発売日 2019年08月09日(金)

りゅうおうのおしごと!11

著者名:白鳥士郎(著者) 西遊棋(監修) しらび(イラスト)

¥630(税別)

ISBN:
978-4-8156-0378-6
サイズ:
文庫
ページ数:
360
付録・付属:
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著者紹介

著者・白鳥士郎

白鳥士郎(しらとりしろう)
GA文庫より『らじかるエレメンツ』でデビュー。
代表作として『りゅうおうのおしごと!』『のうりん』シリーズ(GA文庫)など

監修・西遊棋

イラスト・しらび

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  • 姉弟子の過去と残酷な現実、そして「雛鶴あい」というキャラクターの本質

    5.0
    anedeshi_bunko

    注:本レビューは重大なネタバレを含みます。今巻で、二人の関係にここまでの進展が見られるとは全く予想していませんでした。1巻の表紙を飾り、その後何度も内弟子として主人公を献身的に支え、加えて、条件付き婚約や、家族や将棋連盟といった「外堀」への手回しなどの描写が継続的にされてきた雛鶴あいが最終的なヒロインレースの勝者となるのではないか、というのが私を含め、大方の見方だったのではないでしょうか。今巻で、姉弟子はその予想をひっくり返し、見事「勝者」となるのですが、特筆すべきは、やはり、姉弟子の秘められた過去と残酷な現実、そして雛鶴あいとの明確な”対比”でしょう。まず、姉弟子の過去についてですが、病弱だという設定は存在していたものの、命に関わるほど深刻な疾患を抱えていたことは、今巻で初めて明らかになりました。実際に、奨励会試験の際に、対局によって命の危険に晒されるという描写もありました。それが、姉弟子が小学二年生の時です。それから現在に至るまでの8年間、文字通り、彼女は一局一局に命を賭けて将棋を指してきたのでしょう。そして、彼女が命を賭けてまで将棋を指す理由は「八一に追いつき、同じ景色を見るため」というその一点に尽きます。第5巻のハワイの夜で、彼女は勇気を出して、「人生最大の勝負手」を八一に仕掛けましたが、八一のヘタレっぷりによって空振りました(まあこれは八一も竜王戦を控えていたので仕方ないでしょう)。この空振りによって、第6巻終盤の、椚2段との対局に勝ち、八一と共に家路を歩くシーンのモノローグにもあるように、彼女は、「八一は私を選んでくれないから。私が迫れば八一はまた困ってしまうから」「だから私には将棋しかない。八一を振り向かせられるものは、将棋しかない。」という思いをより一層強め、今までにも増して命を賭けてプロ棋士を志していくことになります。今巻で、彼女はようやく恋心を自覚した八一と結ばれ、さらに、”百折不撓”の「折れない心」を手に入れた彼女は、椚三段との対局によってその才能を開花させ、八一と同じ景色を見ることができるようになりましたが、そうした彼女の、筆舌に尽くしがたい凄絶な覚悟や、あまりにも一途な想いを考えると、この展開には嬉しさのあまり、涙が溢れて止まりませんでした。このような素晴らしいストーリー展開を書かれた白鳥先生と、素敵な挿絵を描いてくれたしらび先生には、本当に...本当に「ありがとう」。それしか言う言葉が見つかりません。姉弟子はプロ棋士になり、八一に想いを伝えて二人はめでたくハッピーエンド…と行きたいところですが、桂香さんのセリフにもある通り、そうは問屋(白鳥先生が)が卸しません。ここからは、私の憶測を多大に含むことを承知でお読みください。