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「電波」のキホン

井上伸雄:著者

周波数帯の再割り当てで注目される電波の世界

地デジ化されたテレビはもちろん、身近なラジオや携帯電話、電子レンジなど、電波の恩恵を受けて生活しているのが現代人ですが、これを利用する通信機器を開発するには、電波の世界を知る必要があります。本書は基本中のキホンに絞って図解で解説します。
本書は、「電波」を学びたい思う初心者の方がやさしく理解できるように、難しい数式などは使わず、図解を用いながら説明しています。
目に見えない電波を図で理解するために、できるだけ身近なものを例にしながら、電波が発生するしくみから電波を利用する方法まで、ていねいに記述するように心がけました。
電波は周波数で区別されます。この電波の周波数は貴重な資源です。電波の利用はこれからますます広がっていきます。そのため、電波というものをよく理解し、うまく利用していくことがなによりも大切になっているのです。

第1章 電波とはなんだろう
私たちの身のまわりで使われている電波
もっとも基本的な波はサイン(sin)の形をしている 電波は目に見えない波
電波という「波」の特徴を表わす3つの重要なパラメータ 振幅と周波数と位相
どんな形の波でもいろいろな周波数の波が集まってできている
電波は電気と磁気が絡み合ってできたもの① 電気を流すと磁界ができる
電波は電気と磁気が絡み合ってできたもの② 磁界が変化すると電気が流れる
水平偏波と垂直偏波のほかに円偏波も使われる 電波の偏波面
電磁波が真空中でも伝わるのはなぜだろう
光の速度と同じで真空中では1秒間に30万km進む 電波が伝わる速さ
電波は伝搬しているうちに次第に弱くなる
金属や大地は電波を反射して通さない 電波をよく通すものと通さないもの
電波の強さを表す電界強度
電波の性質は周波数と波長で決まる
電波と電磁波はどう違う? 光も電磁波の一種
電波はなにもなければどこまでも直進する
電波の重要な性質① 反射と散乱
電波の重要な性質② 屈折、回折、干渉
地上波、対流圏波、電離層波の3つの伝搬経路がある 電波の伝わり方
上空には電波を反射する電離層がある D層、E層、F層
電離層にはいろいろな異常現象が起こる デリンジャー現象と磁気嵐
見通しがきかない遠距離まで電波を送る見通し外通信
フェージングという現象
携帯電話の電波で発生するやっかいなマルチパスという現象
マルチパス・フェージングを防ぐにはダイバーシティ・アンテナを使う
コラム 電波を伝えるエーテルという物質

第2章 電波の種類と利用
電波をだすには無線局の免許が必要
電波の周波数と用途 目的に合った使い方をする
超長波と長波(LF:Low Frequency) 地球の丸みに沿って遠くまで伝わる
中波(MF:Medium Frequency) 地表波と電離層反射波で遠くまで届く
短波(HF:High Frequency) 電離層で反射して地球の裏側まで届く
超短波(VHF:Very High Frequency) 直接波、反射波、回折波で伝わる
極超短波(UHF:Ultra HF) テレビ放送やモバイル通信に使う
マイクロ波(SHF:Super HF) 見通しがきく距離で大量の情報を送る
ミリ波(EHF:Extremely HF) ごく短距離の通信やレーダーに使う
サブミリ波(テラヘルツ波) 電波天文やセキュリティへの応用が進む
通信や放送以外の目的にも開放されているISMバンド
携帯電話に適した電波の周波数 700MHz~4GHz程度が使いやすい
携帯電話などのモバイル通信に割り当てられている電波の周波数
放送に使う電波の周波数 ラジオは中波と短波、テレビはUHF
アマチュア無線が使う電波の周波数 短波の利用はアマチュア無線から始まった
コラム マルコーニの実験

第3章 電波を利用する
携帯電話にみる電波の使い方① セル方式で電波の周波数を効率よく使う
携帯電話にみる電波の使い方② セルにはいろいろなサイズがある
テレビ放送にみる電波の使い方① デジタル放送はチャネルをすべて使える
テレビ放送にみる電波の使い方② 同じ周波数の電波を隣のエリアでも使う
衛星放送に見る電波の使い方 右まわり円偏波と左まわり円偏波を使い分ける
10m以下の超近距離を電波で結ぶ ブルートゥースとUWB
電波を使ってICタグに電力を送り、データをやり取りする
電波を使って電力を供給してもらう非接触型ICカードのしくみ
正確な周波数の電波をつくる 原子の振動から高精度の周波数を発生させる
標準電波を受けて正確な時間を表示する電波時計
船舶が使う遭難信号の電波 SOSからGMDSSへ
電波を使って船舶や航空機の位置を測定する
船舶が使う電波航法 双曲線を利用したロランCのしくみ
航空機が安全航行のために使う電波 VOR、DME、ILSなど
衛星からの電波で位置を測定するGPS カーナビや携帯電話が利用している
電波を使って物体の方向と距離を測るレーダーの原理
天気予報で活躍する気象レーダー 電波で雨や雪、雲の大きさと動きを測定
電波のドップラー効果 周波数の変化で移動速度を測る
電波で物体の速度を測る スピードガンの原理
電磁誘導で金属を加熱する高周波誘導加熱の原理
電波を使って木材やプラスチックなどを加熱する
キッチンで使う電波① 電子レンジの原理
キッチンで使う電波② 電磁調理器の原理
コラム 衛星通信にかけたSF作家の夢

第4章 自然の中の電波
温度があると電磁波がでる 温度と周波数には一定の関係がある
太陽が出す電磁波(その1) もっともエネルギーが大きいのは可視光
太陽が出す電磁波(その2) フレアから太陽電波バーストが発生する
宇宙から飛んでくる電波 電波から赤外線、光、紫外線、X線、ガンマ線まで
電波の窓、光の窓 宇宙からくる電磁波は大気で遮られる
宇宙からの電波を観測する電波望遠鏡
天体からの電波を使って地球を測

■著者:
1936年生まれ。1959年、名古屋大学工学部電気工学科卒業。工学博士。電電公社(現NTT)の研究所でデジタル伝送、デジタルネットワークの研究開発に従事。現在、多摩大学客員教授。おもな著書に、『「通信」のキホン』(ソフトバンク クリエイティブ)、『通信技術のすべて』『IPネットワークのしくみ』『通信&ネットワークがわかる事典』『通信の最新常識』『通信のしくみ』(日本実業出版社)、『情報通信早わかり講座』(共著、日経BP社)、『基礎からの通信ネットワーク』(オプトロニクス社)、『マルチメディア通信』(日本経済新聞社)など多数。

定価:1,650円(本体1,500円+10%税)

書籍情報

  • 発売日:2011年10月15日(土)
  • ISBN:978-4-7973-6445-3
  • サイズ:A5/フルカラー
  • ページ数:192
  • 付録:-

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