負けを生かす極意
★監督通算成績1565勝1563敗、プロ野球でいちばん負けたからこそ語れる、負けを「次」に生かすノムラ流極意
「負けに不思議の負けなし」――野村氏の言葉のなかで最も知られているものである。
ID野球で知られ、日本一も経験した野村氏の監督通算成績は「1565勝1563敗」。
あれだけ勝っていながら、実はプロ野球でいちばん負けているのである。
そんな野村氏の、善く負けて、善く勝ったからこその、重みのある言葉でもある。
プロの世界では、たった1敗をきっかけに、
頂点から奈落の底にまで落ちてしまうことが往々にしてある。
かといって、負けが込んでいるようで、気がつけば最後にトップを取ることすらある。
人は目先の勝利やヒーロー、華々しいプレーや結果にばかり目を奪われがちだが、
本当に強い者は、最後に勝つ者であろう。
最初は弱く、失敗をし、負けていても、弱者には弱者の戦略(兵法)があり、
奢れる強者を逆転することは決して夢物語ではないし、
これまでの野村氏の野球がそれを証明している。
そのためには、ただの「負け」を無意味な1敗にするのではなく、
明日につながる根拠のある「負け」や、
次への伏線となる「負け」にする必要がある。
いま日本では、国際競争力減退、格差拡大、人口減少……を抱えている。
またビジネスパーソンも左遷、撤退、リストラなど、置かれている状況は芳しくない。
目先の個々の現象としては「負け」しかなくなった現代日本――。
いま必要なのは、「負け」思考・志向の現代人の常識を覆し、
最後に勝利をつかむための
<次につながる意味ある負け方>
<最終ゴールへの伏線となる負け方>
<大局観をもったうえでの局地戦での負け方>
である。
日本でいちばん負けて、善く勝ち、善く負ける方法を体得した名将・野村氏だからこそ語れる、
野球ファンそして悩めるビジネスパーソンへおくる「負け」を生かす勝利への極意。
■目次:
プロローグ 侍ジャパンが負けから学んだもの―― 「第4回WBC」準決勝敗退の教訓
第1章 「外野手出身監督」では常勝チームは作れない――負けを次に生かすことができない監督たち
第2章 今のプロ野球を見て、現有戦力で足りないもの――優勝できないのには、れっきとした根拠がある
第3章 「あのときの負け」が本当に意味すること―― 「1563敗、76分」の私が伝えたい勝利につなげる敗北学
第4章 「負け」を次に生かせるリーダーの条件――栄光は敗北から始まることを肝に銘じろ