つくる・伝える・話す─すべての仕事のベースに

私たちは、この考えるための基本フレームを、「リボン思考」と呼んでいます。リボン思考を身につけると、新しいものをつくる力や、企画アイデア力だけでなく、人生のあらゆる局面で必要とされる次のような力を鍛えることができます。 伝える力──面接・プレゼン・自己PRの力が上がる! グループで話す力──打ち合わせ・グループディスカッション力が上がる! 書く力──論文・レポート・議事録がうまくなる!

社会に出ると、答えが1つと決まっていて、正解に答えられれば合格、という場面はほとんどありません。99 %の仕事は、正解のない問いにみんなで挑むスタイルで進めているのです。新しいものを生み出す考え方のフレームを伝えたい、それが本授業の目的です。「考える」ツールやプロセスを知らないだけで、誰でも「考える力」を学ぶことができます。

これは、ジェームス・W・ヤング(1886~1973)というアメリカの広告マンが書いた古典的名著『アイデアのつくり方』の中の有名な一節です。「既存の要素を新しい1つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性をみつけ出す才能に依存するところが大きい」ヤングはこのようにもいっています。アイデアを組み合わせるには、元となる知識が必要です。だから、知識量はあればあるほどいいのです。

新しいことを「考える」の最初のステップは、情報収集(インプット)から始めます。インプットでは、次の2つのことを考えることからスタートします。魅力的な料理をつくるには、まずは何をつくるかを決めて、それに合わせた素材集めからはじめます。よい素材が手に入ってしまえば、あまり手をかけずともそれだけで十分おいしいものに仕上がります。魅力的なアイデアにも似たところがあるのです。

目的とリサーチ方法代表的な組み合わせの例です。探索型の定性調査は「人の行動や意識、その場で起きていること、さまざまな関連事象までを洗い出し、仮説そのものを発見する」ことを目的とします。そのため、事前に仮説を立てずに、思い込みを排除して、調査を始めることが非常に重要です。

標準的なインプットフェーズの流れは、「インプット方向の探索(問い)」で拡散し、「インプット方向の絞り込み」で収束、インプットテーマを仮決定します。そして「探索型インプット」で再び拡散し、「検証型インプット」で発見に向けて収束させていきます。インプットの後半は、次のフェーズである「コンセプト」策定に近い作業になります。