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情緒から論理へ

鈴木 光司:著者

論理的に考えず、情緒的な希望的観測に引きずられた指導者たちの過ちによって、過去、いかに多くの国民が不幸に見舞われたことか。いま、日本人に必要なのは、情緒より論理だ。
◎藤原正彦氏『国家の品格』に異議アリ!

ベストセラー『国家の品格』で藤原正彦氏は、「論理より情緒」と喝破した。
これに異を唱えるのが本書の著者である。

日本は伝統的に論理より情緒に偏った社会となっている。
いまの日本人に必要なのは、「情緒より論理」と言うべきなのだ。

さらに、大局観や総合判断力は、視野の狭い情緒によって養われるものではない。
哲学や物理学のような論理の世界で培われる素養である。

鈴木光司氏は言う。
「ぼくが『情緒より論理だ』と言うのは、もともと日本人は情緒を好みすぎる民族だからです。日本人は放っておけば、ますます情緒に惹かれます。だからこそ、必要なのは論理とぼくは声を大にして言いたいのです」

日ごろの生活で誰もが直面する事象からかつての太平洋戦争の愚策に至るまでを俎上に載せ、日本人の論理の欠如と情緒による失墜を考察し、世界に共通する論理を示すことと、日本人らしい情緒を保つことの両立を提言する。

第一章 論理が日本をよくする
◎対立概念で世界を見る
◎母性に振り切れた針を戻す
◎なぜ勉強するのか?
◎学校教育は子どもの能力を高めるか

第二章 論理的とはどういうことか
◎大局観を持つ
◎データにのっとって議論する
◎言葉で伝える
◎筋道を立て、勇気をもって表現する
◎企業と資本主義の論理
◎国民的議論を避けてはいけない
◎論理はどこからきたか

第三章 なぜ論理が大切なのか
◎藤原正彦氏に異論を唱える
◎世界に共通する論理を求める

第四章 情緒的すぎる国
◎秋葉原無差別殺傷事件はなぜ起きたか
◎教員免許更新より免許廃止を
◎高速道路バイク二人乗りは本当に「危険」なのか
◎ライフジャケットで命は守られるか
◎優しいサービスがムダを生む
◎根拠なき懐古主義に陥ってはいけない

第五章 情緒的民族の失敗
◎日本人は戦争に長けていたか
◎日露戦争が生んだ過信
◎太平洋戦争に至る非論理
◎目的の不徹底と根拠なき楽観〈ミッドウェイ海戦〉
◎己へのうぬぼれ、敵への過小評価〈ガダルカナル作戦〉
◎無謀がまかり通る不合理〈インパール作戦〉
◎アウシュビッツを上回る効率的大量殺人
◎「外道」だった作戦〈特攻〉
◎想像力のなさが生んだ判断ミス〈終戦工作〉
◎現代にまで続く教育のゆがみ
◎人は過去から何を学ぶべきか

■著者紹介
鈴木光司(すずき・こうじ)
1957年、静岡県浜松市生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒。90年、デビュー作の『楽園』(新潮社)が日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞。その後、『リング』『らせん』『ループ』『バースデイ』(以上、角川書店)が計800万部のベストセラーとなり、一大ホラーブームを巻き起こす。著作は世界20カ国語に翻訳されている。また、”文壇最強の子育てパパ”の異名の通り、二人の娘を育て上げた経験から、政府の諮問機関「少子化への対応を推進する国民会議」や東京都青少年問題協議会の委員などを歴任。作家になる前、塾の講師や家庭教師をして子どもたちに勉強を教えた経験もある。2008年12月、サイエンスホラー小説『エッジ』(角川書店)を発刊。

定価:803円(本体730円+10%税)

書籍情報

  • 発売日:2009年3月17日(火)
  • ISBN:978-4-7973-4844-6
  • サイズ:新書
  • ページ数:208
  • 付録:-

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