桂香さんが言っていた「二人にとってもっと残酷な現実」「明石先生の唯一の誤算」とは、察するに”姉弟子の心臓は出産の負荷には耐えられない”ということだろうと思います。桂香さんのセリフ「三段リーグなんていう地獄にずっとひとりで銀子ちゃんを放り込んでおけばいいの?」とは、「姉弟子は出産できない」という残酷な現実から一時的にでも逃れるために、二人を恋仲にする手助けをしない、ということだと考えます。ここで生きてくるのが、最初から一貫している主人公九頭竜八一の「ロリコン=子供が好き」という設定でしょう。八一が「ロリコン」だということは姉弟子もよく知っていて、そうであるがゆえに残酷な現実を知らされた時に、彼女がどのような心情を抱き、どう行動するのか、そしてそれに対してどのような解決策があるのか、というのが今後のストーリー展開なのではないかと思っています。解決策としてひとつ提示されているのが、桂香さんも察した「内弟子」です。あいちゃんを最初に内弟子にしろといったのは清滝師匠です。今巻では何度も内弟子が、家族同然、それ以上の存在になっている、ということが強調して書かれていましたが、清滝師匠自身も、生まれなかった実の息子の代わりに、八一に将棋を教え、育てていました。清滝師匠も姉弟子が出産に耐えられないということは知っているでしょう。それを知ったうえで打った一手が「雛鶴あいを八一の内弟子にする」でした。師匠は、八一と銀子が恋仲になるだろうということまで見通したうえで、子供を望めないであろう二人に、内弟子という存在を通して、家庭の温かさを知ってほしかったのではないでしょうか。この考えを正当化するには、もちろん「子供」と「両親」の仲が睦まじいということが大前提でしょう。八一とあいちゃんの仲はすこぶる良好ですが、姉弟子との仲は現状最悪で、お互いにいい印象を抱いているようにはとても感じられません。そこで生きてくるのが「雛鶴あい」というキャラクターの本質なのではないか、と考えています。「雛鶴あい」というキャラクターは清滝一門に属する4人の女性キャラクターのうち、1人だけ明らかに異質な存在です。姉弟子、桂香さん、天ちゃんは、とても病弱、才能に恵まれなかった、両親を失っている、というハンディキャップをそれぞれ抱え、八一と同じ景色を見るため、幼い頃から抱いていた夢を叶えるため、亡き父を追いかけ、その遺志を継ぐため、という強烈な動機の下で、全力で、十年以上の年月を将棋と向き合うことに費やしてきました。一方、あいちゃんはどうでしょうか。実家は日本一の有名旅館、両親の寵愛を一身に浴びて育ち、類稀なる才能に恵まれ、心身ともに健康、将棋を覚えて1年程度で女流棋士になった、というあまりにオーバースペックな設定です。このように、あいちゃんは女性キャラの中ではあまりに異質な存在なのですが、本作には、あいちゃんと同じような、異様なスペックを持つ人物がいます。そう、主人公の九頭竜八一です。つまり、本作において、「雛鶴あい」というキャラクターは、「ヒロイン」性ではなく、「ヒーロー」性、「主人公」としての側面をむしろ押し出しているのではないかと感じました。主人公八一の、将棋と向き合う姿勢、折れない心、圧倒的な才能に惹かれた、姉弟子だからこそ、心を開けば、同じように主人公としての要素を多く持つ、雛鶴あいというひとりの天才に惹かれるということもあるのではないでしょうか。(あいちゃん側はどう思うかわかりませんが...)あいちゃん、天ちゃん、銀子ちゃんがそれぞれに心を開き、言葉には棘があるものの、棋士として互いに尊敬しあい、互いを家族として思いやれるような、そんな清滝一門になってくれたら、と最後に妄想をして、ここで筆をおきたいと思います。次巻以降も、本当に楽しみにしています。繰り返しになりますが、白鳥先生、しらび先生、最高の物語と最高のイラストを本当に「ありがとう」...

