

世界は認知バイアスが動かしている
情報社会を生きぬく武器と教養
●認知バイアスを制する者が世界を制する時代
大統領選で熱狂する群衆。
SNSで炎上に加担するネット民。
商品やサービスのブームに乗っかる消費者たち… 。
情報に踊らされ、狂喜乱舞する人々。
このときに彼ら彼女らを衝き動かしているものは何なのか?
それこそが「認知バイアス」である。
人は「事実」で動くのではない。
バイアス、すなわち「思い込み」によって衝き動かされる。
この世の中は、「バイアスによって衝き動かされた人類」でできている。
だからこそ、自分が思い込みに踊らされないために、
「思い込みに踊らされる他人」を理解するために、
認知バイアスの知見が欠かせない
そして、「情報社会」となった今、
この傾向はますます強まり、
情報に踊らされる人が増えている。
昔に比べると誰でも情報にアクセスできるようになった。
今の時代、最先端の情報を得ることだけでは強みにならない。
では、この情報過多の時代には、何が人と人の差をつけるのか?
それが「溢れかえった情報に踊らされず、正しく客観的に見る力」だ。
今の時代に認知バイアスを知らないことは、
ことのほかヤバいことなのだ。
しかし、認知バイアスはこれまでなかなか体系化されてこなかった。
理論を一つ一つ丸暗記するしかなく、「本質」がつかめなかった。
そこで本書では、
「確証バイアス」「選択的注意」「心理的リアクタンス」から、
「同調バイアス」「知識の呪縛」「生存者バイアス」「感情移入ギャップ」まで、
「主要理論」を体系化するという、今までにない切り口から認知バイアスの世界を案内する。
【目次】
■プロローグ 世界は認知バイアスが動かしている
・認知バイアスを知らない者がカモられる時代
・認知バイアスを制する者が世界を制す
・なぜ世界のエリートは認知バイアスを学ぶのか?
・「主要理論」を体系化した入門書
■序章 認知バイアスの「キホン」と「本書での学び方」
◎認知バイアスとは結局、「思い込み」である
・ 認知バイアスとはそもそもどんな学問か?
・230年前の「認知バイアス最古の記録」――「賭博者の誤謬」
・サイモン、カーネマン、トヴェルスキー……認知バイアスが今に至るまで
◎従来の「認知バイアス入門」は体系化されていない
・知識がバラバラで読んでも頭に残らない
・「本質」がつかめない
◎認知バイアスの主要理論を体系化した入門書
・「思い込み」を引き起こす4つの要因
・【要因①】思考のクセ
・【要因②】心
・【要因③】人
・【要因④】情報・モノ
■第1章 思考のクセ――「思考のクセ」が思い込みを引き起こす
◎「思考のクセ」の根本は何か?
・人が持つ2つの思考「システム1 VS システム2」
・知的エリートもひっかかる――二重過程理論
◎そもそもなぜ人間には「思考のクセ」が必要か?
・システム2が起動しないのは「認知の経済性」のせい
・システム1になりがちなのは「認知負荷理論」のせい
・人間が瞬時に記憶、認識していられるのは7つまで――「マジカルナンバー7±2の法則」
◎代表的なシステム1とは何か?
・市場価格を無視してでも高値で買ってしまう「アンカリング効果」
・値下げシールにだまされるな!
◎人はまったく「自分のこと」がわかっていない
・できないヤツほど自己評価が高い――「ダニング・クルーガー効果」
・成功は自分の努力、失敗は他人のせい――「自己奉仕バイアス」
・ワイナーと「原因帰属理論」
◎「記憶の曖昧さ」と認知バイアス
・「フォルスメモリ」の影響で、事件の目撃証言は信用できない
・幼少期の記憶はつくり変えられる――自伝的記憶
・ニクソン大統領のアンケートと「後知恵バイアス」
■第2章 心――「心の状態」が思い込みを引き起こす
◎好き嫌い
・「感情移入ギャップ」が、オイルショック時の買い占めを引き起こした
・なぜ人は落ち込んでいる時にさらに落ち込むのか?――「気分一致効果」
・一歩引いて自分を見てみる――メタ認知
◎損得感情
・人は損失に関わる決定をひたすら避ける――「損失回避」
・米国のポラロイド社の破綻と「現状維持バイアス」
・「サンクコスト」で、27年間赤字を垂れ流した旅客機コンコルド
◎信じる心
・「信念バイアス」で人は、食塩水とモルヒネを間違える
・人は結局、聞きたい情報しか聞かない――「確証バイアス」
・「来年の新入社員はデキる」の予測が外れるワケ――「妥当性の錯覚」
■第3章 人――「周りの人」が思い込みを引き起こす
◎個人
・「期待効果」で、選手の成績を劇的に上げよ!
・課題は「絶対にできる」と考えた方いい――「自己効力感」
・セリグマンの犬と「ゴーレム効果」
◎集団
・企業の派閥やグループをゆがめる「内集団バイアス」の罠
・「自分がやらなくても誰かがやるだろう」――「傍観者効果」
・ネットは「集団極化現象」で炎上する
◎他人の行動
・ソロモン・アッシュと「同調バイアス」
・「100万人愛用,売れています!」――「バンドワゴン効果」
・バンドワゴン効果は「社会的証明」とも似てる
■第4章 情報・モノ――「周りの情報・モノ」が思い込みを引き起こす
◎人はモノ・コトをこう捉えがち
・誰もが「錯覚」から逃れることはできない
・義足を身体の一部に感じられるわけ――「ラバーハンド錯覚」
・画鋲の箱は常に画鋲の箱ではない――機能的固着
◎情報
・「少数の法則」があるから、見たこともない鳥を鳥と認識できる
・1000年以上もの間、人が天動説に囚われていたわけ――「素朴概念」
・フィリップス・デイヴィソンと「第三者効果」
◎モノ
・「ピークエンド効果」は、カスタマーエクスペリエンスに使える
・来年の5万円よりも今の1万円――「現在志向バイアス」
・貯金はしないけど掛け捨て保険に入るーー「時間割引」
◎出来事
・ありえない価格のスマホがあるのは「おとり効果」のため
・人は比較によって価値を変える――「相対評価理論」
・同じニュースが「暴動」にも「デモ」にもなる
■エピローグ 認知バイアスとうまく付き合うために