Fedora Core2を利用したDNS設定について 「はじめてのFedora Core2」では,DNSサーバの設定をRed Hatが提供するRed Hat_config_bindを使って解説を行ないました。 しかしながら,本ツールを利用した場合正しく動作しない可能性があることがわかりました。ここでは,エディタを利用したコンフィグレーションファイルの設定方法について記載させていただきます。 (手順1)BINDのインストール BINDのインストールが正しく行なわれることが前提となります。本書P.215を参考にBINDのインストールを行なってください。コマンドラインで行なう場合には,Fedora CoreインストールCDのCD1をCDドライブに挿入して以下のコマンドを実行してください。 mount /mnt/cdrom/ cd /mnt/cdrom/Fedora/RPMS rpm -ihv bind-9.2.3-13.i386.rpm インストールが正しく実行された後,以下の3つのファイルの設定を行なう必要があります。 /etc/named.conf BINDの設定ファイル。正引き,逆引きのためのゾーンファイルを設定します。 /var/named/start-linux.jp.db 正引きのためのゾーンファイルです。 /var/named/56.XXX.196.61.in-addr.arpa.db 逆引きのためのゾーンファイルです。 (手順2)named.confの設定 コマンドラインから以下のように入力し,BINDの設定ファイルであるnamed.confを編集します。 vi /etc/named.conf named.confではゾーンの追加を行なう必要があります。基本的な書式は,以下のとおりです。 ------------------------------------------ zone "ゾーン名称" IN { type master; file "ゾーンファイル名称"; allow-update { none; }; }; ------------------------------------------ 書籍では,以下の項目を設定しています。本書P.214を参照してください。 ドメイン名称 start-linux.jp プライマリDNSホスト名 ns.start-linux.jp プライマリDNSアドレス 61.196.XXX.56 セカンダリDNSホスト名 ns.XXXXX.jp セカンダリDNSアドレス 143.90.XXX.58 これらの設定をするためには,以下の2つのゾーンファイルを追加します。 start-linux.jp.db 56.XXX.196.61.in-addr.arpa.db 具体的には,以下のように入力します。 ------------------------------------------ zone "start-linux.jp" IN { type master; file "start-linux.jp.db"; allow-update { none;}; }; zone "56.XXX.196.61.in-addr.arpa" IN { type master; file "56.XXX.196.61.in-addr.arpa.db"; allow-update { none; }; }; ------------------------------------------ (手順3)正引きの設定 正引きとは,ホスト名からIPアドレスを探し出すことです。これを名前解決と呼ぶこともあります。 具体的には,以下のようなファイルを作成することになります。 /var/named/ドメイン名称.db 本書では,ドメイン名称がstart-linuxでしたから /var/named/start-linux.jp.db になります。以下のコマンドラインで正引きのためのゾーンデータベースファイルを編集します。 vi /var/named/start-linux.jp.db ------------------------------------ $TTL 86400 start-linux.jp. IN SOA ns.start-linux.jp. root.start-linux.jp. ( 21 ;serial 3600 ;refresh 3600 ;retry 604800 ;expire 86400 ;minimam TTL ) IN NS ns.start-linux.jp. ; IN NS nsslv.start-linux.jp. ns IN A 61.196.XXX.56 www IN CNAME ns ---------------------------------------- 上記の設定の内容は以下のとおりです。 ------------------------------------ $TTL 86400 ドメイン名称 IN SOA プライマリDNSサーバホスト名 管理者メールアドレス ( 21 ;serial 3600 ;refresh 3600 ;retry 604800 ;expire 86400 ;minimam TTL ) IN NS プライマリDNSサーバホスト名 ; IN NS スレーブサーバホスト名 ホスト名称 IN A プライマリDNSサーバIPアドレス ホスト名称の別名 IN CNAME ホスト名称 ---------------------------------------- (手順4)逆引きの設定 逆引きとは,正引きと逆にIPアドレスからホストを探し出すことを言います。 具体的には,以下のようなファイルを作成することになります。 /var/named/プライマリDNSサーバのIPアドレスの逆.db 本書では,プライマリDNSサーバのIPアドレスが61.196.XXX.56でしたから /var/named/56.XXX.196.61.in-addr.arpa.db になります。以下のコマンドラインで逆引きのためのゾーンデータベースファイルを編集します。 vi /var/named/56.XXX.196.61.in-addr.arpa.db ----------------------------------------- $TTL 86400 56.XXX.196.61.in-addr.arpa. IN SOA ns.start-linux.jp. root.start-linux.jp. ( 23 ;serial 3600 ;refresh 3600 ;retry 604800 ;expire 86400 ;minimam TTL ) IN NS ns.start-linux.jp. ; IN NS nsslv.start-linux.jp 56.XXX.196.61.in-addr.arpa. IN PTR ns.start-linux.jp. ----------------------------------------- 上記の設定の内容は以下のとおりです。 ----------------------------------------- $TTL 86400 56.XXX.196.61.in-addr.arpa. IN SOA プライマリDNSサーバホスト名 管理者メールアドレス ( 23 ;serial 3600 ;refresh 3600 ;retry 604800 ;expire 86400 ;minimam TTL ) IN NS プライマリDNSサーバホスト名 ; IN NS スレーブサーバホスト名 56.XXX.196.61.in-addr.arpa. IN PTR プライマリDNSサーバホスト名 ----------------------------------------- (手順5)BINDの確認 namedの起動を行なった後、BINDの動作確認を行ないます。 まずは,namedの再起動を行ないます。P.225でご紹介しているようにサービスの設定ツールから再起動も可能ですが,ここではコマンドラインから起動をしてみましょう。 /etc/rc.d/init.d/named stop /etc/rc.d/init.d/named start BINDの確認手順としては,nslookupというコマンドを利用します。名前解決を行ないたいホスト名やIPアドレスを引数としてあたえます。また名前解決に利用したいDNSサーバのIPアドレスを第2引数にあたえることができます。 ここでは,名前解決に利用したいDNSサーバを自分自身すなわちプライマリDNSアドレス 61.196.XXX.56にしてみます。正引き,逆引きそれぞれの場合の名前解決はコマンドラインで以下のように入力します。 正引きの場合 nslookup ns.start-linux.jp 61.196.XXX.56 逆引きの場合 nslookup 61.196.XXX.56 61.196.XXX.56 正しくIPアドレスやホスト名称が出れば設定は完了です。