「ヤバい」モチベーション術、憂鬱な朝でも「気づいたら会社に着いている」方法とは?
「自分はどうして気まぐれなのだろう。やる気もなかなか起きないし、やり始めたことも続かない」。そんなふうに自らのモチベーションの低さを嘆く人は多いかもしれない。だが、偏差値30からケンブリッジ大学大学院を卒業し、『ヤバいモチベーション』を上梓した塚本 亮氏は語る。「努力家といわれる人は、とてつもなく意志が強いわけではなく、それをやろうとする『しくみ』を持っているだけなのです。意志ではなく、しくみで自分を動かすのです」。では、会社に行くのが憂鬱なときは、どのような「しくみ」をつくればモチベーションが上がるのか。塚本氏に語ってもらった。
ジーエルアカデミア 代表取締役 教育コンサルタント 塚本 亮
自分にとってプラスとなるゴールを作る
会社に行く前の憂鬱は、どうしたら解消されるのか?(Photo/Getty Images)
朝から何だか気が重い。会社に行くことを考えると体まで重くなってくる──。時にはそんな朝もあるでしょう。でも会社へは行かなければならない──。そんなときは一旦「会社へ行く」というゴールを脇に置きます。
「朝、会社へ行く」という行為は習慣化してしまうと、大ざっぱに一つにくくりがちですが、チャンクダウンしてみると案外細かい行動に分かれていることに気づきます。たとえば「起床→洗顔や化粧など身だしなみを整える→朝食→書類など持ち物の確認・準備→家を出て最寄り駅まで歩く→電車に乗る→会社まで歩く→到着」というように。
会社到着をゴールとすると、それまでの行動はすべてこのゴールを目指すものとなり、そのゴールが気の乗らないものであるとそこまでの行動はどれもしんどい。そこで一旦、会社到着というゴールを外し、その手前に別のゴールを用意します。「これはやりたい!」「これは楽しみ!」と思えるような自分にとってプラスとなるゴールを作るのです。
たとえば、会社へ行く前にスターバックスに寄って、カプチーノを飲みながら今日発売の雑誌を読もう、などと決める。好きな作家の新作を読む、あるいはカフェのWi-Fiを利用して好きな海外ドラマを1話だけ観るといったことでもいいでしょう。とにかく自分の気分がよくなる何かを、会社へ行く途中に設定するのです。
すると家を出るまでの行動は、そのゴールに向かうためのものとなり、軽快に動けるようになります。実はこれは、人が将来の価値を割り引いて考え、目の前の利益や満足感を優先してしまう傾向があることを利用したもの。
人間は将来の利益より、目先の利益に釣られやすい
出勤前にカフェに寄るなど、ゴールの途中に楽しみを設定するとよい(Photo/Getty Images)
たとえばダイエットしてかっこよくなりたいと思っているのに、目の前のケーキをつい食べてしまうということを人はやりがちです。将来、痩せてかっこよくなればその人にとっては何か大きなメリットがあるかもしれません。しかし人にはその将来に得られる価値を割り引いて考えてしまう傾向があり、この割り引く率のことを行動経済学で「時間割引率」といいます。
会社に行きたくないと思う理由は人それぞれでしょうし、時と場合によっても変わるでしょう。しかし少し時間軸を伸ばして考えた場合、会社へ行きまじめに働くことによって得られるメリットを見つけられる場合は多いはずです。それは給料かもしれないし、今後の人生のどこかで役立つ経験かもしれません。昇進や昇給につながる信頼や信用かもしれません。
でも人はそんな将来の価値を割り引いて考えてしまいがちで、つい目の前の満足を優先させてしまうのです。手をつけなければいけない重要な仕事があるのに、ついLINEニュースを見てしまうといったようにですね。
会社へ行きたくないときに会社到着とは別のゴールを用意するというのは、この「時間割引率」の傾向を逆手に取ったもの。そもそも将来の価値を割り引いて捉え、目の前の利益や満足を優先させてしまう傾向があるのだから、最初に自ら満足できるものを用意してしまう。そしてひとまずそれに向かって行動を起こし、勢いをつけてしまおうというわけです。
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