
親に何かあっても心配ない遺言の話
相続を”争続”にしないために最も有効なのは遺言書の存在。でも、親に書いてほしいとはなかなか切り出せないものです。遺言があればどんなことが防げるか? 要件、書式、事例の紹介に加え、どうやって親に書いてもらうか? 相続人の立場に立って解説します。
遺言書は、相続でのもめ事を防ぐために最も効果的な対策です。親の財産の処遇については法律よりも親の遺志が優先されるので、遺言書があれば、相続人が取り分でもめる余地がないからです。しかし、日本では相続に際して遺言があるケースは、わずかに1割程度。否応なく自分の死を意識させられる。自分自身には何のメリットもない。まだ元気だし・・・。子どもたちで話し合って好きにしてくれればいい--それが親の偽らざる本心でしょう。また、自分の子供たちに限って、あさましい”争族”になどならないと信じたい気持もあります。親にとって、遺言は進んで書くものではなく”書かされるもの”なのです。
でも、残念ながら、ほとんどの相続で大小を問わずもめ事は起きるものです。子どもからしてみれば、もちろん財産を多くもらえればうれしいですが、それより何より、とにかくもめ事だけは回避したいというのが一番の関心事です。また、医療の進歩で寿命は延びても、認知症や要介護など、命の耐用年数に親の心や身体がついていけなくなるケースも心配しなければなりません。
親に何かあったらもめると分かっていながら何もしてくれないことにいら立ち、しかし、面と向かって遺言書を書いてほしいとは言いづらいというジレンマに、子どもは陥ってしまうのです。
本書では、遺言書の種類、要件、書式例などの基本事項、また、トラブル事例などの紹介に加え、親と子、双方の心の問題にまで深く目を向け、どうすれば親の心の垣根を取り払い、遺言書を遺してもらえるかまでを丁寧に解説しています。
■目次:
はじめに
第1章 遺言は法律よりも強し
第2章 遺言があれば防げた悲劇
第3章 遺言にできること、伝えられること
第4章 遺言書の3つの形式――そのメリット、デメリット
第5章 不備のある遺言は不幸を招く
第6章 親に遺言を書いてもらうには!?
第7章 失敗しない遺言のつくり方
おわりに
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