ビューティフル・カンパニー
市場発の経営戦略
エクセレントからビジュナリーへ、そしてビューティフルへ。
日本のマーケティング界の第一人者、嶋口充輝教授が提唱する新しい優良企業の条件!
本書は、日本のマーケティング学の第一人者がドラッガーを振り返り、コトラーを超えて語る、企業が21世紀を生き抜くための、日本発の「マーケティング・バイブル」である。
「25%のお得意様が75%の利益をもたらす」ことを前提としたリレーションシップ・マーケティング(関係性のマーケティング)では、競合に勝つことが大事なのではなく、あくまでも顧客に愛されることが大事だと著者は説く。
そのために必要なビジネスモデルは、自社が儲かる仕組みではなく、千客万来の仕組みだ。
短期的な視野ではなく、顧客の生涯価値に着目した関係性の構築が重要なのである。こうした考え方は、欧米流の株主偏重主義とも短期成果重視の姿勢とも相容れない。むしろ、日本らしい商人道に沿った考え方といえる。
■目次
プロローグ 今、必要なパラダイム・チェインジ――顧客志向から顧客基点へ
第1章 ビューティフル・カンパニーの時代へ
・マーケティング・アンビションという意図
・ビューティフル・カンパニーという概念
・仕組み革新という仕掛け
・マーケティング・マッスルという形態
・秩序ある社会責任のあり方
第2章 日本ならではのコーポレート・ガバナンス
・委員会等設置会社と監査役設置会社
・社外取締役に求められるものは
・Credoと呼ばれる企業経営の羅針盤
・顧客満足をベースとしないCSRはあり得ない
第3章 関係性のマーケティングと千客万来のシステム
・25%のお得意様が75%の利益を支える
・顧客を愚直に信頼し、生涯価値を高める
・競合に勝っても、顧客に愛されなければ意味がない
・千客万来、門前市をなす仕組みを作る
第4章 メーカー基点マーケティングの終焉の時代
・3C分析はメーカーの独り善がりか?
・マネジメントとマーケティングの正しい関係
・顧客志向ではなく、顧客基点で考える
・ブランドは受け手が作り上げるもの?
第5章 サービスマーケティングの真実
・モノもまたサービスというとらえ方
・サービス品質の考え方
・サービス・エンカウンターの重要性
・ソリューションと顧客価値の正しい関係
第6章 顧客基点のマーケティングを語るべき頃
・経営戦略としてのマーケティング
・真のパラダイム・チェインジは、真後ろを向くこと
・主人公はあなたではない
・デマンド・チェーンにビジネスモデルを変えられるか
エピローグ 商品の売り方は顧客が考える時代
■著者紹介:嶋口充輝
法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科 教授
早稲田大学大学院商学研究科 客員教授
財団法人医療科学研究所 所長・理事
1967 年、慶應義塾大学経済学部を卒業し、フルブライト奨学生として渡米。1975 年、慶應義塾大学、ミシガン州立大学の修士・博士課程修了後、経営学博士(Ph.D.)。1978 年、慶應義塾大学大学院経営管理研究科助教授、1987 年、同教授、2007 年、同名誉教授。この間に、ルーベン大学(ベルギー)、ウエスタン・ オンタリオ大学(カナダ)、モスクワ大学(ロシア)の各大学院客員教授を歴任。The Distinguished Alumni Award of Michigan State University 受賞(2004年)。主な著書に、『柔らかい企業戦略‐マーケティング・アンビションの時代』(共著、角川書店)、『顧客満足型マーケティングの構図― 新しい企業成長の論理を求めて』(有斐閣)、『仕組み革新の時代―新しいマーケティング・パラダイムを求めて』(編集、有斐閣)、『マーケティング・パ ラダイム―キーワードで読むその本質と革新』(有斐閣)、『ゼミナール マーケティング入門 ゼミナールシリーズ』(共著、日本経済新聞社)、『顧客ロイヤルティの時代』(共著、同文舘出版)、などがある。
また、ライオン、エーザイ、石井食品、ベルシステム24の社外取締役を務めるなど、企業との結びつきも多い。
2005年からソフトバンククリエイティブ発刊「ビジネスインパクト」に連載中。