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日本版サブプライム危機

石川和男、生駒雅、冨田清行:著者

住宅ローン破綻から始まる「過重債務」

90年代後半に推進された住宅購入者向け融資が焦げ付き始めた。ローンのためのローンで多重債務者が急増。一方その「救済策」が信用力の低い借り手をさらに苦しめる。いったい何が起きているのか? 日本人が理解していない「自国のサブプライム問題」に迫る。

●世界経済を混乱に陥れた米国のサブプライムローン問題。発端は信用力の低い個人向け住宅融資にあったが、実は、日本でも潜在的に同じ問題を抱えている。90年代、バブル崩壊からの経済回復のため政府は経済対策を乱発したが、特に波及効果が大きいとされる住宅投資へは、旧住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)の住宅ローン条件を93年~98年にかけ集中的かつ急激に緩和させていった。景気対策という大義名分の元に、一般家庭が住宅ローンという多額の債務を安易に背負うことが国を挙げて推奨されていたのだ。

●その前提には、住宅取得者一人ひとりの将来の返済能力への楽観視があったのだが、その後の経済状況や雇用情勢の変化により返済能力の低下が露呈している。実際、旧住宅公庫残高に占める「リスク管理債権」の割合が増加している

●今08年は98年秋に年利2.0%という史上最低金利で旧公庫の住宅ローンを組んだ債務者の金利が2倍の4%程度に上がる10年目の年。日本全体の平均給与水準が上がらない中、今後住宅ローン破綻が激増する可能性が高い。

●昨今、多重債務問題が社会的に大きな波紋を投げかけている。しかし、意外に気づかれていないことだが「多重債務」は定義上、貸金業による債務のみを問題とし、銀行や公庫からの住宅ローンは含まれていない

●住宅ローン返済に充てるため消費者ローンに手を出し、結果として多重債務に陥る人は後を絶たない。そして、一方では貸金業規制に伴う信用収縮で、お金を借りたくても借りられない人が多発。結果として個人事業主や中小零細企業の資金繰りがより悪化するという問題が生じつつある。

●緩め過ぎと締め過ぎ。いずれにしても国策による誘導の失敗で「官製不況」の様相を呈している現在の日本。元経済官僚で消費者行政や規制行政の経験が深い石川・冨田と、金融業界の裏事情を知り尽くす元銀行マンの生駒が、迫りくる危機の実態を明らかにし、この国の経済活動を元に戻すための処方箋を提言する。

序章――サブプライム問題は対岸の火事にあらず
第一章 住宅ローンは多重債務への一里塚
第二章 なぜ日本は住宅ローン天国だったのか
第三章 終わりなきデフレ、そして格差社会
第四章 今、マイホームを持つことのリスク
第五章 住宅ローン地獄からの脱出策
第六章 危機回避のためにこの国がいますべきこと
終章――さらなる「日本版サブプライム危機」の火種

■著者コメント
今も世界を揺るがし続けている米国サブプライム問題の発端は、低所得者向け住宅ローンの過剰供給と連鎖破綻によるものでした。一見対岸の火事のように思われていますが、実は日本も同じような問題を抱えているのです。
多額の住宅ローンを組んでまでして買ったマイホーム。時としてそれは、人生の大きな落とし穴に化けてしまいます。
住宅ローンを返すために消費者ローンを繰り返し、やがて多重債務へ・・・。史上最低の住宅ローン金利から10年目の今年、金利上昇の気配が強まる中で、住宅ローンから始まる過重債務問題が広がる恐れあります。
日本版サブプライム危機が目の前に迫っています。お金を借りる側、貸す側のすべての人々に読んでいただきたいと思います。

定価:803円(本体730円+10%税)

書籍情報

  • 発売日:2008年7月16日(水)
  • ISBN:978-4-7973-4896-5
  • サイズ:新書
  • ページ数:216
  • 付録:-

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