数学ガールの秘密ノート/確率の冒険
本書は、わかりにくく誤解されがちな「確率」を扱った数学物語です。「僕」と三人の数学ガールが「確率」に関する問題を対話しながら考えていくようすが描かれます。確率の基本から始まって、条件付き確率、集合と確率の関係などを一つ一つ学びます。単なる計算だけではなく、病気の検査における偽陽性・偽陰性の問題や、確率が誕生するきっかけとなった歴史的問題まで扱います。
確率は、保険や医療といった身近な分野から、製品の故障や機械学習といった科学技術の分野まで幅広く登場します。中高生はもちろんのこと、大学生から社会人まで幅広く楽しめる本書で、生涯を通じて役に立つ確率の基礎を固めましょう!
第1章「確率1/2の謎」では、確率の定義について学びます。「二分の一の確率でコインの表が出る」ことを「二回に一回はコインの表が出る」と表現していいかどうかという素朴な疑問から始まり、ある出来事が《起こりやすい》とはどういう意味かを探っていきます。場合の数とパスカルの三角形についても学び、それを使って相対度数を学びます。
第2章「全体のうち、どれくらい?」では、偏りと影響について学びます。ロボットコインという記憶装置を持ったコインを仮想的に考え、確率についてさらに深く考えていきます。表を使って整理し、まちがえないための工夫も体験します。
第3章「条件付き確率」では、確率と集合の関係について学びます。教科書に出てくる《確からしい》という言葉についての対話から始まり、確率の用語(試行、根元事象、事象、加法定理、乗法定理)について丁寧に確かめていきます。基礎を固めた上で、誤解されることが非常に多い「条件付き確率」を学びます。
第4章「命に関わる確率」では、条件付き確率を実践的に学びます。「病気に罹っているかどうかを検査する」という例を使い、具体的な計算を行います。偽陽性、偽陰性についても学び、確率がいかにまちがいやすいかを体験します。また、条件付き確率の定義から導かれるベイズの定理についても紹介します。
第5章「未完のゲーム」では、確率が誕生するきっかけとなったパスカルとフェルマーの往復書簡に登場する「未完のゲーム」(メレの問題)について学びます。現実世界の問題をどのように確率を使って表現するか、複雑に入り組んだ確率の問題をどのように整理するかを学んでいきます。図を使って考えをまとめ、漸化式を立て、具体的な数を使って数の性質を発見していくようすが描かれます。確率のみならず、数学を使って物事を整理していく道筋をたどります。
どの章も、基本的でやさしい内容から始まり、確率の本質が理解できるように具体的な問題を通して進みます。登場人物といっしょになって学ぶため、確率の考え方を抵抗なく身につけることができるでしょう。
あなたへ
プロローグ
第1章 確率1/2の謎
第2章 全体のうち、どれくらい?
第3章 条件付き確率
第4章 命に関わる確率
第5章 未完のゲーム
エピローグ
解答
もっと考えたいあなたのために
あとがき
参考文献