
本書では、実務に必要なデータの見方や分析のやり方はもちろん、最初のプロセスで必要な考え方や視点について丁寧に解説します。しっかりとした課題設定、数字に基づく、筋の通った説明を下地としたシンプルなストーリーが求められます。誰もが理解でき、やればやるほどスキルとセンスを上達させることができます。

上のグラフで来店者数を加えてみると、「売上高」一本でしか勝負できない状況から大きな一歩を踏み出せたことがわかります。結果を並べただけの「データ整理」では、現状把握しかできない。「分析」に進めてはじめて、価値ある情報が引き出せます。視点を1軸から2軸以上に広げること。この例は、グラフ上の見た目だけで判断できるシンプルな例です。

考えを客観的にするコツは図のようなマトリックスです。考えていることの1つひとつが、どこまで具体的であるかを整理します。事実として見えている現象と、本来は分析してわかるはずの原因、その原因に基づいて計画する方策を明確に意識して切り分けましょう。

課題解決プロセスの中では、「課題ポイントを見つける」ところと「要因特定をする」ところのそれぞれにおいて、仮説を先に立てます。正しいのかどうかを検証するには、現場へ行って自分の目で確かめるか、データで事実と照らし合わせるといった手段が必要です。つまり、一般事務でのデータ分析の直接の目的は、「立てた仮説の検証」だと私は考えています。

「スナップショット」とは、ある範囲を切り取って、その特徴を表そうとする視点です。「スナップショット」で分析すると、色々な要素や切り口で比較しやすくなる。ただし、一定期間に絞った静的な情報であることを忘れずに。

2つの軸でデータをプロットし、その分布の様子から共通項を見出し、グルーピングします。各グループはなぜ他のグループと違うのか、どんなところが違うのか。変化点と共通項の両方に着目したこの事例のように、常にそれぞれの着眼点が完全に独立しているとは限りません。2つ以上の着眼点を合わせて考えるときに使える視点です。