晴れた空にくじら 2 戦空の魔女
高度一八〇〇メートルで交錯するそれぞれの想い。
戦火に燃える空を、ちっぽけな浮船が駆け抜ける!
「雪平、撃っていい?」「ああ、うん」
海抜高度一七四〇メートル。雪平たちを乗せた浮船〈峰越〉は、日本海上空に浮かんでいた。奉天を飛びだし、命からがら祖国へと帰り着いた〈峰越〉とその乗組員たちは、いまや何の因果か日本鯨軍の防空隊に組み入れられ、約千メートルの距離を隔てて、ロシアの巡鯨と対峙しているのだ。
「て」
自分に短く号令をかけて引き金を引くクニ。長く煙の尾を引いて、敵鯨に飛んでいく鳥雷。それは、彼らにとっていまいち現実感の薄かった戦争が、本当の意味で始まった瞬間だった。
戦火に燃える空で、ちっぽけな浮船は生き延びることができるのか!?
シリーズ第二弾、登場!