数行のテキストを入力するだけで、美しいイラストや写真が出力される画像生成AI技術は、クリエイティブの常識を塗り替えつつあります。本章では、画像生成AIの仕組みや成り立ち、代表的な技術の変遷をたどりながら、その本質に迫ります。画像生成AIで「何ができるのか」「どのように利用できるのか」といった実践的な知識と、本書で解説するComfyUIというツールを学ぶ意義を学び、学習のスタートラインへと踏み出しましょう。

Stable Diffusionは、いまや多くの画像生成ツールやサービスで活用される標準的なモデルとなっています。本章では、その仕組みを理解するために、潜在拡散モデル（Latent DiffusionModel）の構造とプロセスを、主要な構成要素であるCLIP・UNet・VAEを中心に解説していきます。さらに、AI モデルを活用する上で欠かせないライセンスの基礎知識についても取り上げ、安心・安全な活用のための判断軸を紹介します。画像生成AIの「仕組み」と「ルール」をしっかりと理解し、実践に進みましょう。

ComfyUIを実際に使い始めるための第一歩として、環境構築を行いましょう。本書では共有ComfyUI・ComfyUIDesktop・Google Colabの3つの環境について解説を行います。フローチャートをもとに自分にとって最適な環境を選び、次のステップである画像生成の実践へと進む準備を整えましょう。

ComfyUIを使った画像生成が、いよいよここから始まります。本章ではシンプルなワークフローを実際に構築し、画像を生成するプロセスを体験します。ノードの配置や接続方法、プロンプトの入力、保存方法といった基本操作に加え、拡張機能「ComfyUI-Manager」の活用や、画像の高解像度化など、実際に手を動かしながら学ぶことで、ワークフローや画像生成の仕組みが自然に理解できるようになるはずです。まずはしっかりと基本をマスタ―しましょう。

ComfyUIの真価は、標準機能にとどまらず、カスタムノードと拡張機能によって自在に機能を広げられる柔軟性にあります。本章では、ComfyUIの操作に慣れてきた読者が、さらに一歩踏み込んだ使いこなしを目指すために、カスタムノードの仕組みと導入方法、そして実践的な活用例を紹介します。ComfyUIを自分仕様に拡張して、より効率的かつ創造的な画像生成の環境を整えていきましょう。

ComfyUIの基本操作とtxt2imgを習得したら、次のステップとして既存の画像をベースに生成・編集を行う応用技術を試してみましょう。画像のスタイルを変えたり、部分的に描き換えたり、外側に新たな要素を追加したりと、画像生成AIならではの柔軟な表現が可能になるワークフローを、具体的な手順を追いながら体験していきます。また、ノードやプロンプト設定の工夫によって、自然で違和感のない編集結果を生み出すためのテクニックも解説していきます。

表現のコントロール精度を高める2つの強力な拡張技術「ControlNet」と「IPAdapter」の活用法を解説します。ControlNet は、ポーズ・輪 郭・線画・深度などの視覚情報を参照画像から抽出し、テキストでは表現しにくい指示を画像ベースで与えることを可能にします。一方のIPAdapterは、画像のスタイルや構図といった特徴を潜在空間に直接反映させることで、プロンプトと視覚的特徴の融合を実現します。ワークフローをもとにそれぞ れの特徴・使い分け方を理解し、より意図に近いアウトプットを得るための画像生成のコントロール術を習得しましょう。

LoRAを使って画像生成の表現力をさらに広げていきましょう。既存のモデルにスタイルやキャラクター、エフェクトなどの特徴を組み込み、ControlNetやimg2imgと組み合わせることで、その応用力は飛躍的に拡大します。また、LoRAの作成にあたっての注意点や画像を利用する権利についてもしっかりと理解し、他者の権利を侵害しないために必要なことも考えていきましょう。LoRAの基本操作から応用的な活用例を一気に学び、自分が表現したいものを具現化する手段を模索していきます。

画像生成の知識とスキルが身についた今、次は動画生成に挑戦します。Stable Diffusionの拡張として利用できるAnimateDiffを使って、静止画から動画へと表現の幅を広げるための基本概念と操作方法を解説します。ハンズオンを通じて、現在様々なツールが開発されている動画生成の基本的な概念を理解し、AIを用いた動画制作の第一歩を踏み出しましょう。

ここまでに学んできた画像生成AIの知識とスキルを実際の制作現場やビジネスシーンでどのように活かせるのか考えてみましょう。「創造」と「業務」の垣根を越えた活用が、どこまで可能なのか？ 本章を通してその可能性を広げ、自身のプロジェクトにも応用するためのヒントを見つけていきましょう。