうとする動きは、欧米はもちろん、韓国やシンガポールなど、世界の趨勢でもある。江戸時代の寺子屋に始まり現在にいたるまで、ずっと1対多数の「放送型」であった日本の教育現場は今後、どう変わっていくべきなのか。本書は、いま教科書がデジタルすることの意義を、世界と日本のICT教育の最先端事例を紹介しつつ、わかりやすく解説するものである。
はじめに
第一章 デジタル教育が日本を救う
第二章 世界はもうここまで進んでいる
第三章 電子書籍端末の現在
第四章 進化するデジタル教材
第五章 これからの課題
■著者:
中村伊知哉
慶應義塾大学メディアデザイン研究科教授。1961年生まれ。「少年ナイフ」のディレクターを経て1984年に旧郵政省入省。通信自由化、マルチメディア政策、インターネット政策などを推進。1998年にMIT客員教授、2002年にスタンフォード日本センター所長、2006年に慶應義塾大学教授に就任。融合研究所代表理事。NPO法人「CANVAS」副理事長も務める。
石戸奈々子
NPO法人「CANVAS」副理事長。1979年生まれ。東京大学工学部卒業後、MITメディアラボ客員研究員、スタンフォード日本センターのプロジェクトコーディネーターを兼任。2002年に子供向け参加型創造・表現活動の全国普及・国際交流を推進するNPO法人「CANVAS」を設立。