
地球上の自然界に存在する元素はほぼ90種類にすぎません。この90種類の元素に属する原子が、さまざまな組み合わせと比率で結合して無限大ともいえる種類の分子をつくり、この分子が集合して(たぶん)無限大の種類の物質をつくるのですから、不思議といえば不思議です。本書は、このような元素の化学的な性質を主眼としてまとめたものです。
原子をつくるもの

原子は雲でできた球のようなもので雲のように見えるのは電子雲であり、複数個の電子(記号e)からできています。1個の電子は-1の電荷をもっており、質量(重さ)は無視できるほど小さいです。電子雲の中心には原子核があり直径は原子の直径の1万分の1ほどしかありません。
原子番号19 カリウム K

カリウムはミネラルとして植物や動物の体内にあります。人間にとっての必須元素であり、成人で約200gが体内に存在しています。植物の三大栄養素の1つでもあります。カリウムは塩化カリウムKClとして産出しますが、そのうち95%はそのまま、あるいは硫酸カリウムK2SO4として肥料に回されます。
原子番号21 スカンジウム Sc

スカンジウムは本書ではじめてでてきた3族元素です。周期表の1、2族、12~18族元素は典型元素であり、3~11族は遷移元素で、本書ではじめての遷移元素になります。3族元素のうち、スカンジウム、イットリウム、ランタノイドの17元素はまとめて希土類、レアアースといわれる金属であり、希少でレアメタルにも指定されています。
原子番号26 鉄 Fe

鉄は建築物や船舶、機械などはもちろん、磁性を用いた記憶媒体の原料として現代社会を支えています。鉄は銀白色の金属ですが、錆びると表面が黒くなるので、日本ではくろがねともいわれました。ヨーロッパでも鉄を扱う鍛冶屋さんはブラックスミスといわれていたそうです。
原子番号45 ロジウム Rh

ロジウムは銀白色の金属であり、比重は12.4と鉛Pb(11.3)や水銀Hg(13.6)に近く、重い金属です。美しい輝きの強い金属であり、耐摩耗性、耐食性にすぐれ、宝飾品のメッキに使われることがあります。特に銀Agは空気中で硫黄Sなどと反応して黒くなるので、ロジウムメッキすることが多いです。
原子番号99 アインスタイニウム Es

アインスタイニウムの性状は固体であり、銀白色をしています。公式には1954年に原子炉の核分裂生成物から発見されたとされています。しかし実際には、1952年に行われた世界初の水素爆弾の爆発実験によって生成し、上空から降り注いだ核分裂生成物(死の灰)から分離されました