「発達障害」と言いたがる人たち
いま、過熱する「発達障害バブル」。専門外来では、予約から診察まで3か月待ちは当たり前といった状況が続いている。
わが子の行動やコミュニケーションに不安を抱く親たち。
仕事や人間関係の尽きない悩みに原因を求めるおとなたち。
皆、「生きづらさ」のよすがとして、「発達障害」という記号を求めているのではないか、と精神科医の香山さんは指摘する。
早く診断を受けて、適切な支援を受けさえすれば、この「生きづらさ」は軽減されるのか?
発達障害に関する分類や考え方は、まだまだ大きく変動しており、精神科医でさえ、その変動についていくのは難しい。
過熱する患者や家族の心理と変動し続ける発達障害診断。
「発達障害」はどこへ行くのか?
精神科医・香山リカさんが、生きづらさの原因を「発達障害」に求める人たちの心理と時代背景に斬り込んだ意欲作!
■目次:
はじめに もしかして、私もそうかも
第1章 増加する「おとなの発達障害」
―発達障害か、ただの個性か。生きづらさの正体を求めて
第2章 発達障害はなぜわかりにくいのか
―「ふつうの人」か「発達障害」か
第3章 そもそも、発達障害とは何か
―発達障害は育て方やしつけが原因ではない
第4章 発達障害が活躍する時代が来る?
―拡大する「発達障害ビジネス」
第5章 過剰診断という悩ましい問題
―世間の望みを医療者が抱えるジレンマ
第6章 発達障害はどこへ向かうのか
―私たちは、どう向き合い、どう考え、どう対処すればよいか