



学年を飛び越えた数珠つなぎ形式だから中学数学が絶対わかる!
「中学数学」って「なんの役に立っているの?」――そんな風に思っている人、いませんか?
この本は
「数学なんて嫌い」
「数学なんてやりたくない」
「数学なんて役にも立たない」
そういうふうに思っている人にこそ読んでいただきたいのです。
数学って、実はいろいろな仕事に必ず役に立ちます。使えます。
数学の考え方をその仕事に使えれば、ものすごい成果を出すことができます。
実際に「数学を使って世の中を変えた(ものすごい成果を出した)歴史上の偉人」はたくさんいます。ここでは、2人紹介しましょう。
1人目はナポレオンです。
ナポレオンは「戦争の天才」で、とにかく大砲の弾を的に当てるのが抜群にうまかった。大砲を敵に当てるには、敵までの距離を知りたいですね。でも、直接測るわけにはいきませんよね。ノコノコ測りに行ったらやられますから。
じゃあ、どうしたのか? ナポレオンは自陣を横に移動して、敵との角度がちょうど45°になるような場所を調べたんですよ。そうすると直角二等辺三角形三角形ができて、直角を挟む二辺の長さが一緒になります。
だから、敵までの距離を直接測ることはできないんだけど、90°ズラした方向であれば測れるわけです。
これって、まさに数学です。中学数学ではこのような図形の学びをどんどん深めていきます。
もう1人は、女性です。お仕事は看護師さん、ナースさんです。
名前はナイチンゲールです。
ナイチンゲールはイギリスのナースさんで、クリミア戦争の戦場のあった病院で働いていました。
ナイチンゲールが働いていた病院では、1年間に3万人以上の兵士が亡くなっていました。でも、ナイチンゲールはその病院を初めて見たとき、思ったんですよ。
「めちゃくちゃ汚いな」と。
「これ、この汚さで人がどんどん死んでるんじゃないか?」とナイチンゲールは考えます。
なので、確かに治療は大事なんだけど、それより前に掃除や洗濯をちゃんとやりませんかと提案しました。ところが、こんな話、誰も聞いてくれません。
「いやいや、ここ病院だぞ。治療に専念したほうがいいに決まってるだろ」と。
そこでナイチンゲールは、実際にその病院で亡くなった患者さんの死因を調べました。徹底的にデータとして調べ上げていったんです。
そうしたら、死因のほとんどが感染症でした。怪我ではなかったんです。ナイチンゲールは数学的にこの事実に気が付いたわけです。
で、このデータをもとに周りの人たちを説得して、病院をめちゃくちゃきれいにしたら、1年間で3万人以上が死んでいたこの病院が、3年間で3,000人にまで死者を減らせました。30分の1ぐらいにまでなった。
まさに、数学を使って世の中を変えた女性がナイチンゲールなんですね。
やっぱり、数学的に説得できれば強力な武器になりますし、何より「数学的に正しいんだから、これは絶対大丈夫だ」というふうに自信を持って行動できるんです。
逆に、その数学を使えないと「世の中のムード」とか「周りがこういうふうにやってるから」みたいなことに流されてしまいます。そうすると、なかなか世の中を変えるような仕事はできないんです。
ということで、皆さんには、このように実際に数学を使うことで世の中を変えてほしいんです。そのときに必要になるのが数学の基本「中学数学」です。
「数学を使って世の中を変えられる人になるか」それとも「世の中に流されちゃう人になるか」
あなたはどっちですか?
■第1章 数(正負の数、文字式、平方根)
■第2章 方程式(一次方程式、連立方程式、二次方程式)
■第3章 関数(比例の関数、反比例の関数、一次関数、y=axの2乗)
■第4章 図形(作図、移動、空間図形、平行線と角、合同、相似、円周角、三平方の定理)
■第5章 資料の活用(代表値、確率、標本調査)