  • あなたは世界に許された

    5.0
    白鳥仙

     やっと許されたのだな。そう感じる素敵な巻だった。 許されたのは二人。作者と銀子だ。 今巻を読み終えて、前巻をより好意的に捉えられるようになった。JS研を中心に据え、「ガチ将棋押しかけ内弟子コメディ」という第一巻時点でのコンセプトの集大成的に仕上げた前巻は、シリーズの区切りのために必要不可欠だったのだと。 そうしてようやく作者は、幼女を表の看板にしないことを許された。 もちろん今巻も、「ガチ将棋押しかけ内弟子コメディ」と言えないことはない。表紙は幼少期の八一と銀子だし、二人は押しかけ内弟子だし、ガチ将棋はもちろんコメディ寄りの場面もある。けれども前巻までで展開されていた、幼女の魅力でもみくちゃにされるようなシーンはない。ストーリーを先に進める力の弱い、必要性の薄い幼女成分はない。 今巻の中心人物は、幼女は幼女でもロリ銀子だ。彼女と八一とのこれまでの歩みを、作者は丁寧に紡いでいく。既刊で登場した思い出話を巧みに掬い、今日までの道として。 回想多め、推進力のないロリラブコメは少なめ、シリアス路線。あい達JS研はほぼ登場せず、天衣に至っては一巻休みのような状況。シリーズ中最異色のつくりだろう。 もしも今巻が第一巻だったら、話題性がなく早期に打ち切られていたかもしれない。幼女もっと出せ、わかりやすい看板を頼むと編集部に咎められたかもしれない。娯楽作品に溢れた現代では、まあ仕方がない話だ。よほどの大物作家でない限り、ペンネームだけでは本を手に取ってもらえない。他の作品と差をつけるために、圧倒的なインパクトが求められる。たとえば今作におけるガチ将棋×幼女のように。 けれども過度の幼女分を控えた異色の今巻、私にはとても愉しかった。ロリノルマから解放された作者が、伸び伸び筆を振るっているのを感じた。 前巻のレビューでも書いたように、今作の著者は大変器用な方だと思う。知識の収集と運用、伏線の活用、キャラクターの描写、どれを取っても優秀だ。小説の人気に必要ならば、幼女の看板だってぶん回せる。難しい構成であっても、平均点をあっさり超えられる。 ではそんな作者が、本当にやりたいことをやったら? 持ち前の器用さを苦手分野ではなく、得意分野にぶち当てたら? その答えが今巻の気がする。 今巻のような回想多めの物語は、凡人に書かせると十中八九駄作になる。回想で話を紡ぐ必然性に乏しいから。普通に書けば、現在進行形の方がドラマチックだ。死人の話より目の前で死ぬ人間の話が観たい。 けれども優れた作家なら、回想も大きな武器にできる。今回想すること自体に必然性を与えられる。 銀子と八一の回想は、今巻だからこそ光った。二人の関係の変化、銀子の抱える心身の弱さ、将棋星人達への恐れ、将棋の神様に嫌われるかもしれない邪道な軌跡。数多の過去が、今巻の銀子の闘いに活きていた。「熱い……!」と、誰が口にせずとも。 作者がやりたいことをやって、読者が愉しい気持ちになれる。これ以上の幸せはないだろう。 しかしこれまでの『りゅうおうのおしごと!』も、無駄だったとは思わない。 物語がここまで来なければ、銀子は前へ進めなかっただろう。 女性棋士の頂点に君臨しながら、奨励会では三段リーグで大苦戦。八一やあい達将棋星人には敵わない、最強最哀の地球人。自分よりも遙かに強い八一に、「姉弟子」と敬語で話しかけられる年下少女。それが今巻までの銀子だった。シリーズが短期で終わっていたら、一生その立場だったろう。 けれども物語は続き、彼女はついに許された。 今巻ラストまでの助走は、必ずしも十分だったとは言えない。特に料理シーンと名人のテレビでの発言は、やや唐突な印象を覚えた。銀子の再起のために、作者が意図的に言わせた感が強かった。 だが回想の積み重ねと棚田の場面は美しく、大筋では頷けた。彼女に勝って欲しいと、読者に思わせる力は足りていた。 現実には、将棋のプロになった女性は存在しない。事実は小説より奇なりという言葉もある。綿密な取材を重ねる作者なら、特にそう感じるかもしれない。 しかし小説は、事実よりも自由だ。現実には未踏の領域までも描ける。ふわふわの夢物語にしたくないのなら、物語的な説得力で補強すればいい。それは著者の得意分野のはずだ。 ここまで来たのだ、超えて欲しい。ライトノベルの限界も、キャラクターの限界も。 あなたはもう許されている。

  • 名前を取り戻す話

    5.0
    Kindleユーザー

    ネタばれになってしまうので、あまり多くを語れないのですが、今回は姉弟子が中心で、弟子たちはほとんど出なかったですが、最高でした。師匠、桂香さん、赤石先生、名人などなど姉弟子を取り巻く人たちのやさしさが素晴らしいです。また、八一のお母さんはすごい人ですし、供御飯さんの腹黒さもよかったです。感想戦の落ちもよかったです。

すべての215つのレビューを表示

  • 海猫

    前巻は不穏すぎるラストだったから、11巻が出るまで長かった気がするなー。この巻は八一と銀子の幼年期のパートがけっこう長く、0巻的な立ち位置も持っているようにも思えた。作品のトーンが陽性なわりに、各登場人物が背負ってるものってかなり重く、空銀子も例外ではない。そして今回も才能と努力というテーマがのしかかる。それだけに終盤の対局場面には気持ちが入り込むし、銀子が一気に成長する展開にテンション上がる。と、今回も読みどころが多かったのに「おれも桂香さんと一緒にお風呂入りてえ」とか強く思ってしまう自分が嫌だ。 続きを読む

  • かんけー

    読了♪表紙の幼い二人が良い感じで可愛い(^.^)待ちに待った銀子ちゃん回!冒頭、浪花の白雪姫は八一に包丁を突きだし「殺して!」と。八一と銀子の言葉の応酬が読む者の心にグサリと刺さって?以前から本作は先が詠めない難関さを併せ持った傑作と捉えていたが、成る程とそう来たかと納得♪あいやJS 研メンバーも可愛いが?今巻は最初から最後迄オール空銀子のオンパレードで♪二人の幼い頃の関係性や清滝師匠の純粋な想いとか桂香さんの母性的描写に涙腺崩壊ですわ。物語の遡上、銀子ちゃんが八一に導かれ東○坊で何かを覚醒するその経緯→ 続きを読む

  • むっきゅー

    圧倒的姉弟子回。三連敗で絶望の姉弟子を連れて、福井に旅に出る第11巻。そして、幼児期の追想で明かされる、八一と姉弟子の出会いから現在に至るまでの歩みと、姉弟子の重大な秘密。これは重すぎる。物語の起承転結の「転」とも言える展開で、桂香さんが気付いたある事実が一体何なのか...。しかし、後半の展開が凄い。まさに圧倒的ではないか!!姉弟子大勝利。 続きを読む

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