
DUST MY BROOM
テレビや自動車、空き缶や紙くずなど、ゴミとして回収された膨大なモノたち。
身の回りに存在した記憶もろとも、ゴミは徹底した粉砕と手作業による分別処理を経て、
そのほとんどが「資源」として再生します。
撮影は青森県弘前の青南商事(撮影協力)で行なわれ、3年が経過した現在でも進行中です。
本書のタイトル『DUST MY BROOM』は、スライドギターの名手、エルモア・ジェイムスの代表曲です。
本来は「ほうきの埃を掃う」という意味ですが、ブルーズの中では、
さまざまなシーンで「やり直す」ことの比喩として歌われています。
「青森県弘前にあるリサイクル工場・青南商事の本社を初めて訪れた時、
そこで目にしたのは、とてつもなく大きなゴミの山でした。
はじめはその質量に、ただただ圧倒されましたが、やがてその大きなゴミの山は、
実はぼくたちの身の回りにあったものがほとんどであることに気が付きました。
本来なら、こんなにもたくさんのゴミを生み出して日々の生活を送っていることに
問題意識を持つべきかもしれません。
しかし、ぼくは不謹慎にもその姿に“かっこいい”とか“うつくしい”と感じていました。
そのことに若干ためらいながらも、それを大きく上回る好奇心とともに、
そんなゴミの山を夢中になって撮影しました。」 (菅原一剛)
ゴミの存在に、私たちは当事者として関わっていて、常に解決したい感じていることです。
それは、発生せずにすんでいたモノかもしれず、できることなら自らの手で再生したり、
あるいは自然に戻したいという思いからかもしれません。
しかし、いまやゴミは完全に個人の手を離れ、
普段は目にすることのないリサイクル工場の内部に取り込まれていきます。
その“ゴミ箱の向こう側”で起きている光景を見たとき、私たちは爽快感と美しさを感じるはずです。
「ゴミは過去の時間の中に葬り去られ、捨てられたものたちではあるのですが、
そこに思いとともに工夫を重ねることで新しいものが生まれることを知りました。
だからこそ僕は、きっとこれからも、“DUST MY BROOM”の中から、
たくさんの新たに再生する力を発見できるのではないかと楽しみにしているのです。」 (菅原一剛)