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[Si新書]マンガでわかる行動経済学

ポーポー・ポロダクション:著者

いつも同じ店で食事をしてしまうのは? なぜギャンブラーは自信満々なのか?

理論的に動いているつもりでも、実は感情で動いていることがヒトには数多くあり、それを利用してさまざまな商売が成り立っていたりするのです。

本書では行動経済学とはなにかから、さまざまな経済心理の実例について、マンガでわかりやすく解説していきます。

■目次:
序章 行動経済学とは?
第1章 不思議な経済心理
第2章 合理的な判断を阻害するシステム
第3章 私たちはなんでも「比較」し、そして「マネ」をしたがる
第4章 投資とギャンブルの行動経済
第5章 行動経済学を応用した戦略

定価:1,100円(本体1,000円+10%税)

書籍情報

  • 発売日:2014年12月16日(火)
  • ISBN:978-4-7973-8103-0
  • サイズ:新書/フルカラー
  • ページ数:208
  • 付録:-

序章は「行動経済学とはなにか」をテーマに、行動経済学の生い立ちや活用法、人がしてしまう勘違いについて解説しています。
第1章では不思議な経済心理を紹介、価格の表示方法によってものを安く感じたり、高いものをおいしく感じたりする不思議な行動傾向を解説しています。
第2章では合理的な判断を阻害する2 つのシステムを説明し、なぜ判断に誤りが生まれるのかを解説。「なぜそんな判断をしてしまうのか」の「なぜ」がわかります。
第3章では私たちの基本原理である「比較」と「マネ」について説明をしています。ついついものごとを比較してしまう私たちの構造を、豊富な例題とともに見てみます。
第4章は、投資やギャンブルのなにに魅力を感じ、なぜ気持ちを駆り立てられるのか? そして多くの人が陥ってしまう罠を解説。
第5章では行動経済を活用した応用方法を紹介していきます。

なぜいつも同じ店で食事をしてしまうのか?

人は自分の経験をもとに「失敗したくない」という気持ちを強くもっている生き物です。「得をしたい」という気持ちより、実は「損をしたくない」という気持ちが強くあるのです。そのため人は新しいお店を開拓せず、無難な選択をして同じ店に行ってしまいます。これを経済行動学では「損失回避の傾向」と呼んでいます。損失回避の気持ちが強い人は同じ店でも同じメニューを頼んでしまう傾向があります。「もし、違うものを頼んで、おいしくなかったら嫌だ」という気持ちが心の奥に隠されているのです。

女性の顔があるとお金が集まる

ある銀行事業を開始し彼らはローンの顧客を増やすためにある実験を行いました。それは取引先に送るローンの案内に利率を高くしたり、低くしたり、いくつかのサービスを展開し、どんな内容が顧客の心に響くかその反応を調べようとしたのです。もっとも効果が顕著にでたのは、案内書に掲載した銀行員の写真だったのです。顧客が男性である場合、案内書に女性銀行員の写真を使うと利率を5%下げた効果と同じものが得られました。人(特に男性)は女性の写真を見るだけで不安感が低下してしまう傾向にあるのです。

理論と違うおもしろくてリアルな経済学

予定していなかったのについついその場の気分で「衝動買い」をしてしまったり、中身を確かめることなく外見の雰囲気で「ジャケ買い」をしてしまったりすることはありませんか。行動経済学ではこうした人がついついしてしまう「心理」「行動パターン」を実験などから導きだし、その傾向を知ろうと研究されています。行動経済学が重点を置いているのは、経済活動に関するリアルな人間の認知傾向や行動特徴を明らかにすることなのです。

記憶力もあてにならない

記憶は大きく「作業」「短期」「長期」と3段階になっていると考えられています。一瞬とどまる「作業記憶」、一時的に貯蔵される「短期記憶」、長期にわたり記憶としてとどまる「長期記憶」です。私たちの記憶力はとても弱く、情報をどんどん忘れてしまいます。たとえばインターネットが普及した現在、複雑なパスワードを記憶しなくてはいけなくなりました。実は私たちはこうした意味のない数字や文字の組み合わせを記憶するのが非常に苦手なのです。数字だけでも確実なのは4ケタぐらい。人間の短期記憶はせいぜい7ケタの数字(個人差で±2個)を記憶しておくことがせいいっぱいです。

「論理」と「直感」、2つの判断システム

私たちがものを見て意思決定するまでには、まず対象物や情報を感覚器で知覚し(目や耳を通して知り)、過去の記憶と比較、どのようなものかと認知(理解)します。認知された情報はふたたび記憶と比較され、次にどのような行動選択をするのがよいか合理的な判断が行われ意思決定がなされます。この論理的なシステムは「熟慮システム」、もしくは「システム2」といわれています。複雑な計算や物事を計画するときには、この熟慮システムを使っています。

見えるものが見えているわけではない

見たいものだけを見るというのは、都合よく現実を歪めて解釈することにもつながります。たとえば自分の部署に1人だけ女性が配属されてきたとします。もともと女性に対して偏見をもっていると、女性はさまざまな行動をしているのにもかかわらず、自分の固定概念と合致するところを見かけると、それだけを抽出し「女性はやっぱり○○だな」という結論をもってしまいがちです。その結果、自分の固定概念をより強くしてしまいます。こうした偏りを「確証バイアス」といいます。

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著者紹介

ポーポー・ポロダクション
「人の心を動かせるような良質でおもしろいものをつくろう」をポリシーに、遊び心を込めたコンテンツ企画や各種制作物を手がけている。色彩心理と認知心理を専門とし、心理学を活用した商品開発や企業のコンサルタントなども行っている。著書に『マンガでわかる色のおもしろ心理学』『マンガでわかる色のおもしろ心理学2』『マンガでわかる心理学』『マンガでわかる人間関係の心理学』『マンガでわかる恋愛心理学』『マンガでわかるゲーム理論』『デザインを科学する』(サイエンス・アイ新書)、『今日から使える!「器が小さい人」から抜け出す心理学』『人間関係に活かす! 使うための心理学』『自分を磨くための心理学』(PHP研究所)、『「色彩と心理」のおもしろ雑学』(大和書房)などがある。

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