「想い」と「アイデア」で世界を変える
ゴミを宝に変えるすごい仕組み 株式会社ナカダイの挑戦
ゴミを集めれば集めるほど、儲かる。
それが、産廃処理という仕事のビジネスモデルです。
しかし、それは環境破壊が問題になる今の時代と逆行しているのではないか。
俺の仕事は本当に、ただゴミを大量に集めるだけでいいのか。
そのような想いから、「産廃処理業」から「総合リサイクル業」に転換をはかろうとしているのが、
群馬県前橋市で50年に渡って産廃処理業を営む株式会社ナカダイの中台澄之氏です。
もともとは大学卒業後、証券会社の営業マンとして働いていた著者は、
実家がこれまでの鉄スクラップ業から産廃処理業へと方向転換をはかるのを機に、
「まだ誰もやっていないことをやれるチャンス」ととらえ、
自ら志願して、家業であるナカダイに入社します。
古い慣習が多く、一般企業とは異なるた感覚の産廃処理業界に、
中台氏は証券会社で学んだビジネススキルや営業力を武器に、
ナカダイを改革するべく、一人で仕組みつくりから営業まで、言葉通り奔走します。
そうする中で上記のような考えに行き当たり、業界でもいち早くリサイクル業に着手。
業界内では驚異の「リサイクル率99%」を達成するとともに、
人々にもっとゴミの流れを知ってもらいたいと工場見学ツアーを開始したり、
廃棄物をそれぞれの素材に戻し、常時400種類を展示・販売する「モノ:ファクトリー」の創設、運営や、
廃棄物を利用してゴミからアート作品を作るワークショップを行うなどの啓蒙活動を始めます。
その取り組みは次第にメディアや業界外でも注目され、
現在は「ビジネス・アーティスト」として講演やイベント、ワークショップを行うほか、
東京藝術大学、丸の内朝大学でも講師を務めるように。
「“捨てる”と“使う”をつなぐ仕事をしたい」
「カイゼンではダメ。大切なのはイノベーション」
本書では、そんな想いを胸に、アイデアとビジネススキルを武器に古い業界の慣習を次々と打ち破る著者の
「産廃」や「ビジネス」に対する想いや考え方、また、改革を実践するために社内外で行ってきたことなど、
様々なエピソードをまじえながら紹介します。
新規事業や起業のアイデアを探している人や社会起業や環境ビジネスに興味のある人、
また、想いをアイデアに変えビジネスにする一連の流れは、すべてのビジネスパーソンにとって参考になると思います。
■目次:
はじめに
1章 生い立ち
2章 証券会社からの転身、そして産廃処理業界へ
3章 古い業界に「アイデア」でイノベーションを起こす
4章 新たな挑戦と逆風
5章 モノ:ファクトリーに込めた想い
6章 「仕組み」と「想い」で大きなつながりを作る