目標設定理論を理解しよう

"毎日同じ目標のメッセージを自分の手で書き記す習慣をつけることにより、練習意欲も高まります。それだけでなく、工夫や独創性が発揮されて、より密度の高い練習メニューが構築されるのです。
以下に目標を達成する確率を高めてくれる具体策を示します。
1.毎日日誌に目標をみずからの手で書き記す
2.大きな紙に目標を大きく書き記し、書斎の机の前の壁に貼りつけ、朝晩声をだして読みあげる
3.ICレコーダーに目標メッセージをみずからの声で吹き込み、それを暇さえあれば聴く習慣を身につける
以上のようなことを実行して、目標をひんぱんに脳に入力する工夫をしてください。それだけであなたのモチベーションは高まり、練習に取り組む姿勢も改善されるのです。"

イラストは、そのことをわかりやすく説明する模式図です。蛇口からでる水の量が努力です。容器の中の水の量がパフォーマンスで、容器の大きさがセルフイメージです。いくら努力しても、容器に貯まる水の量が容器の体積を超えることはありま せん。つまり、努力する前に、競技者としてのあなたのセルフイメージを改造することが求められるのです

私たちは過去の自分の成績をもとに「等身大の自分」というセルフイメージを描いています。しかし、これではいくら努力しても進歩は限定的なのです。著名な心理学者ウイリアム・ジェームスはこう語っています。「人間というのは、概してその人間が思い描いたとおりの人間になる」、私たちのパフォーマンスを限定しているのは、みずからが描いたセルフイメージなのです。

選手Aは「今日は最高の走りだった。ちょっと練習を減らしてもだいじょうぶ!」と満足し、練習を怠ります。一方、選手Bは「走りはまだまだ完璧ではない。明日からいままでの努力を積み重ねよう」。次の競技会でどちらの選手がよい記録をだすでしょう?選手Bのほうです。この2人のその後のパフォーマンスレベルの違いは、セルフイメージの違いでしか説明がつかないのです。
セルフコントロール

自分の感情や行動を自制するセルフコントロールのすぐれたアスリートだけが一流になれると考えています。たとえば、並のアスリートはピンチをよくならないものととらえるだけ。一方、一流のアスリートはピンチを自分が飛躍するチャレンジの場ととらえることができます。
プレッシャーコントロール

心の余裕がないときに、人間は正しい判断ができません。しかし、「びびり」や「あがり」は決して悪いことではありません。むしろそれはファイトの表れでもあるのです。すぐれた選手のなかには、「びびり」や「あがり」を味方につける術をもっている選手がいます。
執着力

並の選手は、少しのピンチでもすぐにあきらめてしまい、優秀な選手は、勝敗が決まるまで決してあきらめません。つまり、同じ才能をもっていても、執着力の違いが勝敗を分けます。競技種目の才能に満ちあふれながら、いつもレギュラーから外れたり、期待されない選手の思考の共通点は、ピンチで簡単にあきらめてしまうことです。