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ディズニー そうじの神様が教えてくれたこと

鎌田 洋:著者

東京ディズニーランドを舞台に、ウォルト・ディズニーが最も信頼した清掃員、「そうじの神様」ことチャック・ボヤージン氏と、カストーディアル・キャスト(清掃スタッフ)たちが繰り広げる感動物語。「働くことの本当の意味」を問いかける。

【目次】
はじめに 運命のパスポート
第1話 夢の国の落とし物
第2話 月夜のエンターティナー
第3話 魔法のポケット
第4話 夢の、その先
おわりに 感動の源泉、それはイノセンス

■著者:鎌田 洋(かまた ひろし)
1950年、宮城県生まれ。商社、ハウスメーカー勤務を経て、1982年、(株)オリエンタルランド入社。東京ディズニーランドオープンに伴い、初代ナイトカストーディアル(夜間の清掃部門)・トレーナー兼エリアスーパーバイザーとして、ナイトカストーディアル・キャストを育成する。その間、ウォルト・ディズニーがこよなく信頼を寄せていた、アメリカのディズニーランドの初代カストーディアル・マネージャー、チャック・ボヤージン氏から2年間にわたり直接指導を受ける。その後、デイカストーディアルとして顧客との関わりを学んだ後、 1990年、ディズニー・ユニバーシティ(教育部門)にて、教育部長代理としてオリエンタルランド全スタッフを指導、育成する。1997年、(株)フランクリン・コヴィー・ジャパン代表取締役副社長を経て、1999年、(株)ヴィジョナリー・ジャパンを設立、代表取締役に就任。

定価:1,210円(本体1,100円+10%税)

書籍情報

  • 発売日:2011年10月18日(火)
  • ISBN:978-4-7973-6193-3
  • サイズ:四六/1色+カラー
  • ページ数:160
  • 付録:-
第1話 夢の国の落とし物

「若いうちならまだしも、この年で清掃の仕事をしているというのは、ちょっと恥ずかしいと言うか……。娘に恥をかかせないためにも、職場が変わったことを機に、つい嘘をついてしまったんです」

「その時のお父さん、聞いてない振りしてたけど、自分の足元をずっと見てたのよ」

「足元を?」

「お父さんの足元ね、白いはずの裾が、飛び散ったワックスや汚れた水で、灰色になってたから……」

共に指輪を捜すキャスト、そして落としてしまったゲスト、皆が信じる気持ちを共有することで、この指輪に出合うことができた。僕は、この感動を生涯忘れることはないだろう。

第2話 月夜のエンターティナー

・なんと、ゲストが歩行する赤い絨毯の上で、一人のキャストがイビキをかいて寝ているではないか。そのキャストは、増田という五十そこそこの男で、ゴールデンカルーセル(メリーゴーラウンド)を担当している。

・なぜだかわからないが、心など通うはずもない作り物の馬たちを、一瞬愛しいと感じた。そして、レンズの向こうに見える一家の笑顔と、踊るように回る馬たちの姿を見たら、自然と涙が込み上げてきた。あの 90 頭の馬を輝かせることができるのは、俺しかいない。そんな風にさえ思えた。

第3話 魔法のポケット

・すると聡美は、ポケットからカードのようなものを取り出し、男の子に差し出した。
「はい、これあげる。魔法のカードよ」
「魔法のカード?」
「そう。ティンカーベルが、魔法をかけてくれるの」

・聡美は辺りに散らばったポップコーンを、素早くほうきで片付けた。
「片づけた」と言っても、そそくさかき集めている様子ではなく、スティックを持ってしなやかに踊っているような動作だった。その華麗なほうきさばきに、周りで見ていたゲストから拍手が巻き起こった。

第4話 夢の、その先

・『ディズニーランドが日本上陸へ』そう書かれてある小さな記事を見つけたのだ。そして、そこには『キャスト募集』とも書かれてある。
僕は、高鳴る鼓動を感じずにはいられなかった。

・決して手を止めず、ひたすらトイレを磨いているチャック氏の姿を、僕らは茫然と見ていた。言葉は交わされなくとも、そうじに対する魂のようなものを感じた。そうじに対してというより、仕事に対してといった感じだろうか。
輝きを取り戻した床のタイルと共に、僕の胸に熱い思いがこみ上げてきた。

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