戦塵外史 三 大陸の嵐
悲哀に満ちた微笑を浮かべて、男はそう言った。
「この人は、この大地で独りきりで生きている」
女の胸に言いしれぬ寂しさが満ちていった……。
ゼニツア王国の密偵・ディーク。かたや大陸一の美貌を誇る、遊女・セシリア。
二人が出会ったのは湖上に浮かぶ冷たい月の許(ルビ:もと)であった。その邂逅が彼らの数奇なる運命の序章になるとも知らずに……。
時はまさに戦乱。
大帝国カルディアはついに北への侵攻を始め、大陸中で血と鉄と肉が軋みあうような壮絶な戦が繰り広げられていた。
三国同盟を締結し、カルディアに対抗しようとするゼニツア、ルマイラ、ジェラルスタンであったが、それは容易ならざる一大事業であった……。
運命に翻弄されながらも時代を生き抜いた人々を、壮大なスケールで描いた歴史群像スペクタクル! 戦塵外史シリーズ第3弾。ついに登場!