
Web サイト「高校数学の美しい物語」は美しい数学の定理をより多くの人に知ってもらいたい, という気持ちから2014年1月に開設しました。2015年12月現在, 大学数学の内容も含め, 記事数は750を突破し,月間150万PVのサイトにまで成長しています。その「高校数学の美しい物語」の記事の中から人気の高いものを60項目精選し, 本のスタイルに合うように加筆・修正した上でテーマごとにまとめました。高校生の受験対策としてはもちろんですが, 授業中の雑談ネタを探している高校の先生, 趣味として数学を楽しみたい人など, 数学を志す全ての方にお勧めです。
外心の存在を用いた証明

【方針】三角形ABCの外側に2倍に拡大した三角形DEFを作ると(証明の図参照), 三角形DEFの外心がABCの垂心と一致します。
【証明1 】三角形ABCの各頂点を通り対辺と平行な直線を3つ引き,それらの交点をD,E,F とおく。
中線定理について

教科書にも載っている中線定理ですが, 正弦定理や余弦定理などの花形公式と比べるとやや地味な感じがします。しかし, 中線定理はさまざまな手法で証明することができるので, 図形の証明問題のよい題材と言えます!
正多面体の定義

正多面体の定義 【条件1】全ての面が合同な正多角形で構成されている 【条件2】いずれの頂点に集まる辺の数(=面の数)も等しい【 条件3】凸多面体(へこんでいない) たとえば条件1と3だけだと図のような正三角形6個で構成される多面体も満たしてしまいます。
三角比の値

15◦の三角比の値は頭に入れておくとよいです。三角比そのものの値を覚えるというよりも, むしろ「15◦, 75◦, 90◦」の直角三角形の辺の比は4 :√ 6 +√ 2 :√ 6 −√2 と覚えておきましょう。この辺の比だけ覚えておけば, 一瞬で図が書けるので式も導けます。もちろん, 半角の公式およびcos 30◦ の値から上記の式は導くことができますし, 1 分以内に導けるようになっておくべきですが, 値そのものを覚えておくと時間短縮になります。
ヘロンの公式の使用例

ヘロンの公式を証明する前に, まずは具体例を2 問解説します。各辺の長さが整数のときは非常に強力な公式です。
オイラーの不等式

【応用例】先述の公式の応用例として, オイラーの不等式という非常に美しい定理の証明を行います。腕に自信のある人は証明を見る前に自力で考えてみてください(かなり難しいです)。オイラーの不等式:三角形の外接円の半径をR, 内接円の半径をrとしたとき, R 2r が成立する。