LPIC Level1
VitualBox
1.VirtualBoxとは
VirtualBoxは「仮想化ソフトウェア」と呼ばれる、同じコンピュータ上で同時に複数のOSを実行するための複数の仮想マシンを生成、実行できるソフトウェアです。仮想マシンとは実体のコンピュータ上で動作しているOS上にコンピュータそのものをソフトウェアで仮想的に作り、その仮想的なコンピュータン上に別のOSをインストールすることができます。このとき実体のPC上で動作するOSをホストOSと呼び、仮想マシン上のOSをゲストOSと呼びます。
仮想マシン上にインストール可能なゲストOSにはWindows、Mac OS X、Linux等があり、一般的に使用されるOSの多くがサポートされています。VirtualBoxアプリケーション自体もWindows、Mac OS X、Linux等のOS用にパッケージされたものが無償配布されているため、誰でも自由に使用することができます。VirtualBoxの情報に関しては以下のサイトにアプリケーションパッケージやソースコード、マニュアル等の様々な情報を取得することができます。
■VirtualBox Webサイト
https://www.virtualbox.org
VirtualBoxを使用することで物理的に1台しかPCがなくても、OSを複数動作させる環境を構築することができますし、アプリケーションのように複数の異なるOSを同時に動作させることも可能になります。
補足
複数のOSを同時に動作させるとコンピュータリソース(CPUやメモリ等)を多く消費するため、実際に動作できるOSの数はコンピュータのハードウェアスペックに依存します。
LPICでは知識範囲としてRedhat系ディストリビューションとDebian系ディストリビューションの固有の知識が含まれています。このためどちらか一方のディストリビューションを使用するだけでは確認できないコマンドやファイル等の知識があるため、少なくとも2つのLinux環境を構築しておく必要があります。VirtualBoxであれば2つの仮想マシンを構築して、Redhat系とDebian系のディストリビューションをインストールすれば2つの環境を同時に確認することができるため、LPICの知識範囲を確認する環境として有効に活用することができるでしょう。
2.VirtualBoxのダウンロード
各OS用のVirtualBoxアプリケーションパッケージは、VirtualBoxのサイトのダウンロードページから(以下URL)からダウンロードすることができます。
■VirtualBoxのダウンロードページ
https://www.virtualbox.org/wiki/Downloads
使用しているOS(ホストOS)のパッケージをダウンロード |
使用しているOS(ホストOS)用のパッケージのリンクをクリックするとダウンロードが始まります。
WindowsやMac OS Xの場合には専用のインストーラー付きのパッケージがダウンロードされ、Linuxの場合には各ディストリビューションのインストールパッケージ(rpmやdebファイル等)のダウンロードページに遷移しますので、そこで使用しているディストビューションのパッケージをダウンロードします。
3.VirtualBoxのインストール
ダウンロードしたパッケージを実行するとインストーラが起動し、VirtualBoxのインストールが始まります。基本的にはインストールウィザードに従って、進めていくだけです。ここではWindows環境を利用してVirtualBoxの主なインストールフローを確認します。
■VirtualBoxのインストーラ画面
「Next>」ボタンで次の画面に遷移します。
■VirtualBoxのインストール内容のカスタマイズ
Custom Setupの画面ではVirtualBoxの機能に関連したコンポーネント(部品)のインストール選択やインストール先をカスタマイズすることができます。
デフォルトは全てインストールされる設定になっていますので、特に変更がなければ「Netxt>」ボタンを押して、次の画面に遷移します。
■仮想ネットワークインターフェイスのインストール
インストールを進めていくと、 ネットワークインターフェイスとのインストール画面になります。「Yes」ボタンを押して進めると、VirtualBoxで使用する仮想ネットワークのための仮想ネットワークインターフェイスがインストールされます。
■仮想ネットワークインターフェイスのインストール
VirtualBoxの仮想ネットワークは複数のネットワーク構成を設定することができるため、それに合わせた複数の仮想ネットワークインターフェイスがインストールされます。(ここでは4種類のネットワークインターフェイスをインストールしています)
■VirtualBoxインストールの終了
以上でVirtualBoxのインストールは終了です。「Finish」ボタンを押せば、インストールが完了し、VirtualBoxが起動します。
一部省略した画面はありますが、基本的にはインストールウィザードに従ってすべてをインストールすれば問題なく、VirtualBoxを使用することができます。
4.仮想マシンの作成と設定
インストールしたVirtualBoxに仮想マシンを作成し、その上にLinuxをインストールします。事前にインストールするLinuxディストリビューションのイメージファイルをダウンロードしておく必要があります。
補足
インストールイメージファイルは、CD/DVDの内容をISOイメージファイル化したものです。通常は各LinuxディストリビューションのWebサイトでダウンロードすることができます。
仮想マシンの作成
■VirtualBoxのメイン画面
仮想マシンの作成はメイン画面の「新規作成」ボタンまたは、メニューの「仮想マシン」→「新規作成」を実行します。実行すると仮想マシンウィザードが実行されるため、ウィザードに従って必要な情報を選択、入力していきます。
■仮想マシンの設定(ゲストOSの設定)
仮想マシンにインストールするゲスト OSを設定します。「タイプ」でOSの種類を選択し、「バージョンで」でOSのバージョンやディストリビューションを選択します。
「名前」のフィールドにディストリビューション名を記入すると、合う「タイプ」と「バージョン」が自動的に選択されます。
■仮想マシンに割り当てるメモリの設定
