世界の起源と構造の答えに「物質」から迫る!
宇宙史観と宇宙論のフロンティア
宇宙論からいえば、物質は素粒子でできているというのは常識です。素粒子は不変不滅の存在ではなく、不断に生成・消滅・転化を繰り返す動的な存在であり、その背後には反粒子の存在があります。
地球にある元素は昔から今まで通りあったのではなく、灼熱の初期宇宙での 3分間、燃え盛る星の中での数億年、爆発する星での数秒といったさまざまなタイムスケールの過程を経て合成されたことがわかってきました。
本書では、今目の前にあるモノは何だろう? 物質は究極的には何からできているのだろうか? 物質は永遠に不変だろうか? 私たち人間を含む「物質」は、一体どこから来たのか――? という、世界の起源と構造の答えに迫ります。「素粒子」研究の足跡をたどれば、そんな最大の謎が解けるかもしれません。
現代物理が描く動的・歴史的物質観について概観する、サイエンスロマン読み物です!
はじめに 目の前にある一杯のコーヒーはどこから来たのか
第1章 物質は何からできているのか
すべてのモノは原子でできている
古代ギリシア「モノは無限に分割できる」/紀元前5世紀「原子論」の登場/19世紀「化学反応から原子の存在がわかる」/原子の存在を目に見える現象で証明した「ブラウン運動」
原子とは何か
原子はどのくらい小さいのか/原子は「分割できない最小単位」ではなかった/原子の構造を探る/電子が原子核に落ちていかない不思議/電子は雲のようにぼやっと存在している
それ以上分解できない「素粒子」とは
クォークという素粒子/素粒子を見るためのエネルギー/エネルギーと物質の関係
光は物質か?
波長の長さで何が変わるのか
原子核をまとめる「強い力」を伝える素粒子
自然界の「4つの力」/原子や分子はどのようにくっついているのか
第2章 物質の性質は何が決めるのか? ~万物のレパートリー~
何が元素の性質を決めているのか
元素周期表を解読する/人工元素はどうやって作っているのか/一瞬しか存在しない元素を作る理由
放射性元素とは何か
星の中で作られる元素は鉄まで?
生命現象を支える炭素の不思議
素粒子の標準模型を解読する
フェルミ粒子「クォーク」/フェルミ粒子「レプトン」/力を伝える4+1の素粒子「ボース粒子」
第3章「正体不明」の物質に迫る ~“反物質”と“解明されない宇宙”の謎~
反粒子とは何か
反物質と出会うと物質は消える
物質がわずかに多かった宇宙
正体不明の物質「ダークマター」
ダークマターの候補「WIMP」
宇宙の膨張を加速させるダークエネルギー
アインシュタインが取り入れた「宇宙定数」/結局、宇宙定数とは何なのか?/真空には何があるのか/エネルギー保存則は破れている?
ブラックホールの存在が導かれた理由
ブラックホールに落ちたらどうなるのか
ワームホールで別の時空に行けるか?/物質を吐き出すホワイトホール/ブラックホールは大きくなっていく/ブラックホールの蒸発
物質の瞬間移動は可能か?
第4章 物質はどこから来たのか
宇宙の始まりとビッグバン
昔の宇宙を見る方法
「37万歳の宇宙からの光」で見えてきた謎
ビッグバン理論では説明できない2つの謎/研究の最前線:インフレーションは本当にあったのか?
無からの宇宙創成
不思議な量子トンネル効果/なめらかな宇宙の始まり
素粒子はどのように生まれたのか
初期宇宙に存在していた「場」とは
物質の「始まり」を検討する
100年考えても解けない「量子重力理論」の謎
この世界は「ひも」でできている?
第5章 物質はどこへ行くのか
ダークエネルギーによって変わる「宇宙の未来」
シナリオ1:低温低密度の「ビッグフリーズ」/シナリオ2:ものすごく熱い宇宙「ビッグクランチ」/シナリオ3:時空の切り裂きで終わる「ビッグリップ」/もう一つのシナリオ:宇宙の相転移
すべてが鉄になる未来
陽子崩壊で物質がなくなる
太陽に飲み込まれる!? 地球の未来
第6章 宇宙と物質の追究
湯川秀樹から始まった日本の宇宙物理学
ニュートリノ観測に成功したカミオカンデ
X線照射で物質の構造を見る
期待される宇宙観測
量子コンピュータは宇宙研究に活かされるか
AIと素粒子から見る「意識」
意識はどこから来ているのか/量子論と意識
否定できない「シミュレーション仮説」
正しいかどうかわからない理論の評価
おわりに 私たちはどこまでわかるのか