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新・大阪学

畑中章宏:著者

大阪の見方が変わる!
8つのキーワードで旅する
新感覚の民俗学的大阪ガイド

「食いだおれ」のイメージに収まらない多彩な伝統食材、商都大阪をつくった女性たちのまなざし。
京都・奈良に引けを取らない仏教美術、日本を代表する最先端の知的ネットワーク。
主流ではなく非主流、中心ではなく周縁。

大阪生まれの民俗学者が、「美食」「デザイン」「女性」「リベラルアーツ」「非主流」「ハイブリッド」「越境」「多国籍」という8つのキーワードから〈大阪とは何か〉を問いなおし、この街の忘れられた記憶を再発見する。

「大阪の中心を「船場」とする見方は、戦後、歴史学者の宮本又次によって学問的な裏づけがなされ、1990年代には、作家・文芸評論家の大谷晃一が一連の『大阪学』で、大阪を「キタ」と「ミナミ」で語る”定型的”な大阪観を定着させた。宮本と大谷に共通してみられるのは、大阪・大坂を、江戸・東京と対照させる姿勢だった。
しかし本書では、大阪を東京と比較したりはしないし、また西日本の代表だといった立場をとったりもしない。なぜなら、大阪は独自の土壌に、オルタナティブな文化をはぐくんできた からである。」(本文より)

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【目次】
序章 「新・大阪学」事始め
・「大阪」を問いなおす
・あべのハルカスの麓から上町台地を行く
・ターミナルとしての大阪 etc.

第1章 美食――”魚庭””菜庭”の庶民の味
・海を渡ってきたなにわの食材
・「昆布以前と昆布以後」
・魚庭と菜庭
・大阪から始まったサントリーウイスキー
・酢醸造の伝統と万博 etc.

第2章 デザイン――建築・美術・景観
・卓越した美意識
・昭和の大阪のシンボル
・街なかの秘仏は千本の手をもつ
・南北御堂と御堂筋
・大阪の街は美しいのか etc.

第3章 女性――文学とビジネス
・与謝野晶子のルーツは堺の商家
・船場商人の機微を小説にした山崎豊子
・大同生命の女性創業者
・アメリカ村を生んだ実業家・空間プロデューサー
・川上未映子の斬新と継承 etc.

第4章 リベラルアーツ――知的ネットワークの系譜
・知的ネットワークの広がり
・大阪の学問は「実学」だったのか
・町人による町人のための学問所
・緒方洪庵の適塾と天然痘の戦い
・折口信夫の大阪への愛憎 etc.

第5章 非主流――抵抗と批評の姿勢
・大塩平八郎の民衆主義
・天満宮の再建と砂持神事
・「大阪弁」をめぐって
・司馬遼太郎のオルタナティブ
・柴崎友香の人文地理的作品 etc.

第6章 ハイブリッド――混交する聖と俗
・混交、シンクロから生まれるもの
・異類婚姻譚から陰陽師へ
・阿倍野の清明伝承
・住吉大社の初辰まいり
・混交空間としての石切神社 etc.

第7章 越境――ボーダーレスな超人たち
・インフラ整備の先駆者・行基
・河口慧海という冒険者
・「世間師」という存在
・プロ野球選手も海を越えた
・文学者も越境する etc.

第8章 多国籍――移民と共生する街
・”渡来人”との共生
・百済と猪飼野の記憶
・鶴橋駅前のコリアンタウン
・キリシタンの堺
・「リトル沖縄」と呼ばれる大正区平尾 etc.

終章 「大阪」とは何か
・あべのハルカスの足元
・大阪は知的で美しい etc.

引用・参考文献
図版出典
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定価:1,045円(本体950円+10%税)

書籍情報

  • 発売日:2025年4月6日(日)
  • ISBN:978-4-8156-3090-4
  • サイズ:新書
  • ページ数:288
  • 付録:-
  • 1 大阪の味はネットワークから
    2 地産地消の大阪
    3 摂津で生まれたウイスキー、ワイン、そしてビール
    4 歴史ある銘酒の里

  • 1 大阪を彩った多彩な建築群
    2 古仏・美仏の宝庫
    3 大坂とその衛星都市
    4 四つの「塔」

  • 1 商家から生まれた女性文学
    2 経営手腕と発想力
    3 大阪性と女性性の現代作家

  • 1 契沖と慈雲という先駆け
    2 懐徳堂・兼葭堂・適塾の先端的ラーニング
    3 市井がはぐくんだ民俗学

  • 1 大塩平八郎の民衆主義
    2 主流に背を向けた文学
    3 大阪文学の「現在」

  • 1 安倍晴明の“正体”
    2 大社・古刹と民間信仰
    3 武器と茶道──今井宗久と津田宗及
    4 超領野の文学者たち

  • 1 ネットワークを築いた“超人たち”
    2 プロ野球選手も海を越えた
    3 文学者も越境する

  • 1 日本最大級の「コリアンタウン」
    2 儒教と千字文を日本に伝えた王仁博士
    3 キリシタンの堺
    4 近現代における移住と移民

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著者紹介

著者・畑中章宏

1962年、大阪府生まれ。民俗学者。近畿大学法学部卒業。研究対象は、災害伝承、民間信仰から最新の流行現象まで幅広い。30年におよぶ東京生活から数年前に帰阪し、「新・大阪学」に取り組んでいる。著書に『柳田国男と今和次郎』(平凡社新書)、『災害と妖怪』(亜紀書房)、『天災と日本人』『廃仏毀釈』(以上、ちくま新書)、『21世紀の民俗学』(KADOKAWA)、『死者の民主主義』(トランスビュー)、『五輪と万博』(春秋社)、『今を生きる思想 宮本常一』(講談社現代新書)、共著に『『忘れられた日本人』をひらく』『会社と社会の読書会』(以上、黒鳥社)などがある。

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