私は、人の基本姿勢を次のように考えています

「人間心理」を無視して、「新しいことをやれ」「もっと仕事をしろ」などと言っても、効果はありません。「しくみ」「ルール」もそうです。 私は多くの「しくみづくり」の本を書いたが、ただしくみをつくるだけではダメです。何が足りないのか、人が動く秘訣を本書で紹介していきます。私がコンサルティングをしている企業の事例も入れながら、より実践的な内容を紹介しています。
何が足りないのか、質問に答えながら考えてください

私は、「人間心理を無視して人を動かすことはできない」と考えています。心理といっても、「心理学」ではありません。重要なのは、「実践心理」です。人の心理がわかるかで差が出ます。
人の上に立つ人にとって、「鈍感」は「犯罪」です。でも、その根底にあるのは、社長やリーダーが「人の心」をつかんでいるのか、そのしくみが人の心に添った運用をされているかです。
挑戦するときのハードルは下げてあげる

人は、新しいことや、難しく思えることを「やれ」と言われると、失敗が怖くて、ものおじしてしまうものです。でも、それでは仕事は進まないし、その人の成長も止めてしまう。そんなときは、ハードルを下げればいい。ハードルを下げて、自分ができるレベルになってはじめてやる気が出る。本人が難しいと思っているレベルのままでは、なかなか手を付けようとはしないのです。
人に言われたことはやりたくない

自分の理想は、相手の理想ではありません。だから、「相手が動いてくれない」とイライラしてしまう。自分が思っているように、相手が動いてくれないからです。面談の際などに相手に「どうなりたいの?」と聞いて、部下の理想(希望)を明確にしておきます。部下をやる気にさせたいなら、本人がやりたいことをやらせてあげるのが一番早いのです。
「任せる」と「好きにやっていい」は違う

三流は、社員に仕事を任せるとき、任せる範囲が明確になっていません。仕事の「テリトリー」と「ポジション」と「部下」と「数値目標」と「方針」を伝え、その上で「やり方を任せる」ことを、「任せる」と言います。任せるとは、「好き勝手にやっていい」ことではありません。仕事を任せたら、進捗状況と実績を定期的にチェックします。
必要とあれば、お客様の前でも叱る

「お客様の前で叱るのは、配慮にかける」と思われるかもしれません。ですが、その逆です。お客様の前で叱ることは社長のやさしさであり、最上の学習機会であると私は考えています。「人前」だからこそ学ぶことがあります。