
廃墟ホテルへようこそ。2
鏡に映っていたのは、きゃろるとはまったく別の黒髪の女性。
「たすけて……」
「私、あなたをしているような気がする…」
きゃろるの中にいる黒薔薇のゾハル。
ついに彼女が動き出した!
「おお~~~~~~!」
その日廃墟ホテルの食堂は騒然となった。
きゃろるが入居一ヶ月を記念して人外たちにお弁当を作ってくれたのだ。
「花冠だぁ」
バルトは身をのけぞらせて絶叫し、ビショップは号泣する。
ふだんは貴族らしいふるまいのドラドラ伯爵ですらが、牙をむきだしにして弁当箱の奪い合いをするほど。
「このお弁当は僕のものだよ」
「いや、それは俺んだ。俺が今決めた」
みんなきゃろるが大好きなのだ。
だがその日、きゃろるの体に封じられた黒薔薇の光輝はひっそりと動き始めていた……。
廃墟ホテルで繰り広げられるフェロモンコメディ第2弾!