「僕」たちが追い求めた、整数の《ほんとうの姿》とは? 長い黒髪の天才少女ミルカさん、元気少女テトラちゃん、「僕」が今回も大活躍。新たに女子中学生ユーリが登場し、数学と青春の物語が膨らみます。彼らの淡い恋の行方は?
オイラー生誕300年記念として2007年6月に刊行された、数学読み物『数学ガール』の続編です。今回のメインテーマは、「フェルマーの最終定理」。《この証明を書くには、この余白は狭すぎる》という思わせぶりなフェルマーのメモが、数学者たちに最大の謎を投げかけたのは17世紀のこと。誰にでも理解できるのに、350年以上ものあいだ、誰にも解けなかった、この数学史上最大の問題が「フェルマーの最終定理」です。20世紀の最後にワイルズが成し遂げたその証明では、現代までのすべての数学の成果が投入されなければなりませんでした。
本書『数学ガール/フェルマーの最終定理』では、ワイルズが行った証明の意義を理解するため、初等整数論から楕円曲線までの広範囲な題材を軽やかなステップで駆け抜けます。
本書で取り扱う題材は、「ピタゴラスの定理」「素因数分解」「最大公約数」「最小公倍数」「互いに素」といった基本的なものから、「背理法」「公理と定理」「複素平面」「剰余」「群・環・体」「楕円曲線」まで、多岐にわたります。
数学が苦手な読者は「わかんない」が口癖のユーリと歩んでください。数学が得意な読者はミルカさんの魅惑的な講義にチャレンジ。いっしょに問題を考えたり、数学的な議論を繰り広げたり、そして数学的な話題がいつのまにか日常生活に関連していたり……。重層的に入り組んだ物語構造は、どんな理解度の読者でも退屈することはありません。
数学読み物として、青春物語として、そして《教えること》と《学ぶこと》の意味を考える教育書として、本書はさまざまな読書の喜びを読者に提供するでしょう。
【目次】
あなたへ
プロローグ
第1章 無限の宇宙を手に乗せて
第2章 ピタゴラスの定理
第3章 互いに素
第4章 背理法
第5章 砕ける素数
第6章 アーベル群の涙
第7章 ヘアスタイルを法として
第8章 無限降下法
第9章 最も美しい数式
第10章 フェルマーの最終定理
エピローグ
あとがき
参考文献と読書案内