「この戦いが終わったら絶対に絶対に、僕の話を聞いてください!」
私はギルの背伸びを微笑ましく思いつつ、目の前の戦場に頭を切り替えた。
結局その後ろ姿が、私がギルを見た最後だった。
「僕たちは白い結婚でいましょう」 「了解だけど、前世で私が死ぬ前に何が伝えたかったの?」
私がそのままギルを見上げていると、彼の表情はどんどん青ざめていった。
そして震える指でこちらを指差す。
おいギル、人を指差しちゃダメでしょ。
「オーレリアよ。ギル君と夫婦として上手くやれそうか?」 「私、ギルを愛しています。一生ギルを大切にします」
お父様は私の言葉に目を丸くしたが、ゆっくりと柔らかい微笑みを浮かべ、「そうか」と穏やかに、少しだけ寂しそうに頷いた。
そしてギルが眼鏡の奥でちょっとだけ泣いた。