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生まれが9割の世界をどう生きるか

安藤寿康:著者

遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋

子どもに親は選べない、どんな環境に生まれるかは運任せ。最近話題になっている「親ガチャ」という言葉があらわすのは、遺伝と環境要因がすべてを決めるので、努力することに意味はないと言った若者の諦念である。
確かに遺伝が、あらゆる要素に影響するのは事実である。しかし、遺伝についての最新の知見は常に更新されている。専門家ではない人間が過去の研究結果を軸に、あたかもそれが唯一の真理のように語るのは非常に危険である。
本書では、行動遺伝学の専門家が、一般読者の遺伝についての素朴な疑問に答えるとともに、遺伝における不平等を前提にしたうえで、「いかに自分らしく生きていくか」、「幸福に生きるのか」。そのための方法を論じていく。

第1章 遺伝とは何か──行動遺伝学の知見

Q 勉強もスポーツもパッとしません。スクールカースト上位の人が羨ましい。結局、そういう才能って全部遺伝じゃないんですか?
COLUMN 遺伝率の算出方法/共有環境、非共有環境には、どんな要因が含まれる?
Q 子どもの頃からピアノを習っているけど、親が「練習しろ」とうるさく言うせいでイヤになってきた。親も楽器なんて弾けないのに。どうせ音楽の才能も遺伝なんでしょ?
Q 遺伝とか言っても、やっぱり大事なのは環境でしょ? 環境がなければ始まらないじゃないですか!?
Q 人の才能は遺伝子で決まってしまうの?
Q そもそも才能とは何でしょうか?
Q 知能って本当にテストで測れるの?
Q 兄はスポーツも勉強もできるのに、弟の自分ときたら……。
Q 親ガチャに外れたら、負け組決定ですか?

第2章 学歴社会をどう攻略する?

Q 少々無理してでも、偏差値の高い中学校に行った方がよいですか?
Q 理学部に進みたいけど、女子は理系に向いていないというのは本当?
Q 親はネットのことも何も知らないし、はっきり言ってバカなんじゃないかと思う。
Q 勉強を頑張れる粘り強さも生まれつきの才能じゃないんですか?
Q 学校生活にどうしても馴染めない。部活もまったく楽しくない。親からは、そんなことでは社会に出てもやっていけないと言われる。
Q 勉強のできる子と付き合うようにしないと、子どもがダメになっちゃうんじゃないかと心配です。
Q これから大事なのは、勉強ができるかどうかじゃなくて、コミュ力なんじゃないですか?

第3章 才能を育てることはできるか?

Q 子どもの時にはできるだけたくさん習いごとをさせた方がよいのでしょうか?
Q やっぱり田舎にいるより、都会に出た方が何者かになれるチャンスは増えるんじゃないですか?
Q 子どもがずっとゲームばかりして、部屋も片付けない。好きなことだけやっていて、まともな人間になれるのでしょうか?
Q 年収が高い家庭ほど、勉強だけじゃなくてスポーツもできるって本当ですか?
Q やりたいことが何もないし、得意なこともありません。いったい自分はこれからどうやって生きていけばいいでしょう?
Q 没頭するのは何でもいい? ソシャゲの課金にハマってもOK?

第4章「優生社会」を乗り越える

Q 知能が高いほど、収入の高い仕事に就けるのでしょうか?
Q 女性の賃金が男性よりも低いのは、女性の能力が低いからなんですか?
Q いい家柄の子どもは、やっぱり有利だと思う。
Q 知能の高い人でないと、まともに稼げる仕事には就けなくなるのでは?
Q AIが発達してくれば、人間の仕事なんてなくなるんじゃないですか?

定価:990円(本体900円+10%税)

書籍情報

  • 発売日:2022年9月6日(火)
  • ISBN:978-4-8156-1588-8
  • サイズ:新書
  • ページ数:256
  • 付録:-

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著者紹介

1958年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、同大学大学院社会学研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学文学部教授。教育学博士。専門は行動遺伝学、教育心理学。主に双生児法による研究により、遺伝と環境が認知能力やパーソナリティに及ぼす研究を行っている。著書に『遺伝子の不都合な真実』(ちくま新書)、『遺伝マインド』(共著、有斐閣)、『心はどのように遺伝するか』(講談社ブルーバックス)など。

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