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ゲームシナリオライターの仕事 名作RPGに学ぶシナリオ創作術

前田圭士:著者 / 桝田省治、重馬 敬:監修

「天外魔境II 卍MARU」と「ルナ エタナールブルー」、2つの名作RPGを題材に、ゲームシナリオ制作のテクニックを学習する。現役のゲームクリエイターだけが教えることのできる、プロのテクニックを学び取ろう! 桝田省治、重馬敬、さくまあきら、芝村裕吏、4人の人気クリエイターへのロングインタビューも掲載。

<<本書のもくじ>>
1章 シナリオとは何か?

■シナリオと何か?
最初に「シナリオとは何か?」を考える
・シナリオを構成する「起承転結」
起承転結とは何か?
わかりやすいシナリオとは、どのようなものか
・綿密に計算された時間割り
『E.T.』から学ぶ「起」とは何か
・最初の「人」の紹介
・2度めの「人」の紹介
・3度めの「人」の紹介
・目標の提示
・「起」に必要な機能
『スターウォーズ』から「承」で何が起こるのかを学ぶ
・繰り返される「成功」「失敗」「変化」
・「承」を構成する展開部
・何が「承」のできを決めるのか
「転」の機能を『ジョーズ』から学ぶ
・「承」から「転」へ
・「転」の結末
『ダイ・ハード』の「結」で何が行われているのか
・最後を「結」で締める
「起承転結」をまとめると
■ゲームシナリオの制作過程
1、企画会議その1
2、企画書作成
3、企画会議その2(企画審査会議、プレゼンテーション)
4、プロット会議その1(ブレインストーミング)
5、プロット作成
6、プロット会議その2(意見交換)
7、箱書き作成
8、シナリオ会議
9、メインシナリオ第1稿
10、街キャラセリフの作成
11、進行会議
12、メインシナリオ第2稿
13、メインシナリオのナレーション収録
14、デバッグ

2章 起

■2章以降の流れについて
本書の話の進め方
・その1 題材として扱うゲームソフトについて
・その2 本書の構成について
・その3 天外2とルナ2を題材として選んだ理由について
起のおさらい
■天外2の「起」
フラグ誘導を自然にセリフに織り込むには
・機械的な情報をセリフに置き換えていく
・本当に言わせたいセリフは言わせない
キャラクターは、どのように解説するのか
・キャラクターを他人に語らせるテクニック
なぜ、卍丸は「頭のかたい大人たち」に反発するのか
・プレイヤーが主人公に共感するために
選択肢の面白い使い方
「フラグロスト」の回避方法とは(その1)
・重要な情報は繰り返す
・方角を指定してフラグ誘導
■ルナ2の「起」
物語を「引っ張る」有効な方法とは
・謎でプレイヤーの心をつかむ
なぜ、マスコットキャラクターがしゃべるのか
・主人公のかわりにしゃべる
・謎解きの推理や物事の推測をする
・やってはいけないことを注意したり、とめたりする
・トラブルに首を突っ込む
・主人公と別行動を取る
・便利なキャラクターは活用する
ゲームならではのキャラクター表現方法とは(その1)
・戦闘パラメーターでキャラクターを表現する
・映像ならではの表現「見ればわかる」

□CREATOR’S INTERVIEW 1 桝田省治
僕の仕事はディズニーランドを作ること
コンセプトを最終的な形にするのが僕の仕事
本質的にやりたいことは目に見えない部分
それぞれのパーツは単体で存在してるわけじゃない
俺屍は有機的なシステムの塊
シナリオがあればプレイヤーの目的を手っ取り早く説明できる
「ヨミ様に申し上げます」は竜王の城
3つ面白い要素を重ねて保険をかける
天外2のキャラで意識したのは「二段階変身」
アンタが主役ですって、僕たちは言い続けなきゃいけない
あの極楽、あの絹にすごいって言われるオレってすごい
カブキはね、卍丸の対極だから目立つためにはなんでもしちゃうんだ
怪物みたいになった絹も受け入れるオレってすごい
3人をすごい人たちに描くために対抗できる敵キャラを立てる
僕にとってあのふたりは、いい兄ちゃん
ねえ、本当にゲーム作りたいの?

Column「ゲームシナリオの特異性」

3章 承の1(展開部の1)

承のおさらい
・ゲームシステムの存在
■天外2の「承の1」最初の展開部
主要キャラクターの初登場シーンの描き方
解説キャラは、どのように配置するか
・なぜか、アイテムがしゃべる
・なぜか、主人公を助けてくれる敵キャラ
なぜ「菊五郎」を登場させたのか
■ルナ2の「承の1」最初の展開部
街キャラセリフの管理方法とは
・ローカルフラグとグローバルフラグ
・テキストファイルから実例を見る
シナリオライターが街の特色を出すには
・例1 複数の情報を同時に提示する
・例2 生活感にのせて村の設定を提示する
・例3 個人的な感想にのせて村の設定を提示する
・例4 村の住人レベルでもキャラは立てる
・例5 視点を変えた情報を提示する
能動的に主人公とプレイヤーをシンクロさせる方法とは
・プレイヤーの手で主人公と同じことをさせる
・プレイヤーと主人公の共感
ゲームならではのキャラクター表現方法とは(その2)
大きな謎を忘れさせない方法とは
・謎を引っ張るためのシーン
・謎を引っ張るテクニック

4章 承の2(展開部の2)

