伝える技術50のヒント
フジテレビを代表する元アナウンサーとしてお馴染みの山中秀樹氏による、伝える技術を高めるための全50編の「箴言集」。
“喋りの職人”を自負する著者だが、本書はアナウンサーを目指す人のための実用書ではない。「口下手の人」「自分の意思をうまく伝えられない人」など、物事を口で表現することにストレスや悩み、苦手意識を感じている人が、それをどう克服するかを説いている。
アナウンサーならば、滑舌よく、よどみなく喋ることが要求されるが、アナウンサーではない人にとっては、それを習得することがもっとも大切なことではない。立て板に水のごとく流暢に喋れば印象がいいわけでもなく、むしろ嫌味に受け取られることすらある。
もっとも大切なことは、自分の伝えたいことを確実に相手に伝えること――。
話の途中で言葉がつかえたり、噛んだりしても、相手に物事を伝えるという言葉本来の役割を全うできるかどうかが鍵。そのために必要なのは、「聞く」「見る」「読む」と説く。
どれも情報を入力(インプット)するということ。物事がしっかりと自分の中に蓄積されなければ、出力(アウトプット)もままならない。つまり、伝える技術を上達させるためには、それとは逆に、物事をインプットすることが、まずは大切になる。
そのために、これまでのアナウンサー人生で著者が培ってきたノウハウを読者のみなさんにインプットしていただけるよう、余すところなく公開する。
【こんな人は必見】
1.しゃべりが苦手な人、もっと話し方を上達させたと思っている人
2.日ごろのコミュニケーションに少なからずの悩みをもっている人
3.プレゼンをする機会の多いビジネスパーソン
4.就職活動をする学生
――いずれも性別年齢は問いません。
■目次
まずは人真似から
話すことの究極は聞くこと
トス上げ上手
日本語にアンテナを張り巡らす
豊かな表現法
正しい日本語と俗語的な日本語
使えない言葉と使わない言葉
活字に触れて語彙を増やす
小説のご利益
短い喋り
単調な話し方
ちょっと誇張した描写力
頑張りすぎの過剰な演出
相手の反応を感じとる
見た目と喋り
緊張しないために
緊張感を味方につける
非日常を日常に変える
下準備という愚直な努力
余裕と一人前
下準備のコツはキーワード
ライブ感を大切に
楽観主義のすすめ
よどみない喋りの功罪
自分の声を聞く
詐欺師に学ぶ … ほか
<COLUMN>
カメラデビューは台風中継
小学生の頃からアナウンサー志望
発声練習で飛ぶ唾で床が真っ黒に
NHKのニュースを録音、テープ起こしして訓練
標準語のアクセントという壁
行動のすべてが「アナウンサーになるため」
早稲田大学アナウンス研究会
6大学野球を4年間実況
中尾彬さんから褒められた
男性アナと女性アナの違い
■著者紹介
山中秀樹(やまなか・ひでき)
1958年広島市生まれ。81年早稲田大学第一文学部卒、同年フジテレビ入社。フジテレビを代表するアナウンサーの一人として報道からバラエティまで幅広く担当。アナウンス室専任部長として、後輩のアナウンサー教育に厳しい熱血指導を行った。2006年フジテレビを退社し、フリーに。(株)タイタン所属。