
[Si新書]葉っぱのふしぎ
緑色に秘められたしくみと働き
緑色をした植物は光合成で、光と水と二酸化炭素からグルコース(ブドウ糖)をつくり、でんぷんを合成します。だれもが知っているこの作用ですが、最新の科学技術でもヒトには真似ができません。本書は、葉っぱ博士が葉っぱの数々の謎を解き明かします。
植物の葉っぱは、花を咲かせ、タネをつくるために、日光・水・二酸化炭素から必要なエネルギーやでんぷんを作り出す光合成を行います。植物は葉っぱで成長しますが、草食動物やそれを食べる肉食動物を考えると、多くの生命の源になっているのです。この身近な葉っぱですが、なぜ緑色をしているのか? どうして無機物から有機物を作り出せるのか? 季節の移り変わりをいかに知るのか?など、意外に知らないことばかり。本書は、テレビでもおなじみの田中修教授が、愛情豊かに葉っぱの仕組みと働き、そして葉っぱの気持ちを語ってくれます。
【著者コメント】
花が咲き、実がなるのは、葉っぱの働きがあるからこそです。それなのに、花や実のそばに茂る葉っぱは、花が咲き実がなるのを待ちわびる人たちに、ほとんど見向かれません。「きれいな花が咲き、おいしい実ができるのは、葉っぱの働きのおかげだ」と、葉っぱに感謝する人はほとんどありません。
しかし、葉っぱは自分がちやほやされないことに不平や不満を抱いていないでしょう。むしろ逆で、「花を咲かせ実をならせるのが自分の仕事であり、自分が育てた花や実がちやほやされれば、それでいいですよ」と、満足しているでしょう。葉っぱは、花や実に、次の世代を託しているからです。
でも、私には、「葉っぱの働きに、もう少し目を向けてほしい」との思いがあります。そこで、葉っぱに代わって、私が本書で葉っぱたちを紹介することにしました。私たちを魅せる葉っぱたちの生き生きとした姿と演じられる不思議を愉しんでください。