■天外2の「承の2」ふたつめの展開部
解けるように作られた仕掛けとは(その1)
・難易度の設定がポイント
・仕掛けは解けなければ意味がない
解けるように作られた仕掛けとは(その2)
・キャラクター性を仕掛けで表現するテクニック
仲間が抜けるイベントが印象に残りやすい理由とは
・仲間が抜けることで起こる問題
・メンバーが抜けることへのフォロー
・パーティアウトの2つの理由
■ルナ2の「承の2」ふたつめの展開部
「フラグロスト」の回避方法とは(その2)
・プレイヤーはまず最初に何をするのか
・NPCのセリフでフラグを誘導する
ルーシアの心情の変化(その1)
・なぜ、キャラクターは歌うのか
・心情の変化は段階的に描かなければならない

□CREATOR’S INTERVIEW 2 重馬 敬
天井裏のネズミさん。わかんないよね?
はぁ~ネズミさん、いい仕事しますねぇ(笑)。
キャラクターが言いたくないって言ってるんだもん
プロットがないのに、どうやってグラフィックが描けるんですか!?
ストーリーはストーリーでメシを食べてる人間にしかわからない
そういう人にはお金をいっぱいあげてほしい
面白いと思ったものを10回観ましょう
メジャーなものを勉強した方がいいですね
ゲームをやってて文章がうまくなることはありません
見ている人が納得、共感できる段取り
作り手側までもがわからなくていいや、っていう作り方は間違ってます
人の情動を左右するのは音楽ですから
正義は勝たなきゃいけないんです
ひと晩の徹夜でクオリティーが段違いに上がることがある
重要な情報は重要なところに、ちゃんとわかるように置く

Column「覚悟のすすめ」

5章 承の3(展開部の3)

■天外2の「承の3」3つめの展開部
ページ切り替えのタイミングを使った演出とは
・タイミングを効果的に利用するテクニック
・背景のイメージをセリフに反映させる
キャラ立ての大切さを具体例から学ぶ
・キャラ立てをイベントに組み込む
・菊五郎との戦闘敗北時のセリフ
・野分の術をくれる天狗のセリフ
・富山町の復活セリフ
・海牛法師との戦闘中のシステムメッセージ
・丹波の国、技を1減らす天狗のセリフ
■ルナ2の「承の3」3つめの展開部
ルーシアの心情の変化(その2)
「時間を盗む」とは、どういう意味か
・時間を盗む処理の例
・その他の時間を盗むテクニック

6章 承の4(展開部の4)

■天外2の「承の4」4つめの展開部
ゲームならではのキャラクター表現方法とは(その③)
・同じキャラとの戦闘を何度も繰り返す
・戦闘発生率や敵の強さで表現する
登場させておくと便利な、もうひとつのキャラクター
・影から守るキャラクターの機能
ゲームでの伏線の使い方とは
・ナレーションつきのセリフを利用する
・わかりやすい単語をセリフに織り込む
■ルナ2の「承の4」4つめの展開部
ルーシアの心情の変化(その3)

□CREATOR’S INTERVIEW 3 さくまあきら
まんまじゃダメなんですよ
桃伝も、いろんなアイデアの複合体
桃太郎がクサリ鎌を使うと思いますか?
笑い声がふぅっと浮かんだときなんかは「もうこれだ!」ってなっちゃう
すごい人ほど描き直すんだ。二流の人ほど直さない
自分のハラワタまで全部見せちゃってからが勝負!
オレが、いちばんわかってないのか(笑)
声に出す! 客観的に読む! これですな
落ちこぼれをなくしたい!
キャラクターを投影すると、なんでもすごくわかりやすくなる
敵から作る!
とびきり詳しい得意なジャンルを、ひとつ作ること
お客さんの目は肥えちゃったねぇ
わざわざ雪のなか郵便局に葉書を買いに行くっていうのは…
死ぬと連載にならないんだ(笑)
何度でも言うよ。友だちを作れ

7章 転

転のおさらい
■天外2の「転」
物語のなかで数を提示することの重要性
・なぜ、数を強調するのか
・進行状況をプレイヤーに知らせる
・プレイヤーを驚かす
■ルナ2の「転」
ゲームならではの戦いの演出
・戦闘システムとイベントを使い分ける
ラスボス戦では何が描かれるのか
・互いの存在理由をかけた戦いの表現方法

8章 結

結のおさらい
■天外2の「結」
アイデアの作り方
・まずは情報収集から
■ルナ2の「結」
ルーシアの心情の変化(その4)
・ゲーム後ゲーム

□CREATOR’S INTERVIEW 4 芝村裕吏
勝利条件を明確化するしかない
最初にコンセンサスをきちんと取って、コンセプトをきっちり決める
作業の流れが読めるかどうかが重要
情報を収集するところから仕事を始めるべきだと思いますね
1回きちんと原作の小説を書く
人あっての仕事なんで
最終リテイク率ゼロを目指してます
離職率を減らすのは誰に対してもプラスになる
日々これ仕事、日々これ勉強
ああ…、オレは成長してねぇなぁって(笑)
緑の章は3部作じゃなければ、絶対に出せないゲーム
問題なのは、そこに必然性があるかどうか
キャラクターを作るときに巨大な表を作る
ぼんやりとした味のゲームが多くなった
お客さんが多いにこしたことはない
次はガンダムやります。

9章 ゲームシナリオの実例

シナリオのテキストファイルを見てみよう
ルナ2のテキストファイル

定価:2,750円(本体2,500円+10%税)

書籍情報

  • 発売日:2006年7月31日(月)
  • ISBN:4-7973-3596-3
  • サイズ:A5判
  • ページ数:324
  • 付録:-

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