センスのセンス
センスから自由になるための「センスのセンス」の美学。
ファッション、音楽、文章、仕事――あらゆるものをうまくこなせる「万能のセンス」は存在しない。それを分かっていながらもセンス幻想を追い求めてやまない私たち。大切なのは、ただセンスを磨くことではなく、無数のセンスを愛し、出会い、遊び、自由に付き合えるようになること。つまり「センスのセンス」を磨くことだ。
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「センスがいい人」になりたい。私たちはそう願っている。
ファッション、インテリア、料理、音楽、文章、仕事。世の中には「センスがいい」と評価される人がいる。もちろん、そんなはずはない、と素面では分かっているはずなのに、優れた感性の根底に、何にでも通用する特別な能力がある……そんなセンスの幻影を私たちはついみてしまう。
なぜ私たちは完全なセンスを求めてしまうのか。なぜ存在しないはずの万能のセンスを追い求めるのか。
本書は、美学の立場から、私たちが何気なく使っている「センス」という奇妙な能力の正体を解き明かす。なぜ、ある人には素晴らしく見えるものが、別の人にはまったく理解できないのか。センスは生まれつきなのか、身につけられるのか。なぜ「高尚な」趣味と「低俗な」趣味が生まれるのか。人気のあるものは、本当に優れているのか。センスのある人を羨んだり、逆に「分かっていない人」を見下したりするのはなぜなのか。
センスとは、ただ「よいものを見抜く能力」ではない。そこでは、ものごとへの関わり方、感情、遊び、他人との競争や愛着や執着が絡み合う。根源的に、センスとは、自分はどんなふうに生きたいのかにまつわる幸福のヴィジョンそのものである。
大切なのは、自分はどのセンスと、どんなふうに付き合いたいのかを考えること。
センスを磨くためだけではなく、センスから自由になるための「センスのセンス」の美学。
第一部 センスとは何か
第1章 センスとは美的判断の能力である
第2章 センスとはフレームである
第3章 センスとは遊びである
第二部 センスの罠から抜け出す
第4章 低俗と高尚
第5章 憧れと妬み
第6章 驕りと闘技
第三部 センスとどう付き合うか
第7章 どのセンスがえらいのか
第8章 センスに理由はあるのか
第9章 人間にとってセンスとは何か?










