

人々をワクワクさせた、実験と談話を再現

もし19世紀にノーベル賞があったら、この人は幾度も受賞したはず……。そうも言われている化学・物理学者のファラデー。彼が、一般の少年少女や大人たちを前に、数々の実験を見せながら科学の真髄を示した名講演を、わかりやすくまとめました。再現可能な実験の写真を多数掲載。
難読の名作を“新訳”で最後まで!

ファラデーの講演録『ロウソクの科学』は、感動のラストが待つ歴史的名作でありながら、完読を断念する方が非常に多いのも事実。そこで本書では、原著の完訳ではなく抄訳とし、話の流れをはっきりさせることで、読み進めやすくしています。
今までの和訳書にない実験写真が多数

講演中、ファラデーはたくさんの実験を聴衆に見せつつ、科学の真髄に迫っていきます。その実験こそが人々をワクワクさせ、理解を深める大きな助けとなりました。そのため、本書では、実験を再現した写真をできるだけ交えて解説しています。
図解も添え、ストーリーを追いやすく

実験の写真だけでなく、イラストや模式図、当時の絵画といった参考資料なども収録しました。講演録のストーリーはそのままに、現代では想像しにくい歴史的な事柄や、現代の科学とは異なる部分についても補足し、わかりやすく構成しています。
再現した演技実験の例 ロウソクを「引く」

よく「ガスを引く」と言いますが、ファラデーは「ロウソクを引いて」見せます。ロウソクの炎の中にガラス管を差し込むと何かが出てきて、火を近づけると燃えるのです。これは何でしょう?
不思儀な「水」の性質

ロウソクと水には不思儀な関係があります。そんな水の有無を調べるのに使われたのが、カリウム。水の中にカリウムを入れると、非常に激しく反応し、すみれ色の炎を上げて水面を動き回ります。
酸素が助けること

ファラデーは、水から水素と酸素を取り出します。そして木片に鉄線を巻きつけ、空気中で火をつけてから、酸素の中に入れました。すると、木片だけでなく鉄も燃えだし、火花が生じます。
ご家庭で試せる実験は、材料や手順も紹介 重力に逆らってのぼる液体

高く盛った塩で、毛細管現象の威力を目のあたりにできる実験。ファラデーは言いました。「青い液体をロウ、食塩の柱をロウソクの芯だとしましょう。ほら、青い液体は柱をのぼっていきます」
炎の「美しい舌」

講演当時、流行していた遊び「スナップドラゴン」を応用した実験。炎の形やその変化がよくわかります。安全面に十分注意し、本書記載のコツをおさえて楽しみましょう。
空気鉄砲

さまざまな性質をもつ空気。この空気を利用して、ジャガイモの弾丸を飛ばします。ファラデーの時代には、細い紙の筒やアシの茎が使われていましたが、今は硬めのストローで簡単にできます。