25年、投資の世界の第一線で仕事をしてきました。

現在は「ひふみ投信」「ひふみプラス」の運用責任者として、R&Iファンド大賞を4年連続で受賞しました。なぜ激動の時代でも勝ち続けることができたのか。世の中がどう動こうと、再現性を持って結果を出し続ける方法があります。『投資』と『お金』の考えをすべて詰め込んだ1冊です。
増殖する「失望最小化」戦略の人たち

今の日本には「2つのグループ」がいるような気がしています。「将来には、必ず失望が待っている…そう考えているのが「失望最小化」戦略のグループ。リスクを避ける傾向が強くて、非常に保守的な人生観を持っています。一方「将来は明るい!挑戦したほうが喜びは大きくなる!」そう考えているのが「希望最大化」戦略のグループ。自分を成長させるため、社会に貢献するため、できることは積極的に取り組もうと考えます。つまり動く人と動かない人の格差が広がります。2年前に投資をはじめた人は、投資金額が平均で2倍に増えていますから「動いた分だけ運用益が増えた」わけです。
のびる会社を見つけることはたやすくありませんが、日経平均を予測するよりは簡単です。

なぜなら、長期的に見ると、「営業利益と株価はほぼ一致する」からです。グラフを見ても分かるように、営業利益と株価は高い相関関係があることがいえます。株式投資は「会社の伸びる可能性」に注目しましょう。
「リスク=変動」

株価は利益によって決まります。成長する可能性の高い会社に投資すれば、大きなリターンが期待できます。変動するからです。リスクはリターンの源泉です。変動のない世界では、リターンはありません。安定を求める社会とは、「金持ちは金持ちのまま、貧乏は貧乏のままの社会」のことです。変動がなければ格差は固定されます。
ペットボトル150円の行方

「経済とは何か」をつきつめて考えていくと、こんなことがわかります。「人はただ生きているだけで価値がある」生産活動に参加していなくても、消費活動を行っているだけで、「誰かの役に立っている」のです。経済とは「お金を通じて支え合うこと」です。コンビニで150円のお茶を買ったとします。この150円は、コンビニの売上になります。お茶のメーカーの売上になります。お茶を運ぶ運送会社の売上になります。挙げだすと、キリがありません。私たちの消費活動が、必ず誰かの生産活動につながっています。このつながりを「互恵関係」といいます。周りとの関係で、生かし、生かされることです。

「何を捨てて、何を残すか」は4つの決断軸で考えるとはっきりします。どの軸を優先するかは、決断する人の哲学やスタイルの問題であって、どの軸が正しくて、どの軸が間違っているということはありません。私が優先しているのは第4の軸です。好き嫌いで決めるのは感情的で良くないと思われるかもしれませんが、消費行動は「好き嫌い」で決まることが多い。「好き嫌い」は、実はとても合理的で高度な決断軸なのです。