【ネコ医療のエキスパートである獣医師の壱岐田鶴子先生が、シニアネコとさいごまで一緒に幸せに暮らすための秘訣を、1冊にまとめました! ネコを大切に飼っている方に、ぜひご一読いただきたい内容です!】
ネコの7歳は人間でいえば、人生の折り返し地点ともいえる44歳。ネコの老後のことを、少し立ち止まって考えてみませんか? ネコに穏やかな老後を送ってもらうには、日ごろからのちょっとした気遣いが大切です。この本では、「かけがえのないネコと、幸せに悔いなくできるだけ長く一緒にいたい」と考える飼い主のみなさんに、知っておいていただきたいことをまとめました。
第1章 ネコの老いとは?
第2章 シニアネコの健康管理
第3章 シニアネコがかかりやすい病気
第4章 シニアネコに適した食餌と環境
第5章 シニアネコのボディケアとお世話
第6章 別れのとき
最近はペットの高齢化が進み、室内で飼われるネコの平均寿命は16歳に近づいています。室内飼いにする飼い主が増えて、事故や感染症による死亡率が減ったこと、食生活や住環境の向上、獣医療の進歩などがその理由に挙げられます。言いかえれば、飼い主のみなさんのネコに対する愛情と、ネコを家族の一員として迎える意識の向上が、ネコの長生きにつながったといえます。
とはいえ、なんにでもじゃれて無邪気に遊んでいた子ネコの時期はすぐに終わり、成ネコになれば人のおよそ4倍の速さで年をとるので、あっという間に人の年齢を追い越してしまいます。
子ネコのころがかわいいのは当然ですが、おじいちゃんやおばあちゃんネコになって、ワンテンポ遅れて反応したり、お気に入りの場所でうつらうつらまどろんでいる、少し小さくなった姿を見たりすると、子ネコのころとは違ったいとおしさが込み上げてきます。年を重ねたネコが穏やかに過ごす姿は、心からホッとさせてくれます。そこには長い時間をともにした家族のきずなができあがっているからでしょう。
(中略)
この本は「でも、具体的にどうしたらいいのかわからない......」「年をとったネコが病気になるのが不安」「情報があふれすぎて、なにが正しいかわからない」というネコの飼い主にお伝えしたいことをまとめました。
現在、飼いネコのおよそ半数近くを占める7歳以上のネコに的を絞り、ネコの体の基本情報、老化による体や
心の変化、自宅ですぐにできる健康チェックの方法、動物病院とのつき合い方やシニアネコがかかりやすい病気、その症状、診断、治療法について、できるだけ具体的に解説しています。そして、シニアネコに適した食餌と環境、ボディケアとお世話の仕方、さらにいつかくる別れに備えて知っておいてほしいことなどにも触れています。
本書が、現在シニアネコと暮らすみなさんの不安な気持ちを少しでも和らげることにつながれば幸いです。ネコが今、なにをいちばん望んでいるのか考えながら、若いころとは一味違った魅力を持つシニアネコとの1日1日を、穏やかな気持ちで大切に過ごしてほしいと心から願っています。