仮想マシンに割り当てるメモリは仮想マシン上で動作するゲスト OSが使用できるメモリでもあります。実メモリのサイズを考えて、ゲストOS側で使用するメモリを考えます。Linuxであれば1GB以上のメモリが割り当てられれば、GUIも含めて問題なく動作させることができるでしょう。
※環境に依ります。
■仮想マシンで使用するハードディスクの設定
仮想マシンで使用するハードディスクドライブを作成します。基本的にはデフォルトの「仮想ハードドライブを作成する」 を選択したまま、「作成」ボタンを押します。
■ハードディスクのファイルタイプ設定
VirtualBoxで使用できる仮想ハードドライブにはいくつかのタイプがあり、その他の仮想化ソフトウェアの仮想ハードドライブを使用することもできます。
ここでは新規にハードドライブを作成するため、デフォルトのVirtualBox形式のVDIを選択して「次へ」ボタンを押します。
■ハードディスクの可変・固定タイプ設定
仮想ハードドライブのホスト OS上でのファイルの扱いを設定します。「可変サイズ」を選択した場合には、次に設定するハードディスクのサイズを上限として使った分だけ、ホストOS上のファイルを増やしていきます。一方「固定サイズ」を選択した場合には、最初から指定したサイズのファイルをホストOS上に作成します。
ここではデフォルトの「可変サイズ」を選択して、「次へ」ボタンを押します。
■ハードディスクファイルの名前と保存場所設定
仮想ハードドライブの容量とファイル名及びファイルの保存場所を設定します。
サイズはゲストOS上で使用できるハードディスクサイズとなりますが、ホストOSで使用できる容量を考える必要がありますが、Linuxをインストールするサイズとしては10GB以上を設定します。
※インストールするパッケージ数に依存します。
■メイン画面に追加された仮想マシン
以上の設定で仮想マシンが作成され、メイン画面に作成された仮想マシンが表示されます。
起動する仮想マシンを選択して、「起動」ボタンを押すと、仮想マシンが起動します。
■Linuxインストールメディアの選択
仮想マシンが起動すると、ゲストOSがインすtゴールされていない場合、「起動ハードディスクの選択」ダイヤログが表示されます。ここからダウンロードしたディストリビューションのインストールメディアファイルを選択して「起動」ボタンを押すと、Linuxのインストールが始まります。
GPTの利用設定
LPICの知識範囲にあるGPT(GUID Partition Table)では、新しいファームウェア規格であるUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)の環境が必要になります。VirtualBoxのデフォルトの設定はBIOSベースの仮想マシンとなるため、GPTの知識範囲を確認するためには仮想マシンをUEFIベースに設定してLinuxをインストールする必要があるので注意が必要です。仮想マシンをUEFIベースに設定するには、「設定」ボタンから仮想マシンの設定画面を起動して「システム」の項目を選択します。
■システムの設定画面
「システム」の設定項目にはハードウェアに関する設定項目があり、その中に「EFIを有効化(一部のOSのみ)」にチェックを入れます。これでファームウェアがUEFIベースとなった仮想マシンとなります。
※ハードウェアやOSの環境によってはチェックを入れてもEFIが有効にならない場合があります。その場合にはGPTの機能を利用することができません。
仮想ハードドライブファイルから新規仮想マシンを追加
VirtualBoxは仮想ハードドライブをファイルとして保存しているため、既に存在する仮想ハードドライブファイルを別の仮想マシンから利用することもできます。この機能を利用してOSがインストールされた既存の仮想ハードドライブファイルを使用してOSのインストールを省略することができます。
補足
あるOS環境を構築したVirtualBoxの仮想ハードドライブファイルを配布しているサイトもあります。
■既存の仮想ハードドライブファイルの選択
例えばOSがインストールされた既存の仮想ハードドライブファイルを使用してVirtualBoxで新規に仮想マシンを作成する場合には、「仮想マシンの作成」ウィザード中にある仮想マシンで使用するるハードディスクの設定画面で、「すでにある仮想ハードドライブファイルを使用する」を選択します。既存の仮想ハードドライブファイル(.vdiファイル等)を指定します。
以上の設定で仮想マシンを作成すれば、自身でOSをインストールしなくても、すぐに仮想マシン上でOSを使用することができます。
仮想マシンの追加
VirtualBoxには仮想マシン現在の状態(仮想ハードドライブファイルや設定等)自体(仮想アプライアンスと呼ぶ)をインポート、エクスポートする機能があります。この機能を利用することによって仮想マシン全体をバックアップしたり、バックアップをリストアすることが簡単にできます。また配布されている既存の仮想アプライアンスファイルをインポートすることにより、他の環境の仮想マシンの設定を含む一式を自分の環境に再現することもできます。
仮想アプライアンスをインポート、エクスポートするためにはVirtualBoxメニューの「ファイル」→「仮想アプライアンスのインポート」または「仮想アプライアンスのエクスポート」を実行します。ここでは仮想アプライアンスのインポートについて解説します。
■既存の仮想アプライアンスファイルの選択
「仮想アプライアンスのインポート」を実行すると、仮想アプライアンスのインポートのウィザードが起動します。最初にインポートする既存の仮想アプライアンスのファイルを指定します。仮想アプライアンスはOpen Virtualization Format(.ovaまたは.ovf)というファイルフォーマットで保存されており、このファイルを指定します。
■アプライアンスの設定
次の画面ではインポートする仮想アプライアンスの設定を行います。仮想アプライアンスには VirtualBoxの設定が含まれており、インポートする際に仮想マシンの名前や設定を変更することができます。(インポート後も変更可能)
設定が完了したらインポートボタンを押すと仮想アプライアンスのインポートが開始されます。
■仮想アプライアンスのインポート
インポートが完了するとVirtualBoxのメイン画面にインポートした仮想マシンが表示されます。