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「プライバシー」の哲学

仲正 昌樹:著者

プライバシーの保護が叫ばれる昨今。しかしそもそも「プライバシー」とは何なのか? その定義は曖昧なまま、言葉だけが独り歩きしている。西欧起源のこの概念はどのように生まれ、受容されていったのか。情報化社会のキーワードの1つに正面から取組む1冊。
『集中講義!日本の現代思想』(日本放送出版協会)、『「不自由」論』『お金に「正しさ」はあるのか』(筑摩新書)、『ネット時代の反論術』(文春新書)など、現代社会思想の旗手として次々と著書を発表、多くの固定ファンを持つ仲正昌樹氏による最新刊。

今回、仲正氏が俎上に載せたのは、芸能人の恋愛スキャンダルから、住所・氏名などの個人情報、信教の自由、果ては遺伝情報にいたるまで、考え得るさまざまなものを飲み込んで肥大・膨張を続ける「プライバシー」という概念について。

原語の持つ意味を離れ、カタカナ語として日本固有の意味を持つにいたった「プライバシー」には、もはや決定的な定義を与えることすら難しくなっています。これに対して本書は、西欧における”privacy”と日本の「プライバシー」の違い、プライバシー概念成立の経緯、法律とプライバシーの相克、プライバシー権獲得の歴史などを概観しながら、最終的に現代日本における「プライバシー」の本質に迫る意欲作となっています。

第1章 「プライバシー」とは何か?
*「プライバシー」の意味
*「プライバシー」と「プライベート」
*「欠如」としての「私」
*「プライベート」と「わたくし」

第2章 近代的「公共性」の成立と「プライバシー」
*「人間の条件」としての「公共性」
*「公共性」を支える「私秘性」
* 市民社会における「プライバシー」
* 市民的公共圏と「私生活」の空洞化
*「私生活」における「自己決定」

第3章 プライバシーの法理
*「プライバシー権」の起源
* もう1つの「プライバシー権」=「自己決定権」
* 日本における「プライバシー権」
* 自己情報コントロール権
*「個人情報保護法」
* 財産権としての「プライバシー権」

第4章 「プライバシー」をめぐる抗争
*「家」の政治性
*「プライバシー権」とフェミニズム
* リバタリアンとポストモダン左派
* ポストモダン左派のジレンマ
* 個人情報過保護?
*「宗教的プライバシー」をめぐる対立
*「宗教的プライバシー」vs.「表現の自由」

第5章 プライバシーの”本質”
*「私秘性」の意味
*「プライバシー」と「自己」
*「プライバシー」と「他者のまなざし」
*「プライバシー」と「自由」
*「プライバシー」における「正義」
*「プライバシー」と「自由」

定価:770円(本体700円+10%税)

書籍情報

  • 発売日:2007年11月16日(金)
  • ISBN:978-4-7973-4104-1
  • サイズ:新書
  • ページ数:216
  • 付録:-

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