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ゲームプログラマのためのC++

マイケル・ディックハイザー:著者 / 田中 幸、ホジソン ますみ、松浦 悦子:訳 / 三宅 陽一郎:監修

ゲープロ

C++の基礎を身につけたプログラマが次のレベルに進むには? 世界中のゲーム開発者に愛読されてきたC++のベストセラー解説書が遂に邦訳化! 中~上級プログラマのために厳選された数々のノウハウ。知識に貪欲な本職プログラマを満足させる、濃厚な1冊です。

■第1部 C++の要点
第1章 継承
第2章 多重継承
第3章 const、参照、キャスト
第4章 テンプレート
第5章 例外処理

■第2部 C++の活用
第6章 パフォーマンス
第7章 メモリ割り当て
第8章 C++のパターン
第9章 標準テンプレートライブラリ:コンテナ
第10章 標準テンプレートライブラリ:アルゴリズムと高度な話題
第11章 STLを超えて:カスタム構造とアルゴリズム

■第3部 ゲーム開発のテクニック
第12章 抽象インターフェイス
第13章 プラグイン
第14章 C++とスクリプト言語
第15章 RTTI(実行時型情報)
第16章 オブジェクトの作成と管理
第17章 オブジェクトのシリアライズ
第18章 大きなプロジェクトの注意点
第19章 クラッシュに耐えるゲームの作成

ほとんどのC++の書籍は入門書ですが、この本は違います。この本は、ゲーム開発のためにC++を使おうとする人が次に読む本、ベテランの開発者が暗黙知としている様々なテクニックが明示的に書かれている本です。初学者はノウハウの宝庫として、ベテランは知識の整理として身近に置きたくなる本です。

C++に関する基本的な知識の上に立脚する本書は最初に継承、多態性、参照、キャストなど言語的基礎をもう一度メモリレベルの内部実装まで掘り下げて解説します。次に、その掘り下げた基礎の上に、ゲーム開発の文脈に沿って、テンプレート、メモリ割り当て、シリアライズ、RTTI(実行時型情報)のゲーム・プログラミング上のポイント、その効果と他の効果のトレードオフが実際のゲーム・ランタイム内の動作を想定しながら解説されます。一方でデザインパターン、STL、スクリプト、プラグインと言ったより上位の構成的、抽象的、大局的な構造がゲーム・ソフトウェアの柔軟性と発展性にどのように貢献するか、開発過程でどのようにデザイナーとアーティストとのコラボレーションを可能にするか、という視点を軸に展開されます。

こう書くと、この本はC++テクニックを紹介する書籍以上のものではないかのように見えますが、普通の技術書とは全く違います。この本はゲーム開発者がC++を使った開発で行うリアルな思考のエッセンスを焼き付けた稀有な本です。一つ一つの知識はゲーム開発に直面する開発者の目線に立って解説されています。ゲーム開発固有の課題からC++言語の技術と特性が解説されます。これは作者が実際の優秀な開発者だから出来る事です。本書を持つことで読者は孤独なゲーム開発の中で大いに勇気づけられることでしょう。

この本は自分にC++言語に限らずプログラミング言語が持つ深い思想と、多様な実用性がエレガントに結びつくことを教えてくれました。C++が持つ設計思想がゲーム・ソフトウェアの動的な流れ(ダイナミクス)や静的な構造にどのように活かされるのか、はっきりとした道筋を見せてくれます。自分はこの本によって初めてC++を単なる道具ではなく、デジタル空間において多様な現象を産み出す仕組みとして理解することができました。

初学者は気構えて知識を吸収し、ベテランはリラックスしてこれまでの経験を一つ一つ確認して読むことで、本書を意義深いものにすることができます。

三宅陽一郎(監修)

定価:3,740円(本体3,400円+10%税)

書籍情報

  • 発売日:2011年12月21日(水)
  • ISBN:978-4-7973-6676-1
  • サイズ:B5変/1色
  • ページ数:512
  • 付録:-

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