自分でできる子に育つ 最高の言葉かけ
「他の多くの家庭と同じく、我が家の平日はやることに追われるうちに過ぎていきます。もちろん、週末も。物事に優先順位をつけたり、振り返ったりする時間はありません。そして、はたと気づいたのです。夫婦や親子で会話する時間もほとんどない、ということに……。」〈Introductionより〉
子育てをするには、あまりにも時間が足りない。子どもにしっかり向き合いたくても、仕事や家事に追われ、十分な時間が取れない。そんな悩みを抱えていませんか。
誰もが直面する現代の育児事情に対し、自身も2児の母親であるハーバード大学教育学博士が、最先端の教育学、心理学、言語学の知見を動員して、解決策を導き出したのがこの本です。
キーポイントは、日々の生活における「会話」にあります。何気ない毎日の会話を、ほんの少しの心がけで「リッチ・トーク(豊かな会話)」にするだけで、子どもの「学習意欲」「共感力」「自己肯定感」「創造性」「個性」が育まれ、親子の絆が深められます。
それには、子どもを塾や習い事に通わせる必要も、忙しい仕事の合間をぬって無理に時間を作りだす必要もありません。1日5分でも10分でも「リッチトーク」をすることができれば、子育ては十分!
1)「膨らませる(Expand)」⇒2)「探る(Explore)」⇒3)「評価する(Evaluate)」という3つのステップで、子どもとの日々の会話を「リッチトーク」にしていきます。
著者はハーバード大学教育大学院で教鞭を執り、ボストン小児病院で臨床研究をする言語学者。豊富な事例と具体的なメソッドで、「親子の会話」の極意を伝えます。
Introduction なぜ「会話」こそが重要なのか?
Chapter1 「リッチトーク」とは何か?――時間がなくても上質な会話はできる
子どもにとってストレスとなる会話
話す時間と余地を与えれば子どもは変わる
すばらしい会話の技術は磨ける
私が「リッチトーク」にたどり着くまで
会話は子どもとつながるための入口
なぜオンラインではなく、「対面の会話」が重要なのか?
スマートフォンを禁止すればよいわけではない
リッチトークに必要な「ABC」 など
Chapter2 学びをはぐくむ会話――一生ものの好奇心に火をつける
対話は時とともに変わる
子どもの学びをはぐくむ日常会話とは?
セルフトークが感情を左右する
「3つのE」でリッチトークを発動させよう
子どもに手取り足取り教える必要はない
会話は子どもの能力を信じている証
3つのEを使って本の好きな子に育てる
学びを重視するなら読書のルールに固執しない
「学び方を学ぶ」ことでメタ認知を鍛える
親は自分自身の態度も意識しよう
○会話の習慣1 「なぜ」を問う会話で因果関係に答える
○会話の習慣2 疑問を膨らませる
○会話の習慣3 思考や状況を俯瞰する など
Chapter3 共感性をはぐくむ会話――他者視点を養う
共感性は「あるに越したことはない」以上のもの
共感性はどのように発達するか?
共感性の“プロフィール”は一人ひとり異なる
最近の子どもはなぜ共感が苦手なのか?
共感性をはぐくむ足かせとなる二つの誤解
自分を思いやる「セルフ・コンパッション」という鍵
共感とはミステリーを受け入れること
上質な会話は心と頭を結びつける
感情に名前をつける時間を取る
3つのEを使って「感情の達人」を育てる
リフレクティブ・リスニングに使う4つのP
晴れやかな感情も嵐のような感情も受け入れる
共感構築にとってNGとなる話し方とその解決策
○会話の習慣1 共感的な冒険をさせる
○会話の習慣2 「if」を取り入れる
ミステリーを受け入れる心を忘れずに など
Chapter4 自信と自立性をはぐくむ会話――積極的に挑戦させる
子どもは手伝いたいし、手伝わせる必要がある
そもそも自信とは何か?
幼少期にはぐくまれるのは自信か自己不信か
粘り強さを育てるにもコントロール感が大事
子どもが挑戦する瞬間が、自信をはぐくむチャンス
子どもの「内発的動機」を信じる
スキルと課題を振り返って「願望を願望する」子どもに
親は無意識にシグナルを送ってしまっている
3つのEで自信をはぐくむ――目標の選択と振り返り
いたずらにもイライラせず、その本質に目を向けよう
セルフトークで「自分をコーチ」できる子どもに
○会話の習慣1 明確にする、話し合う、計画する
○会話の習慣2 自立性を高めるために効果的な方法を取る
○会話の習慣3 達成までの道のりを描く など
Chapter5 遊び心をはぐくむ会話――喜びと創造性を引き出す
遊びとは活動ではなく、遊び心を持つという姿勢
理想的な遊びとはどのようなものか?
遊びと創造性は密接に関連している
べったり育児は遊びを阻害する
遊び心のある会話で想像力があふれ出す
ごっこ遊びにも3つのEを使う
遊び心にあふれた姿勢は伝染する
遊び心あふれる会話でけんかが収まる
遊びの質を高めるために、会話をバロメーターにする
ゲームについての会話に偏見は禁物
○会話の習慣1 言葉で遊ぶ――パターンを探す
○会話の習慣2 会話で遊ぶ――変形させる
○会話の習慣3 遊びは「疑問を膨らませること」ととらえ直す
○会話の習慣4 子ども主導の遊びを推奨する など
Chapter6 気質を活かす会話――素質を最大限に開花させる
そもそも気質とは何か?
人生において気質はいつまでも付きまとう
気質の差は幼少期から出始める
気質について話すことで、子どもは自分を受け入れられる
学校と子どもの気質の相性
異なる気質には異なる育児を
子どもの気質を学び、子どもに合った会話をする
ネガティブな連想を捨て素直に眺める
気質について会話するための4つのステップ
「ROOM」のプロセスで関係性を円満に
繊細な子どものための会話
○会話の習慣1 イラ立ちをコントロールするには、背景を確認する
○会話の習慣2 自己認識を促すために、繊細な話し合いをする
○会話の習慣3 不一致を解消するために、気質の違いを優しく受け止める
気質の“プロフィール“を話し合いのきっかけにする など
Conclusion リッチトークの価値はすたれない