
戦塵外史四 豪兵伝
戦塵外史
男は樵であった。戦へとかり出され、籠城戦で戦った。
ただただ、生きて帰りたい、それだけを願い、戦う漢の生き様とは。
戦場に、夜の街に、そこかしこでわき出る名もなき人々に焦点を当てた珠玉の短編集。
巨漢の樵(ルビ:きこり)が戦場で振るう血塗(ルビ:ちまみ)れの鉞(ルビ:まさかり)。
そこに籠められていたのは妻と、そしてまだ見ぬ子への想いだった。
屈強な傭兵が、ある日剣を捨て鍬(ルビ:くわ)を持った。いったい何が彼にそんな決意をさせたのだろうか。
憑かれたように女人像を彫り続ける石工。彼の奇行の深奥には、幼い日の忘れえぬ記憶があった。
そして名もなき荷駄隊の人夫が目撃した戦場の本当の姿とは……。
王侯貴族から傭兵、そして市井の人々にまで隈なく光をあて、その生き様を繊細に、しかし大胆に、あますところなく描ききった珠玉の短編集。
大陸シリーズ未収録短編八本が、遂にこの一冊に集結!