第1話 黄金色の約束

日々、自分自身もディズニーランドでの出会いすべてが生きる喜びになっていることに、あらためて感謝したくて手紙を出したとつづられていた。
ところが、その手紙には肝心の差出人のキャストの名前がなかったのである。

「大丈夫ですか?どうかされたんですか?」
老婦人があまりにも、長い時間、杖を手に今にもしゃがみ込みそうな姿勢をしていたので、私は心配して声をかけた。

「ええ。でも難しいことではないんです。今日の佐藤さんみたいに、誰かを純粋に楽しませたい、笑顔にしたいという気持ちがあるところに、ハピネスは自然に生まれるものではないでしょうか」
第2話 空飛ぶポスト

ただ、思い立ったら即行動するのが私の性格とはいえ、自分でも今回の決断は、ちょっとした冒険だったなと思わないでもない。

私は、自分のハンドタオルで全身を拭いて差し上げたが、寒さのためかガタガタと震えていた。このままでは服が乾くのと引き換えにどんどん身体の熱が奪われてしまう。風邪をひいて肺炎にでもなってしまったら大変だ。
「救護室に行きましょう。私がお連れしますから」

「でも、ゲストに『叱られたことで辞めたりなんかしないでほしい』と言ってもらえて、また会いたいと思ってもらえるほど、心を通わせることができたのは素晴らしいじゃないですか。僕は、そんなキャストがパークにいることを誇りに思います」
第3話 笑顔のダンスビート

「専門学校。映像関係の体験入学やってるらしいから話だけでも聞いてみたらと思ってさ」

アンケートを回収しにきたRYOJI先生にアンケートを渡す。すると、回答欄をじっと見た先生が意外なことを言った。
「達也君ダンス好きなの? だったらダンスの学科受けてみなよ」

キャストはサッと、小さ目のきれいなタオルを出してカップの表面を拭いて自分に手渡してくれたのだ。
その、さり気ない行動と笑顔に、なんだかちょっと元気を分けてもらったような気がした。「がんばって」と、応援されているみたいな。