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境界知能の子どもたち

宮口幸治:著者

「IQ70以上85未満」の生きづらさ

日本人の7人に1人! 「普通」でも「知的障害」でもないはざまの子どもたち

境界知能の子どもたちは、一見すると普通の子に見えます。
もしも、みなさんの知り合いに境界知能のお子さんがおられたとしても、まず気づかないと思います。その子に道で出会ったら、あいさつを交わして会話も成り立って、困っている子には見えないはずです。あるいは、わが子が境界知能の場合でも、客観的には普通の子に見えるのではないでしょうか。
「普通」の子に見えるのに、「普通」ができない――これは、境界知能の子だけではなく、軽度知的障害の子にも当てはまる場合があります。知的障害でも「軽度」というところがポイントで、一見すると普通の子に見えて、見過ごされてしまうケースがあるのです。本書では、「境界知能の子どもたち」と銘打っていますが、その内容は軽度知的障害の子にも当てはまる部分は大いにあります。

・授業についていけない
・友達とうまくつき合えない
・感情コントロールが下手
……そんな困りごとがあれば、子ども本人のやる気や性格のせいだと片づけるのは早計かもしれません。
この本を手に取った方は、境界知能の子どもの親御さんや、クラスに「気になる子ども」のいる学校の先生、あるいは福祉や心理など特別支援教育の関係者の方が多いかと思います。
親や教師、周囲にいる大人は、その子のしんどさ、そしてしんどさの背景にある認知機能の問題に気づいてあげてほしいのです。
(「はじめに」より)

【目次】
第1章 気づかれない「境界知能」と「軽度知的障害」
第2章 知能検査について知る
第3章 教科学習の前になぜ認知機能が大事なのか?
第4章 子どもの可能性はどのように伸ばすのか?

定価:990円(本体900円+10%税)

書籍情報

  • 発売日:2023年8月5日(土)
  • ISBN:978-4-8156-0993-1
  • サイズ:新書
  • ページ数:208
  • 付録:-
  • ・気づかれない「境界知能」と「軽度知的障害」を問題視
    ・意外に知られていない「知的障害」の3つのポイント
    ・発達障害と知的障害の違い
    ・子どもたちの知的なしんどさ
    ・「軽度・中等度・重度」の程度の違い
    ・「IQ70以上」だと障害とは判定されにくい
    ・気づかれない「境界知能」だったKさん
    ・後先を考えて行動するのが苦手
    ・知的障害の様相が「身勝手で短絡的」に
    ・知的障害の認定基準は自治体や時代によって違う …など

  • ・知能検査を受ける
    ・そもそも知能とは何なのか?
    ・知能検査の概要
    ・神経心理ピラミッドと知能検査
    ・私たちを動かす司令塔の「実行機能」
    ・IQは高いが要領の悪い子、IQは低いが要領のいい子
    ・検査結果を支援のヒントに
    ・知能検査の注意点
    ・家庭や学校でできる発達の見立て
    ・図形の模写から判定する発達年齢の目安 …など

  • ・5つの認知機能が「学習の土台」になる
    ・基礎体力づくりに相当する「認知機能の強化トレーニング」
    ・認知機能強化トレーニング「コグトレ」
    ・子どもの知能ではなく認知機能に着目
    ・模写で知る、少年たちの見えるゆがんだ世界
    ・コグトレは成績やIQアップの教材ではない
    ・自作教材が学会発足につながる広がりへ
    ・学習面のコグトレの狙い
    ・9歳の壁と「想像する」課題
    ・コグトレ実践事例1 小学校の朝の5分プログラムとして …など

  • ・一番の困りごとは「勉強ができないこと」
    ・その子の学習のつまずき箇所を知る
    ・知的障害の子も伸ばせる可能性はある
    ・発達障害と知的障害の認知機能への支援の基本は同じ
    ・境界知能は、支援級か通常級か?
    ・「加配」があることが望ましいが
    ・「頑張れ」をうまく使い分ける
    ・本音は「みんなと同じようになりたい」
    ・子どもの成長のゴールは「自立」
    ・子どもを動かすのは「一緒にやる大人の姿」 …など

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著者紹介

著者・宮口幸治

児童精神科医・医学博士。立命館大学総合心理学部・大学院人間科学研究科教授。一般社団法人「日本COG-TR学会」代表理事。臨床心理士。京都大学工学部を卒業し、建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院、女子少年院などに勤務し、2016年より立命館大学教授に就任。 子どもたちの認知機能を強化させるトレーニング「コグトレ」を考案。2020年より、コグトレの普及・研究を行う「日本COG-TR 学会」を主宰し、全国で学校教員や施設等支援員らに向けて研修を行っている。 著書に『医者が考案したコグトレ・パズル』シリーズ(小社刊)、『どうしても頑張れない人たち』『ケーキの切れない非行少年たちのカルテ』(ともに新潮新書)、『「立方体が描けない子」の学力を伸ばす』(PHP新書)、『1日5分! 教室で使えるコグトレ』(東洋館出版社)、『コグトレみる・きく・想像するための認知機能強化トレーニング』(三輪書店)など多数。

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